船橋市の災害(千葉県北西部直下地震など)時の電力供給、電話通信の現状と今後(2017年2月18日、朝倉幹晴の船橋市議会質疑要旨)
2017年2月28日(火)に船橋市議会本会議での防災部分の質疑要旨です。言い足りなかった部分は補足しています。(正式な議事録は6月に出ます)。
内容
0、前置き~東日本大震災、とりわけ「計画停電」を思い返しながら~
1、「計画停電」区割りを市HPで再公開を
2、西日本(60Hz帯)からの「電力融通」とブロックの対応は?
3、避難所での自家発電(非常用発電)の備えは?
4、災害時の電話通信の確保状況は?
朝倉質疑
0、前置き~東日本大震災を思い返しながら~
まもなく東日本大震災から6年になろうとしています。私たちば、地震の時(3月11日(金))、この議場にいました。急遽、本会議を休会し、各市議が地元の状況を把握した上で3月14日(月)に緊急質疑をすることにいたしました。私は地元行田の被害が比較的少なかったことを確認した上で、13日(日)自転車にて、まず、湊町・日の出・栄町の湾岸部の液状化被害を見た上で、前原・習志野台・高根台・金杉・夏見を見て、14日に緊急質疑をいたしました。
2011年3月14日(月)東日本大震災発災後3日目、船橋市議会緊急質疑 藤代孝七市長(当時)からの報告と朝倉幹晴質疑(議事録)
次に、問題になったのは、「計画停電」です。
参考 2011年3月21日 私が旧市議会サイトのメルマガで発信した内容です。
旧市議会報告サイトでの2011年3月21日発信メルマガ(計画停電について)
「震災のこと、14日(月)に本会議で質疑し、予算委員会で審議中です。
まとめて28日の次のメルマガでご報告します。
今日は、16日(水)の市防災課で東京電力京葉支社
地域共生グループの村杉課長にお会いし申し入れをした中身のご報告です。
課長のほうでは「即答はできないが信頼回復に向け社内で検討する」とのことでした。
東京電力株式会社 取締役社長 清水正孝様
各戸への計画停電グル―プ告知と、
原発事故に対する見解・計画停電協力依頼への見解送付のお願い
今回の計画停電に関し、事前の広報が非常に不足していたことで市民は非常に困惑しています。
私たちは、震災の状況を考えれば計画停電に協力していく気持ちは持っています。しかしそのためには、
事前に市民に情報が共有されていることが必要です。
「計画停電グループ」につきましては、御社HPとそれを整理した船橋市HPでたとえば「湊町は1~3丁目まですべて第5グループ」
のように分かりやすい地区もありますが、「前原2丁目は第1・2・4・5グループが混在」しているように複数のグループにまたがっている個所もあります。
御社カスタマーセンター(千葉第二0120(99)5556、047(729)1716))で特定できるとのことですが、
ほとんどつながらない状態が続き、今だに自分の家のグループがわかっていないご家庭があります
また高齢者を中心とするインターネットを見られない方々の中は、グループ分けを知るすべもありません。
そうした中で、計画停電に関する問い合わせが市にも殺到し、本来行うべき市の防災対応が十分にできていない状況も生まれています。
御社が、各戸に計画停電グループの告知と、計画停電協力の依頼、そして原発事故に対する見解を、
封書での文書、それも困難ならば最低限葉書1枚のお知らせでも送付することを切に求めます。
計画停電の時間帯・実施の有無は毎日変化していきますが、各戸のグループは固定されているため、各戸が自らのグループを把握するだけで少しは対処がしやすくなります。
このことで、市民が全て納得するわけではないと思いますが、各戸へのお知らせが全くない現状からすると、
御社への不信感を軽減し、私たち市民が計画停電に協力していく気持ちになる第一歩となると思います。」
さて、本題に入ります。2016年3月にまとめられた5月に発表された千葉県地震被害想定調査では、主に2つの深刻な地震が想定されています。とりわけマグニチュード7.3の千葉県北西部直下地震は、船橋市に重大な被害をもたらす危険性が高いものです。すでにこれまでの議会で、熊本地震をふまえた避難所運営ことと、ライフラインのガス供給のことを昨年6月議会で、港湾被害・火災・帰宅困難者のことを12月議会で聞きました。
さきほど述べた東日本大震災の時の計画停電のことを思い返しながら、本日は電力供給と通信について質疑します。
