2024年 #大学入試 #共通テスト #生物 第1問(配点14点)問題・解答・解説

2024年4月11日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2024年大学入試共通テスト「生物」第1問(計14点)の解答、解説を作成しましたので、学習や入試対策にご活用ください。問題の最後の下にある「2」をクリックすると解答・解説のページに飛びます。(入試問題は黒一色印刷ですが、せっかくの画面上ですのでイメージ強化のため一部カラー化しました。)

共通テスト「生物」第1問(配点14点)問題

第1問 糖代謝に関する次の文章を読み、後の問い(問1~3)に答えよ。

納豆は大豆を原料として、稲わらに付着している納豆菌の働きを利用して作ることができる。自然界では、(a)納豆菌は稲わら中に含まれる糖を分解することでエネルギーを得ていると考えられる。稲わら中には、糖の成分として炭素を6個含むグルコースだけでなく、炭素を6個含むグルコースだけでなく、炭素を5個含むキシロースなども含まれている。
納豆菌に近縁の細菌Nは、グルコースだけでなくキシロースもエネルギー源として利用することができる。細菌Nのキシロースの代謝には、キシロースオペロンを構成する遺伝子からつくられる酵素が必要である。

問1 下線部(a)に関連して、エネルギー代謝に関する記述として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(4点)
解糖系には、ATPを利用する反応があり、解糖系全体の反応において、ATPが合成される量よりも消費される量のほうが多い。
アルコール発酵においては、解糖系で生じたNADHの酸化に伴いATPが合成される。
クエン酸回路では、NADHが生成されるだけでなく、ATPも合成される。
呼吸の過程では、酵素を必要とする電子伝達系において、ATPの合成に伴い二酸化炭素が生成される。

 

グルコースとキシロースの両方を含む培地(以下、今号糖培地)における、細菌Nの増殖を調べるため、実験1を行った。

実験1 細菌Nの野生株を混合糖培地で培養し、培地中の細胞数とそれぞれの糖の濃度の変化を調べた。同時に、そのときのキシロースオペロンの発現量を調べた。図1は、その結果を示したものである。また、野生株とは糖の利用の仕方が異なる変異株Mを同様に培養し、細胞数と糖濃度の変化を調べたところ、図2の結果が得られた。なお、図1と図2で、培養開始時の細胞数は同じである。

問2 実験1の結果について考察した次の文章中のア~ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(5点)

野生株では、グルコースとキシロースの両方が存在すると、が先に利用される。キシロースオペロンの発現がリプレッサーによる制御されているとすると、このときリプレッサーはオペレーターいると考え有れる。
このような遺伝子発現の調節により、より速い黄色を可能とする糖が優先的に利用されている。また、実験1の条件では、のほうが増殖が速く、野生株と変異株Mを混ぜて培養すると。ウが集団内で優勢になると考えられる。

問3 図1から、細菌Nのキシロースオペロンの発現制御について、次のような仮説を立てた。

「キシロースオペロンは、キシロースが存在すると発現するが、グルコースが存在するとキシロースが存在しても発現は抑制される。」

 

しかし、図1からは、「キシロースオペロンの発現は、グルコースのみによって制御される」という可能性も考えられる。この可能性を検討するためには、次の条件(a)~(d)のうち、どの条件で培養したときのキシロースオペロンの発現量を比較すればよいか。その組合せとして最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(5点)

(a)グルコースのみを含む培地
(b)キシロースのみを含む培地
(c)グルコースとキシロースのどちらも含まない培地
(d)混合糖培地