2018年2月27日、船橋市議会、朝倉幹晴質疑(認知症対策部分)概要

2017年2月27日の船橋市議会での朝倉幹晴質疑のうち、認知症部分の質疑の概要の記録です。なお質疑の正式な議事録は後日、議会HPに掲載されますのでご確認ください。

なお、以下録画中継で動画でご覧いただけます。

2018年2月27日朝倉幹晴質疑(46分~1時間6分の20分が認知症関連)

以下の質疑概要の掲載にあたってはわかりやすくするため、次のように修正しています。

①実際発言している言葉に若干説明を加えた。逆にまわりくどい表現は割愛した。市答弁の「ですます調」を断定調(だ・である)にした。

②来年度元号が変更されることもあり、わかりやすいように全て西暦に直した。

③繰り返し質疑応答の部分は合体したり、質疑と答弁で同様なことを繰り返している場合には合体表記した。

 

●朝倉質疑1(認知症予備群(MCI)の早期発見・対処)

2025年には高齢者の5人に1人になると予測されている認知症。予防は困難と思われてきましたが、認知症予備群ともいわれる軽度認知障害(MCI、mild cognitive impairment)の段階で発見し、運動・食事・認知トレーニング・血圧管理などをすれば、予防できる可能性があるとわかってきました。MCIの早期発見と対処の方針は?

 

★市答弁1

MCIも含め認知症は早期に発見できれば対応できることから、多くの方に正しい情報を周知することは重要であると考え、本市では、認知症サポーター養成講座で、MCIについて、取り上げている。

今後、本市の認知症高齢者徘徊模擬訓練等の市民参加のイベントなど認知症施策を推進していくなかで、有効なMCIに関する取り組みについて、国・県・先進市の動向を注視しながらPRに努める。

 

●朝倉質疑2(認知症対策(新オレンジプラン)の船橋市での具体化は?)

2015年1月に国(厚生労働省)が発表した「新オレンジプラン」(認知症施策推進総合戦略)で、市町村には、認知症初期集中支援チーム・認知症地域支援推進員の配置、認知症サポーターの要請、認知症カフェの普及など多岐のとりくみが求められています。船橋市での取組の現状は?

★市答弁2

船橋市におきましては、認知症サポーター養成を2015年度と2016年度に非常勤を含めた全市職員と、2016年度から市内全小学校で実施し、対象を拡大している。2016年度にモデル事業として西部地域包括支援センターに認知症初期集中支援チームを設置し、20人を支援した。2017年度からは、医師会から協力を得まして3名のチーム医で市内全域をカバーし、1月1日現在で64人を支援している。2018年度は、医師会の更なるご協力により、5つの生活圏域ごとに地域に精通したチーム医5名を迎えた体制で市内全域を支援する。

また、認知症地域支援推進員については、各地域包括支援センターに2018年1月現在、直営の地域包括支援センターに9名、委託の地域包括支援センターに8名の計17名を配属している。

 

認知症の理解を進めるためのオレンジリング。認知症サポーター養成講座受講者に配布される。(私も受講し持っています。)

 

●朝倉質疑3(運転免許証自主返納について) 2017年3月の道路交通法改正により、75歳以上の高齢者ドライバーの免許更新に認知機能検査を用いるなど厳格化され、運転免許証自主返納の動きも始まっている。船橋での現状と今後の取り組みは?

 

★市答弁3 市医師会からも日頃の診察を通じて、認知症が疑われる高齢者本人に運転免許証の返納を求めているが、買い物や通院など交通手段の確保を理由に、返納まで至らないとの意見を受け、2017年度から、運転免許証自主返納支援パンフレットを作成し、返納を促していただいている。

2018年度につきましては、自主返納パンフレットを2倍の2万部に増刷し、3師会に未加入の医療機関を加えることで、市内全医療機関で配布されることになる。また、老人クラブへは、会員の中で運転が心配な方がいらっしゃいましたら、相談を促していただくよう配布していく。

 

●朝倉質疑4(認知症の行動・心理的症状(BPSD)に対するとらえ方とケアについて)