★質疑1(計画停電区割り図の市HPでの再公開を)
今回は電力供給と、通信についてお聞きします。
「千葉県地震被害想定報告書」p211には「地震直後の状態」として「震度6弱以上の火力発電所がおおむね運転を停止する。電力事業者の供給能力は平時の5割となる」となり、
更に「1日後の状況」として
「Ⅰ都3県で約5割の需要家が停電したままである。建物被害等による電力需要の落ち込みが小さく、電力需要の回復が供給能力を上回る場合、需要抑制(節電要請、電力使用制限令、計画停電等)が行われる。社会的影響を考慮して、首都中枢機能や都心3区等は、東日本大震災の時と同様に、需要抑制が回避される場合がある」
とあります。
311(東日本大震災)の時、3月13日夜に行われた政府の緊急記者会見の翌朝から「計画停電」が実施されると宣言され、船橋の区割りが市民に広報されることなく、計画停電に突入したため、私も市民から多くの区割りの問い合わせをいただき、苦慮して理系研究者ネットワークで入手し公開しましたが、市にも問い合わせと苦情が殺到したと聞いています。あれから6年、あの時、数日経て自らの住む地域の計画停電区割りを把握した市民も、今は自らの区割りを覚えている人はほとんどいないのではないでしょうか?
その計画停電の再来を「報告書」が言っている以上、市民が事前に自らの住む区割りを知り、各区割りの計画停電実施時間帯にあわせた生活設計をしなければなりません。
以下は、当時、市HPに掲載された2011年6月20日の区割りですが、市HPには今は掲載されていません。
、
これは変更ないのでしょうか?また正確には更に入り組んだ丁目別区割りもあったと思いますが、それは今市HPでは、リンク切れで見られません。この地図と丁目別詳細も含めて、
『「千葉県地震被害想定」で計画停電の可能性が示唆されているため、改めて公開します』
という形で、東京電力に確認しながら、わかりやすい形に整理してHPに公開し直すべきと思いますがいかがでしょうか?
●市答弁要旨(質疑1 計画停電ブロックの事前公開)
東京電力に確認したところ、大地震や大規模な事故により、電力の供給が不足した場合には、東日本大震災時と同様な区割りで計画停電を実行するとのことです。各事業者においても被害状況、利用制限、復旧状況、復旧見込みは公表することとなっておりますので、今後、ホームページにおいて、どのような形で公表できるのか、東京電力と協議してまいります。
★質疑2 西日本(60Hz帯)からの「電力融通」とブロックの対応は?
報告書には「電力事業者間で電力の融通が行われる。60Hz帯の電力事業者や東北電力等の供給量に余裕がある場合、連系線の空容量分の融通が可能である」
「首都直下地震では、主に東側の50Hz帯の電力事業者が被災するが、60Hz帯の電力事業者からは現状で120万Kwの融通が可能」
とあります。また国の「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力需給検証小委員会」では、西の60Hz帯と東の50Hz帯の災害時の相互融通のための周波数変換装置(FC、frequency changer)のある変電所の場所が明示され、増強の方針もあります。
実際に機能することを期待したいのですが、船橋のブロック区画の電力供給は、ルートが異なり、各ブロックに電力を供給している火力発電所の被災状況によって供給が異なることもありうると思います。また60Hz帯からの電力融通についてもブロックごとにことなり、あるブロックは計画停電が回避され、別のブロックは「計画停電」が実施されるなど、市内の電力供給が「まだら」になることもありうるのではないかと思います。この状況を市民が事前に知り備えや心構えを持つことは必要なことと思います。各ブロックが主にどの火力発電所からの供給ブロックかのでしょうか?またブロックのうち西からの電力融通が来やすいブロックの対応はどこでしょうか?
●市答弁要旨2(西日本からの「電力融通」とブロックの対応)
東京電力に確認したところ、各火力発電所や風力発電所等から得られたエネルギーを集約して、船橋市の各ブロックに供給するとのことです。また、電力融通に関しては、その時の状況にもよりますが、西日本方面(60ヘルツ)(新信濃・佐久間・東清水)から、東京エリア(50ヘルツ)へ融通され、本市の各ブロックに供給されるとのことです。
●質疑3(避難所での自家発電(非常用発電)の備えは?)
