免疫学の基礎解説図1(2021年9月作成)~ヒトの血液細胞の分化経路図~

2021年9月5日 予備校生物科講師・船橋市議 朝倉幹晴

新型コロナウイルス感染症に対する万人に有効な対抗薬がない現状では、ヒトの免疫系で抑え込んでいくしかない。ワクチンもその免疫系の活性化の方法の1つである。その免疫系の学問の発展は著しく、ここ20年に限っても、高校生物の教科書の記述内容は次々に書き換えられてきた。したがって、常に、この分野は「かつての知識での解説」が不十分となる可能性があり、生物学を専門とする私も公式サイトで発信することに関して慎重であった。
そんな中、私が信頼している免疫学者の宮坂昌之さん(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)が2021年3月15日に「標準免疫学」第4版(医学書院)を改訂発行された。2013年3月15日の第3版発行から8年間の修正を踏まえた内容であり、現時点での最も正確な内容と考えてよい。私も購入し、この数か月間、熟読と理解を進めていた。
この内容を更にわかりやすく解説していくのが、新型コロナウイルス対策において、市民と医療者・研究者の中間的な位置にいる私の役割と考え、2021年9月より、徐々にその内容を発信していくことにいたします。一気にすべてを完成させようとせず、1つずつ図と解説を徐々に作り、2021年内には全体としてまとまった読み物にできるようにいたします。

なお、私の図版作成にあたっては、「標準免疫学」第4版(医学書院)の図をベースにしながらも、高校生物教科書、生物基礎教科書、「休み時間の免疫学第3版」(2018年2月、講談社)「医系免疫学改訂第15版」(2018年10月、中外医学社)「ヒトの免疫学原書第3版」(2019年6月、南江堂)の記述内容や図の要素を取り入れ、私なりに修正した図としております。

1,ヒトの血液細胞(血球)は骨髄の造血幹細胞から分化する。
2、図では分化を完了した細胞を周囲に配置した。中央部分にあるものは分化途上の細胞である。
3、酸素運搬に関与する赤血球と血液凝固に関与する血小板は、他の血液細胞とは別の分化を進めた(図の左に行く流れ)
4、赤血球と血小板以外の細胞を、見かけ上赤くないので「白血球」(WBC、white blood cell、あるいはleukocyte)と総称する。ただ、この図の周囲に配置されているように「白血球」のグループは多彩な細胞群からなり、それぞれが別々の方法で、免疫(immunity)に関与している。「免疫細胞」と総称することもある。
5、血液とは別の流れで最終的に静脈(血液)に合流するリンパ管の流れがあり、その途中に「リンパ節」がある。ここには免疫細胞の多くが滞在するので、免疫細胞の一部を、その滞在場所の名称をとって「リンパ球」ということもあった。つまり「白血球」グループの中で、リンパ節への滞在の比率が高い細胞を特に「リンパ球」と言ってきた歴史があった。しかし、免疫細胞の多くは血液とリンパ管(リンパ節)の間を自由に行き来している、つまり血液の中にも存在するので、最近はリンパ球という言い方はせずに、上記の周囲に配置してあるように「●●細胞」という名称で呼ぶことが多い。
6、免疫は、抗原の特徴を正確にとらえない段階での初期に起きる「自然免疫」と、抗原の特徴を正確にとらえた上で対処をする、感染後しばらく後に出動する「獲得免疫」に分けられる。「獲得免疫」は抗体を産生し体液中に分泌して対抗する「体液性免疫」と、ウイルス感染細胞なども直接攻撃排除する「細胞性免疫」にわけられる。図ではそれぞれの担当細胞を色分けした。ただし、「自然免疫」と「獲得免疫」の橋渡しをしている「抗原提示細胞」の役割をするものもあるし、両者に関与するものもあるので、図の色分けは大雑把なものと考えてほしい。

 

今後、ここに登場した細胞の個々の働きを更に正確に説明していくつもりである。ここの登場した免疫細胞の特徴や働きがわかると免疫の全体像が見えやすくなる。ただ本日(9月5日)時点では、ここまでとします。また1週間後ぐらいには更に完成、あるいは新しい図を作成しますのでお待ちください。

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