2021年大学入試共通テスト「生物」第5問A(配点12点)問題・解答・解説
2021年4月 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
2022年以降の共通テスト「生物」を受験する人を含む大学入試「生物」選択者、物理選択で大学に入り、大学で生物を学ぶ必要がでてきた方、生物学に関心のある市民の方々に、以下解答解説をお届けします。ご活用ください。入試問題は白黒ですが、イメージ補強のため一部カラー化しました。第5問はAとBは実質別の問題なので別に解答例を作ります。
第5問 次の文章(A、B)を読み、下の問い(問1~7)に答えよ。
A (a)被子植物の地上部は、茎、葉、および花などからなり、これらの構造は(b)茎頂分裂組織から形成される。(c)茎頂分裂組織からつくられたばかりの葉は、かたちが単純で、丸いこぶ状であるが、成長が進むにつれて扁平(へんぺい)になる。葉には表裏の違いがあり、表面の色合いや光沢、構成する細胞の種類などが異なる。(配点12点)
問1
下線部(a)に関連して、被子植物の発生と生殖に関する記述として誤っているものを、次ののうちから一つ選べ。
受精直後の胚乳核に含まれるゲノムDNAの量は、受精直後の受精卵の核に含まれるゲノムDNAの量と同じである。
花の4種類の構造(がく片、花弁、おしべ、めじべ)の形成には、A、B、およびCの三つのクラスの遺伝子が必要である。
花粉母細胞は減数分裂により、4個の細胞からなる花粉四分子となる。
問2
下線部(b)に関連して、茎頂分裂組織から葉が形成される様子を調べるため、実験1・実験2を行った。
実験1 ジャガイモの塊根から芽をくりぬき、その芽をカミソリで縦に二つに分割した。切断面を顕微鏡で観察し、図1の模式図を描いた。
実験2 別の芽を取り出し、茎頂を真上から観察したところ、図2のように茎頂分裂組織(M)と、そこから生じたばかりの二つの葉(P1とP2)が見えた。P2は、P1より扁平で大きかった。このまま茎頂を培養すると、P1もP2も扁平な葉へと成長した。さらに、Iの位置から新たな葉が生じ、やはり成長して扁平になった。いずれの葉も、表側がMの方を向いていた。
図1において茎頂分裂組織の位置を示す記号と、図2において先に形成が始まった葉の位置を示す記号との組合せとして最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
W、P1 W、P2 X、P1 X、P2 Y、P1 Y、P2 Z、P1 Z、P2
問3
下線部(c)に関連して、茎頂分裂組織から葉が形成される様子を調べるため、実験3を行った。
実験3 図3のようにカミソリで茎頂に切れ込みを入れることで、ⅠとMとの連絡を遮断したところ、Iからは棒状のかたちをした、表裏がはっきりしない異常な葉が形成された。また、図4のようにP1、P2と、Iとの連絡を遮断したところ、Iから扁平な葉が形成され、その表側はMの方を向いていた。さらに、図5のようにMを二つの小領域(M1とM2)に分割すると、それぞれの小領域が独立した茎頂分裂組織となった。Iからは表側がM2の方を向いた扁平な葉が形成された。
次の記述のうち、実験3の結果から導かれる考察を過不足なく含むものを、下ののうちから一つ選べ。
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