5月4日(土)11~12時、ミニ講演「四畳半・方丈は時空と世界につながる」~方丈記・四畳半作品群を考察する~

2024年4月7日 予備校生物科講師・船橋市議 朝倉幹晴

ミニ講演&フリートーク「四畳半・方丈は時空と世界につながる」
~方丈記・四畳半作品群を考察する~

2024年5月4日(土)11~12時 船橋市勤労市民センター展示室 主催 朝倉塾 参加費 100円(資料代)
申込不要 直接お越しください。

 

30分朝倉から講演し、30分、質疑応答や自由討論(フリートーク)をします。

●開催にあたって

「ゆく河のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。」

誰もが知っている「方丈記」のこの冒頭の文章、生物科講師の私は、生命の本質「動的平衡」を示すものとして生物学の授業の際にもたびたび引用してきましたが、後半部分まで読み切ったことは今日までありませんでした。

私もかつてそうでしたが、国語のテストで、鴨長明「方丈記」と吉田兼好「徒然草」を著者と作品名を間違えずに(混同せずに)答えようと努力して「覚える」対象としてした捉えていない高校生は今でも多いのではないでしょうか?

そんな私が、はじめて「方丈記」を全文読み切ったのは、つい最近2024年2月27日でした。

それまで、全文を今まで読もうとしなかったのは、原文(古文)で全文を読み切るのは簡単ではないし、「達観」した方のエッセイを「世俗」で生きている私が共感できないだろうという思いがあったからです。しかし、それが思い込みでしかなかったことが以下の本を読んでよくわかりました。


(光文社文庫)
【本書裏表紙の案内文】
災厄の数々、生のはかなさ・・・・。人間と、人間が暮らす建物を一つの軸として綴られた、日本中世を代表する随筆。
京都郊外の日野に作られた一丈四方の草庵で、何ものにも縛られない生活を見出した鴨長明の息遣いが聞こえる瑞々しい新訳!
和歌十首と、訳者のオリジナルエッセイ付き。


アマゾン取扱い「方丈記」(光文社文庫)

なお「方丈記」は光文社文庫以外でも出版されていますので、自由にお選びください。ただ、私はこれを読んだので、これをもとに解説します。)

 

私に「方丈記」の味わいを気づかせてくれた本書のエッセイのほんの一部紹介します。

「このように考えると,『方丈記』を記す鴨長明は、じつは、まだまだ俗世間と関りたいのではないかと思ってしまう。無意識のうちに、本人も気づかないところに、そんな気持ちが残っているのではないか、と。
それが悪いのではない。仏道修行として問題があるとしても、現在、読み物としての『方丈記』と対峙するにあたっては、むしろそういう点に心を引かれる。なぜかといえば、そこに深い葛藤があるからだ。超人ではない人間のすがたがあって、それが著者を身近な人として読み手へ近づける。」

京都の方丈(4畳半か5畳半)で書かれた文章が、812年の時を経て、(家の全体は少し広くなったが、各部屋の広さはほぼ同じ広さを維持して住んでいる)日本列島の住民の1人である私の心に届いたと考えると不思議です。本書は640円(税入れて704円)です。1年約1円で812年の時を越えて「タイムワープ」してきたと考えると破格な安さです。
もしかしたら812年の時を経ても、人の心の葛藤や想いはあまり変わらないのかもしれませんね。
加えて長尾重武さんの「小さな家の思想~方丈記を建築で読み解く~」(文春新書)を読ませていただき、方丈記の深さを更に感じました。他にも関連書を読ませていただきました。

●方丈記と松本零士「大純情くん(四畳半SF)」
私は、高校生の時からの松本零士ファンです。ご逝去された時は大泉学園に献花に伺いました。さて、松本零士さんというと「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」などのSFが有名ですが、実はそれより前は「男おいどん」「大四畳半大物語」という四畳半下宿で頑張る青年のマンガが有名でした。これはマンガ家を目指して上京し文京区本郷で下宿した松本零士さん自身の体験に基づきます。
そして、コアなファンは知っているのですが、「SF」と「四畳半物」の中間に、四畳半がSFの舞台となる「四畳半SF」という作品がありました。特に「大純情くん」は松本零士さんの全てが詰まっている名作です。
方丈記が800年の時を越えて今も読み継がれていること、「大純情くん」の四畳半の生活の場が、人類の存亡をかけたSFの舞台となることには、共通の何かがありそうな気がします。(松本零士さんではありませんが)京都を舞台にした森見登美彦さんの「四畳半神話体系」という不思議な作品もあります。

私の30分の報告の25分は、方丈記そのものの時代背景や歴史的考察をいたします。そして、5分は、松本零士を始めとする四畳半作品群を紹介し、共通性を探る問題提起をさせていただくつもりです。

つい最近、急速に魅せられた者としての報告ですので、研究者のような深さや正確性は十分ではないことをご理解いただいた上でぜひお越しください。