【2018年11月21日、文部科学省に提出】東京医大の追加合格者による2019年度入試合格者減少分を、他大学医学部を含めた臨時定員増で補うことを求める緊急要望書
2018年11月21日(水)午前、文部科学省大学振興課大学入試室に、11月7日の東京医大声明を受け急きょ結成した「医学部の入試合格者枠の維持を求める会」(代表ー私、顧問ー本田宏医師、副代表ー石渡幸子弁護士)は以下の緊急要望書で申し入れを行い、記者会見を開きました。
平成30年(2018年)11月21日
文部科学大臣 柴山昌彦様
文部科学省大学振興課大学入試室 御中
東京医大の追加合格者による2019年度入試合格者減少分を、他大学医学部を含めた臨時定員増で補うことを求める緊急要望書
医学部の入試合格者枠の維持を求める会
代表 朝倉幹晴(予備校講師(医学部受験専門校舎))
顧問 本田宏(医師、NPO法人医療制度研究会副理事長)
副代表 石渡幸子(弁護士、土曜会法律事務所)
連絡先 渋谷区渋谷3-5-1渋谷グランドハイツ405号室
土曜会法律事務所 (電話・メール(朝倉)090(4075)5967 info@asakura.chiba.jp)
東京医大不正入試事件は、入試の公平性の信頼を揺るがすものであり、今後の改善を強く求めます。改善に向けては今回の問題の根本にある女性医師も働きやすい医療現場への改革など多くの課題について、医療界全体が着実に改革を進めていくことを求めたいと思います。
東京医大が事件発生後、11月7日付けで発表した「【医学科】平成29年度および30年度入学試験不正への対応について」では、不正が原因で合格できなかった昨年度までの受験生の101人を「意向確認対象者」とし、さらに「追加入学者の予測値は合計63名」であり、「合否の結果につきましては、12月上旬までに個別にご連絡させていただきます。」としています。
ところが文書では続けて「平成31年度一般入試およびセンター試験利用入試におきましては、平成29年度および平成30年度の追加入学者の人数を差し引いた人数を募集人員とさせていただきます。募集人員が確定次第、ホームページ等でお知らせいたします。」としており、一般入試75名、推薦入試30名、計105名の合格枠が、大学が予測する追加合格者63名を差し引かれた場合、42名の合格枠という狭い枠に減少することになります。
そもそも、文部科学省では、様々な議論の経過を踏まえて「医学部入学定員は9419名(国立42・公立8・私立31の計81大学)と決めてきました。しかし、東京医大の追加合格が63名と仮定すると、医学部の合格者は、今年度の受験生だけ例年より少ない9419-63=9356名の合格枠に減少します。東京医大の追加合格者はあくまで昨年度までの定員枠に対する追加合格者であり、それを今年の入学定員に加えるべきではありません。
今年の医学部受験生たちは、幼少期からあるいは、浪人してでも医師を目指す等、これまでの生活の多くを医学部合格のための勉強に費やしてきました。入試本番直前の11月になって、東京医大による不正入試のつけを、何も罪のない今年の受験生が、合格者数削減という形で払わせられることは、理不尽です。
もちろん東京医大自体は、もし一般・推進入試枠を昨年通り維持した場合、2019年度入学者が180名と例年の1.5倍となるため、基本的な教育・実習の質が保てないことから、入試枠の減員に踏み切らざるを得ない事情は理解できます。しかしこれが、不正入試に加えてさらに多くの受験生の人生を変えてしまうことは、看過できません。
昨年度までの東京医大入試における不正の問題の不利益を今年度受験生に転嫁することを回避するために、東京医大追加合格者数と同数を、他大学を含めた定員増実施によって全体の合格者枠の維持を検討できないでしょうか。80各大学1名、または定員増をする大学が20~30大学の場合は2~3名の定員増で不足分の補充が行え、1~3名程度の定員増であれば、教育・実習などの対応も可能ではないでしょうか。
文部科学省が、「東京医大不正入試のつけを今年の受験生に負わせない」との決意のもと、今年の入試合格者数を維持するための緊急定員増を決断することを強く求めます。
【背景説明資料】
本田宏医師からは別資料にて、OECDとの比較で日本の医師数が少ないこと、医師の過重労働が過労死含む状況を生んでおり、働きかた改革のためにも医師数の増加が必要であること、とりわけ平成31年受験生が不利益を被ることは避けるべきことが訴えられました。
消費者問題の専門家である石渡幸子弁護士からは、「今年の受験生と家族は、もうセンター試験の願書は提出しており、大学受験日程の設定を受験料などとの関係で入試受験日程などを練っている。それが11月のこの時期になって、東京医大の合格者枠が少なくされることで、過去の不合格者の救済の一方で、そのしわ寄せが今年の受験生と家族にのみ負わせることは問題であり、今年の受験生と家族にしわ寄せをしない解決が必要である。」との訴えがなされました。
【要望書提出】
【要望書の説明と話し合い】
【記者会での記者会見】
文部科学省は現時点では「要望書は受け止める。現時点では、定員は変えられない」との答えでした。しかし本日は最初の要望書提出であり、今後も要請を続けます。またこの後、国会議員会館めぐりをし、与野党の複数の国会議員にこの問題を訴えました。