今回の認知症対策質疑にあたって今年(2018年)1・2月に発行されたばかりの2冊の本「パーソン・センタード・ケアでひらく

認知症看護の扉」(南江堂)、「隠れ認知症」(旭俊臣、幻冬舎)を読まさせていただくとともに、放送大学講座「認知症とともに生きる」15回を見させていただいた。その中で共通の問題意識として、認知症のBPSD(行動・心理的症状、behavioral and psychological symptoms of dementia)に対するとらえ方が、医療・介護福祉関係者の中で問いなおされつつあることを知った。「認知症看護の扉」(南江堂)に次のような文章がある。

「BPSDという先入観は、認知症の症状とみなしてしまい、苦痛や不安、あるいは身体症状や訴えなど、見えるものも見えなくさせてしまう。例えば、ものとられ妄想と認知症の症状として扱われ、ケアよりも治療の対象となってしまいがちである。(中略)。BPSDと呼ばれる行動は、脳の障害による記憶障害や見当識障害も影響しているが、そのほとんどは身体の健康状態、生活歴、性格傾向、社会心理による認知症の人の心理的ニーズが満たされない状態、さらにはストレスへの対処能力の低下のために、引き起こされている。つまりは不安、焦燥、興奮などとよばれる行動心理は、認知症の人への理解不足やケア不足による反応や行動といえる。(中略)。そこで本書では、ケアにかかわるすべての人が認知症の人の理解やケアの重要性を再認識するための意識の転換を図ることを強調する意味からも、BPSDではなく認知症の人のストレスによる反応や行動と呼ぶことにした。」

認知症の人の反応や行動を認知症になれば必然的に伴う症状と見るのではなく、

ひとりひとりの心理的なニーズによりそう支援を行うことで、反応や行動を緩和していく必要が強調され始めているが、船橋市ではどのような方向を目指すのか?

 

★市答弁4

ご指摘どおり、ご本人が行いたいことがうまくいかず、伝えたいことが正しく伝わらないなどのストレスから、さらにBPSDが悪化する一つの要因と考えられている。そのようなサインを受け取る介護者側の理解が進まないこともあり、虐待へ発展する恐れもある。現在、このような行動・心理症状を正しく理解し、認知症をもつ人を尊重しその人の立場に立って考え、ケアを行おうとするパーソン・センタード・ケアやユマニチユードなどを取り入れることで双方が心身ともに豊かな生活を得られる一つの方法として注目いる。

市といたしましては、まず、認知症を正しく知っていただくことにより、行動・心理症状(BPSD)についての理解を促し、在宅介護へのアドバイスや早期に医療につなげることなどについて、地域包括支援センター相談業務、認知症相談、認知症初期集中支援チーム、認知症カフェにより支援していく。さらに地域で行う講演会などで最新の情報を発信していきたい。

 

●朝倉質疑5(認知症とともに生きる社会を目指して)

認知症とともに生きる社会を目指して、昨年9月10日、介護事業所を走ってつなぐ「Run伴」が開催され、私も一部参加させていただいた。認知症カフェも各地で開催されはじめている。私は小室でのカフェに参加させていただいたが、地域の方々が関わるよい形で行われていた。船橋市はこのような取り組みをどう評価し、そう進めようとしているのか?

 

★市答弁5

「認知症の人にやさしい船橋」を目指し、地域でご本人や家族を支えるための地域づくりとしまして、認知症高齢者徘徊模擬訓練や認知症カフェの開設を、2016年度より支援している。認知症カフェは、2018年2月5日現在で19か所、市内で開設されており、新規開設に関する相談を6件お受けしている。2018年度からは、開設のためのノウハウを学ぶセミナーを開催し、認知症カフェの拡大を支援してまいりたい。

また、そのような中で、さまざまな職種の市民や、事業所が参加した委員会で、千葉県並びに船橋市で、初めてRun伴が市民の皆様が中心となり、昨年9月に行われ、本市も後援する等、支援した。

本市といたしましても、このような認知症の方へのやさしいまちづくりに向けたイベント等や取り組みが市民発で開催されることは、喜ばしいことと考え、今後も連携し、支援したいと考えている。

(以下録画中継で動画でご覧いただけます。)

2018年2月27日朝倉幹晴質疑(46分~1時間6分の20分が認知症関連)