岡山県での西日本豪雨災害ボランティア報告3日目(倉敷市真備町、2018年7月25日)

岡山県での災害ボランティア2日目(7月25日)は、今回2階以上までの浸水があり、もっとも被害が大きいと報道された倉敷市真備町に倉敷市災害ボランティアセンターを通じて伺いました。

倉敷市真備町は、高梁川と小田川(その支流、高馬川)の合流点近くで、高梨川の増水で、小田川が流れにくくなり、小田川への逆流の可能性もあり堤防が決壊したことにより大規模な浸水が起きたと考えられています。

なぜ被害拡大?バックウォーター現象とは 真備町(18/07/10)・ANNニュース

 

事前に、倉敷市災害ボランティアセンター公式サイトで(県外ボランティアも)受け付けていることを確認し、宿泊先の仁熊義則さん宅より、仁熊さんに送迎いただきました。仁熊さんご自身も送迎後ボランティアに参加され、この日から3日間は前江戸川区議の滝沢やすこさんもボランティアに参加され、一緒に行動いたしました。

倉敷市災害ボランティアセンター本部は中国職業能力開発大学校の中にあり、ここで受付し、グルーピングし(同じお宅の片づけに入るボランティアの組を作ること)そこから真備サテライト(倉敷市真備支所)にバスで移動することになります。

 

滝沢やすこ前江戸川区議の後ろに見えるのは熱中症予防を呼びかけ得るポスター

 

まず、災害ボランティア受付票を記入する中で、「医療従事者」の項目の中に「セラピスト」があるのにびっくりしました。(医療従事者の項目内に置くかどうかは意見のわかれるところでしょうが)災害後における心理的ケアが重視されている傾向の反映と思います。

 

倉敷市災害ボランティアセンターでのガイダンスで、昨年までの災害ボランティア(鬼怒川周辺水害・熊本地震・九州北部豪雨)ではなかった新しい工夫(配慮)に3点気づきました。

①社会福祉協議会の方の説明の前に、保健師が熱中症注意を、からだの観点から強調する時間を作っていた。

②イスが最初から5列ずつ並べてあり、5列に椅子に並んだグループを自動的にグループ基礎単位としたこと。

(このためには5~15人で、7人とか12人とかのニーズもたぶん10人(2組)・15人(3組)に統一処理したことと推定される)

そして「椅子に並んだ5人が今日の一緒に作業するグループですからあらかじめ顔合わせしておいてください」とのアナウンスがありました。このことで、「その都度人数に応じたグループ人数を挙手でつのる」時間、「グループができた後、お互い顔合わせする」時間を節約でき、スムースに作業に入ることができます。

③ボランティア責任者から訪問宅に倉敷市役所からのお知らせの最新号を届けるように託されたこと。

倉敷市からのお知らせの内容は刻々変わっており、第11報でした。このようにして、被災者にいつも最新の情報を届ける努力をし、その文書の発行年月日時刻を明記しているのも大切なことと感じました。

 

 

(船橋も含めこの3点は、今後の災害発生時の災害ボランティアセンター立ち上げ時に取り入れるべきと提言していきたい。)

ボランティアセンター本部から真備サテライトに向かう途中にバス車窓から見える

・2階以上の浸水で集落全体が住めなくなっている様子

・7月25日時点でも水がぬけきっていない

・道路際の膨大な災害廃棄物

 

など痛々しいものでした。

 

堤防の決壊場所では修復工事もおこなわれていましたがまだ未完成です。

真備サテライト(倉敷市真備支所)までバスで送っていただき、そこから3組(5人×3=15人)で、あるお宅の片付けに伺いました。

3組とのリーダー(私もリーダーの1人)とタイムキーパーを選んだのですが、3組合同だったので、タイムキーパーは1人にし、3人のリーダーが話し合いながら作業を進めました。

 

隣の御宅の外観です。浸水が2階まで及んだ場所で、1階上の屋根が2階につながる部分まで、草が残っています。

 

 

庭にあるゴミを軽トラに載せ、運転できる方にごみ置き場まで運んでいただく作業をしました。

 

上記写真は「けいふん」(鶏糞・肥料・15kg)はゴミとして廃棄するため軽トラに乗せたものです。農業をやっている方から見ると、袋は破れていないし再利用できると思う方もおられるでしょう。しかし、このお宅は農家ではなく、この「けいふん」は浸水時に、どこかより流されてこのお宅の庭に来たものです。こんな大きなものも流されてきたわけです。

大工さんのいらしたある班では、1階の床をはがして泥出しもしました。

再び真備サテライトに戻り、グループ5人で記念撮影しました(インターネットUP許可いただいています)。

【真備支社の周囲と真備サテライト】

真備支社付近は被害が最もひどい地域、被害が大きい場所の片づけでは自衛隊他、専門職の方々が数多く作業をされていました。

 

一方、真備サテライトでスタッフとして働いていた人々の中心は、「ピースボート緊急支援チーム」。

だいごさんに許可いただいて写真を撮らせていただきました。

市民運動の方々も、自衛隊の方々も一緒に活動する災害ボランティアの世界にはイデオロギーは関係ない連携が生まれていると感じました。

地域の方々が集まり公民館も被災し、子どもみこしも水につかり、道に干してある姿を見ました。本当は今頃、夏まつりでみこしで楽しんでいた頃と考えると、せつなく感じました。

 

真備サテライトにもボランティアセンターの本部にも国の省庁からの派遣職員や機材・車がありました。国が一刻も早く本格的な対策を進めるようしっかりと状況把握をしてほしいと思います。

本部でもサテライトでも医療従事者の役割は重要です。発災時は緊急時の救命にあたるだけでなく、中長期的な被災者の健康管理、長期的なボランティア体制のボランティアの健康管理など各所で医療従事者が働いていました。

最後は片付けです。作業の最後に長靴の泥を高圧洗浄機や水洗いでおとすとともに手も洗います。

泥だらけになるボランティアの送迎のため、座席に泥がつくのを防止するため、座席全体をビニールで覆う工夫もなされています(滝沢やすこさん撮影)。

ボランティアセンター本部に戻ると、水で冷やしたトマトの差し入れ。

その後、仁熊さんにお送りいただいて倉敷市から総社市の仁熊さんご自宅(宿泊先)に戻る途中、ブルーシートに屋根が覆われた集落(総社市下原地区)があります。

 

実は下写真左手にアルミ工場があり、浸水時無理に操業を続けたために爆発し、写真右の集落が爆発で被災したものです。

アルミ工場爆発跡

アルミ工場爆発 周辺地区では住宅損壊と浸水の「二重苦」岡山・総社市(ksb、5ch)

アルミ工場爆発で被災した集落(浸水被害に加えて爆発被害も受けました)

一刻も早い復興支援をのぞみます。

 

最後に、総社に戻る途中、総社市で滝沢やすこさん(写真中央)の紹介で、総社市に住む産業カウンセラーの秋山幸子さん(写真右)とお会いさせていただき、少しだけ話をさせていただきました。災害後の含むPTSDの視点も持ったカウンセリングの取り組みをされているとのことです。秋山幸子さんには、この翌日(26日)・翌々日(27日)、笠岡市役所・総社市役所訪問の前に笠岡市長・総社市担当者に事前にコンタクトいただくこととなり感謝いたします。