2024年 #大学入試 #共通テスト #生物 第3問(配点16点)問題・解答・解説 

2024年4月12日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2024年大学入試共通テスト「生物」第3問(計16点)の解答、解説を作成しましたので、学習や入試対策にご活用ください。問題の最後の下にある「2」をクリックすると解答・解説のページに飛びます。(入試問題は黒一色印刷ですが、せっかくの画面上ですのでイメージ強化のため一部カラー化しました。)

2024年共通テスト「生物」第3問(配点16点)問題

第3問 骨格筋に関する次の文章を読み、後の問い(問1~3)に答えよ。

骨格筋は筋細胞(筋紡錘)が多数集まってできており、筋細胞は、図1で示すように、多数の筋原繊維と、それを取り囲む発達した筋小胞体を持つ。(a)骨格筋の収縮は、筋細胞が収縮することで起こる
脊椎動物では、全ての骨格筋は胚の体節から分化する。図2は、ある脊椎動物の胚の横断面であり、体節の発生に伴う分化の様子を模式的に示している。(b)体節は、発生が進むと二つの異なる組織に分化する。これらの二つの組織のうち、背側の表皮に近い組織は皮筋節(ひきんせつ)と呼ばれる。皮筋節の一部から筋芽細胞が生じ、筋芽細胞は、所定の場所まで移動した後、筋細胞になる。

問1 下線部(a)に関連して、骨格筋の収縮に関する記述として適当なものを、次ののうちから二つ選べ。ただし解答の順序は問わない。(3点×2=6点)

サルコメアの長さが短くなっても、暗帯の長さは変わらない。
トロポニンにカルシウムイオン(Ca2+)が結合することで、アクチンとミオシンが結合できるようになる。
無酸素状態で筋収縮が起こることで解糖が起こり、筋細胞にはエタノールが蓄積する。
ATPがアクチンに結合することで、アクチンフィラメントはミオシンフィラメントの間に滑り込む。
アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが共に短くなることで、筋収縮が起こる。
強縮は、単収縮が重なり合ったものであり、その大きさは単収縮と同じである。

問2 下線部(a)について、哺乳類の筋細胞の収縮の仕組みを調べる実験1~4を行った。実験の内容とそれぞれの結果を次に示す。

実験に使った試料
・筋細胞をグリセリンに浸し、筋原繊維のみにした筋(以下、グリセリン筋)
・筋細胞から細胞膜のみを除去し、筋原繊維や細胞小器官は正常のままの筋(以下、スキンド筋)

実験1 ATPと高濃度のCa2+を含む溶液に、グリセリン筋を浸した。
結果 筋収縮が起こった。

実験2 実験1と同じ高濃度のCa2+を含み、ATPは含まない溶液に、グリセリン筋を浸した。
結果 筋収縮は起こらなかった。

実験3 ATPと低濃度のCa2+を含む溶液に、スキンド筋を浸した。
結果 筋収縮は起こらなかった。

実験4 実験3と同じ溶液に、スキンド筋をしばらく浸した後、カルシウムチャネルを強制的に開く薬剤を加えた。
結果 筋収縮が起こった。

次に、実験5~7を行った。実験1~4の結果を踏まえると、どのような結果になると考えられるか。予想される実験結果の組合せとして最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(5点)

実験5 実験1で使用した溶液のATPを、グルコースに変えて、グリセリン筋を浸した。

実験6 実験4と同じ操作を、スキンド筋の代わりにグリセリン筋を用いて行った。

実験7 実験1と同じ操作を、グリセリン筋の代わりにスキンド筋を用いて行った。

問3 下線部(b)に関連して、皮筋節が分化する仕組みを確かめるために、ある発生段階のニワトリ胚を用いて、実験8~10の移植実験を行い、1日後の体節の分化を調べた。実験8・実験9の結果から考えると、実験⑩を行った結果、体節はどのように分化すると考えられるか。その様子を示した図として最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(5点)

実験8 胚から脊索を取り出し、図3で示すように、別の胚の右側の体節と表皮との間に移植した。
結果 左側の体節では、背側に皮筋節が分化した。
右側の体節では、皮筋節が分化しなかった。

実験9 図4で示すように、肺から神経管を取り出して切除し、背側神経管断面を作った。この断片を、別の胚の右側の大切と脊索との間に移植した。
結果 左側の体節では、背側に皮筋節が分化した。
右側の体節では、ほぼ船体が皮筋節に分化した。

実験10 図5で示すように、胚の左側の体節を取り出し、右の体節を取り除いた別の胚に、背側が逆になるように移植した。