★2015年8月1日(土) 偉大な生物学者、岡崎令治さん没後40年。核兵器廃絶と平和を祈る

2015年8月1日 朝倉幹晴(船橋市議(無党派)・駿台予備学校生物科講師)

本日は、DNA複製のしくみのなぞを解明する「岡崎断片」(Okazaki fragment)を発見した日本の生物学者岡崎令治さん(1930.10.8~1975.8.1)が、中学2年(広島大附属中)の時の被爆を原因とする慢性骨髄性白血病で44歳の若さで亡くなられた40年目の日である。生きておられれば、更に様々な研究をされ、ノーベル賞も確実だったとされる岡崎さんの若い死を思い返しながら、二度と、戦争や原子爆弾はじめ放射性物質による被害を繰り返さない祈りの日としたい。

岡崎令治

★岡崎断片(Okazaki fragment)とは?(画像の説明です。画像をクリックすると大きくできます)

DNAは二重らせん(double helix)構造をしているが向かい会う鎖の向き(専門的には5´→3´方向)は逆である。これを逆平行(antiparallel)という。DNAの鎖が新たに合成されるしくみは以下のようなものである。

DNAは本当はらせん状に巻きあっているが、説明のため対面する鎖を平行線(二本鎖)で書き、「逆平行」を→の向きで示す。

ヒトなど真核生物においては、DNAにはその長い鎖の中に「複製起点」と言われるDNAを複製開始する場所がとびとびに存在する。

複製起点から二本鎖がほどかれ、そのほどかれた構造(repliconという)は両側に広がっていく。なぜなら、緑▲のDNA helicaseという酵素がドリルのようにDNA二本鎖をほどきながら左右に進むからである。

そのほどかれた場所に、図の青●、オレンジ●のようなDNA 合成酵素(polymerase)が張り付く。これはその●が進む方向→の向きに既存の鎖に対面するように新らしい鎖を合成する。青●は緑▲(DNA helicase)の後追いをすれば、丁度「逆平行」に対面する鎖(青→)が複製できる。

ところが赤●は近くにある緑▲を「後追い」してDNAを合成しようと進むとその向きは既存の鎖と同じ向きになってしまい、「逆平行」という性質と矛盾する。

岡崎令治はDNA複製中に短い断片ができることを発見し、次のようなモデルを考えた。

(赤●→側では)、複製起点からDNAをほどき、少し「既存鎖」のたるみを作らせた上で短い鎖①を逆平行の向きに合成する。

次にDNA helicaseが少し進むと、また「既存鎖のたるみ」が生まれ、そこでまた逆平行の向きに短い鎖②を合成する。更に下図のように、

・DNA helicase(緑▲)が少し進む

→既存鎖のたるみができる

→そこに赤●が張り付き逆平行に短い鎖を合成する。

 

すると①②③④⑤のように短い鎖が逆平行に合成される。それを最後にDNA ligaseという「のり」の働きをする酵素でつなぎ合わせる、この赤部分にも「逆平行」に対面する鎖が合成される。

 

その絶妙な仕組みによって「逆平行」の性質を守りながら2本鎖ともきちんと複製されていくことを岡崎は発見した。この短い鎖を「岡崎断片」という「Okazaki fragment」の名称として世界の生物学者に共有され、今は高校の教科書に乗り、多くの高校生も学んである。だたその発見の影に日本の偉大な研究者と被爆の痛みもあったことを重い返し、生物学の発展とともに、戦争を繰り返さないこと、放射性物質による被害を繰り返さないことを同時に願いたい。

 



朝倉幹晴(あさくらみきはる)


facebook Twitter
2018年12月
« 11月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

過去の記事