計画停電時の広報や各ブロックの電力供給は、実際に被災の状況によって異なるでしょうが、できるだけ事前に東京電力に適切な情報提供を求め、市が備えるように準備することを要望いたします。しかし、同時に必要なのは、電力の供給が絶たれた状況でも避難所や市の施設で、自家発電(非常用発電)で最低限の電力を供給できる備えです。私もカセットガス式自家発電機の普及をこれまで質疑してきましたが、避難所の自家発電機の整備状況を確認したいと思います。いかがでしょうか?
●市答弁要旨3(避難所の自家発電機整備状況)
避難所の自家発電機の整備状況ですが、東日本大震災後の平成23年度より、避難所にカセットボンベ式発電機の備蓄を開始し、平成26年度までに、避難所となるすべての学校に、発電機2基と、カセットボンベ48本を備蓄しておりますが、これは、2基同時に使用して12時間使用可能となります。その他公民館施設や防災倉庫7カ所も含めますと合計で258基備蓄しております。
★質疑4(災害時の電話通信の確保状況は?)
次に電話通信の状況をお聞きします。「報告書」には地震直後の状況として以下のようにあります。
「固定電話 大量のアクセスにより輻輳が発生するため90%規制が実施されほとんど通話ができなくなる」
「携帯電話 90%程度規制。メールは大幅な遅配等が発生する可能性。1都3県で数%~約1割の基地局が停波する。時間の経過とともに非常用電源の燃料が枯渇し、機能停止が拡大する。
1日後の状況として
「固定電話 輻輳は通信量が減少傾向となることから、徐々に通信規制率が緩和される。停電が継続するエリアでは、非常用電源を確保できない交換機や基地局で通信障害が発生する」
「携帯電話 停電したエリアの携帯電話基地局は、非常用電源の燃料拡充等が限定的であるため、多くの基地局で機能停止が発生する」
とあります。
もちろん発災時は、身近な地域コミュニティーで避難所運営などで住民同士が協力し合い、また直接対面して安否確認をすることが必要になってきます。災害時連絡用に、電話が機能しにくい場合、市が協力関係にあるアマチュア無線の方々の力をお借りするなどあらゆる手段の通信ルートの確保が必要です。しかし同時に、職場・学校・自宅などに分かれて被災した家族どうしの安否確認、そして少し離れた友人どうしの安否確認を誰もが確認したくなり、NTTの災害伝言ダイヤル「171」や、比較的災害に強いSNSやネットの安否確認システムを活用したりも必要です。しかし、最終的には直接会うか電話で声を聴いた時にはじめて本当に安心できるものではないでしょうか?
報告書の中には、通信の確保について希望の見える記述もあります。被災直後について
「個々の基地局が機能しない場合のバックアップとして、例えばNTTドコモやKDDIでは、半径7㎞をカバーする大ゾーン基地局が整備されており、また例えばNTTドコモの場合には最低でも24時間分の電源が確保されているほか、必要に応じて移動電源車の派遣や燃料の補給等も実施される」
1日後について「代替手段による機能回復 市役所や町村役場、人口が集中するエリアの一部で代替手段(大ゾーン基地局、特設公衆電話、移動用無線基地局車の設置・配備等)による機能回復」とあります。
大ゾーン基地局、特設公衆電話、移動用無線基地局車の設置・配備等)による機能回復
について船橋ではどのような状況になっており、市としてはNTTなどとも連携しながら、今後どのような方向を目指すつもりでしょうか?
●市答弁4要旨(災害時の電話通信の確保状況)
固定電話について、NTT東日本に確認したところ、災害時の通信確保用の移動基地局車4台・電源供給車4台を千葉県内で整備しており、大規模災害時においてはNTT東日本・西日本を含めて応援体制を整えているとのことです。また、携帯電話については、NTTドコモに確認したところ、広域災害や停電時に通信を確保するための大ゾーン基地局を千葉市と船橋市に整備をしており、その他移動基地局車2台、電源供給車2台を千葉県内に整備しているとのことです。また、市では、NTT東日本と、平成28年8月に「災害時用公衆電話の設置・利用に関する覚書」を交わし、今年度に避難所となる小中学校等に特設公衆電話の配備を行っております。災害時に安定した通信機能が確保できるよう、引き続き各通信会社と連携を密にしてまいります。