2025年大学入試共通テスト「生物」第4問問題(配点18点)・解答・解説

2025年12月11日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
大学入試共通テストの生物の2025年第4問の解答・解説を作りましたので、受験対策や日常の勉強にお役立てください。本ページの最後までスクロールいただき「2」を押すと、解答・解説のページに飛びます。

2025年大学入試共通テスト「生物」第4問問題(配点18点)

アフリカツメガエルでは、(a)胚が形成される過程で極体が生じる部域が動物極となり、将来、この動物極側が前側(頭側)になる。卵割が進み胞胚期になると、(b)複数のタンパク質の働きにより背腹軸に沿った中胚葉が誘導される

問1 下線部(a)に関連して、次の記述(a)~(d)のうち、卵形成に関する記述として適当なものはどれか。その組合せ最も適当なものを、後の
のうちから一つ選べ。(5点)
(a)一つの卵原細胞は、減数分裂を経て、最終的に一つの卵と四つの極体を生じる。
(b)第一極体には、G1期の卵原細胞と同量のDNAが含まれる。
(c)一次卵母細胞には、卵の4倍量のDNAが含まれ、その核相(染色体のセット数で表される染色体構成)は4nである。
(d)二次卵母細胞の核相はnで、そこにはG1期の卵原細胞と同量のDNAが含まれる。


問2 下線部(b)に関連して、背腹軸に沿った中胚葉誘導で働くタンパク質Aは、図1に示すように、胞胚期に胚の背側に局在して働く。また、タンパク質Aはタンパク質Bをつくる遺伝子Bの予定内胚葉での発現を活性化する。その結果、図2に示すように、タンパク質Bの濃度は、背側のほうが腹側よりも高くなる。さらにタンパク質Bは、中胚葉誘導において、その濃度が高いと背側中胚葉を、低いと腹側中胚葉を誘導する。


中胚葉誘導の仕組みを調べるため、受精卵に、ある操作1を行った後に発生を進ませたところ、誘導された中胚葉は全て腹側中胚葉になった。また、卵割期の胚に別の操作2を行った後に発生を進ませると、誘導された中胚葉は全て背側中胚葉になった。このような現象が、タンパク質Aとタンパク質Bそれぞれの胚内での分布と濃度の変化によって起こるとした場合、それはどのような変化になると推測されるか。最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。なお、タンパク質Aとタンパク質B以外の因子の関与は考慮しないものとする。(5点)

操作1を行った後に形成された胞胚では、背側でのタンパク質Aの濃度は腹側より高く、また、その操作を行わない胚のどの部分よりも高くなる。
操作1を行った後に形成された初期原腸胚の背側予定内胚葉域のタンパク質Bの濃度は、腹側より高く、その操作を行わない胚の背側より高い。
操作2を行った後に形成された胞胚では、その操作を行わない胚の背側と同程度の濃度のタンパク質Aが胚全体に分布する。
操作2を行った後に形成された初期原腸胚では、タンパク質Bは、その操作を行わない胚に比べて、胚のどの部分でも減少し、均一に分布する。

 

問3 同じく下線部(b)に関連して、タンパク質Cは、初期原腸胚の予定外胚葉域で発現し、細胞外に分泌される。他方、タンパク質Dは、中胚葉が形成された後、中胚葉の背側で発現し、細胞外に分泌される。その後、タンパク質Dはタンパク質Cに結合し、外胚葉から神経組織が形成される際に必要となる。タンパク質Cとタンパク質Dの働きを調べるため、実験1を行った。実験1の結果から考えられるタンパク質Cまたはタンパク質Dの働きとして適当なものを、次ののうちから二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。(4点×2=8点)

外胚葉の表皮組織への分化は、タンパク質Cによって促進される。
タンパク質Dは、外胚葉の表皮組織への分化には影響しない。
タンパク質Cによる外胚葉の神経組織への分化の促進は、タンパク質Dによって制御される。
外胚葉におけるタンパク質Cの働きは、タンパク質Dによって制御される。
タンパク質Cは、タンパク質Dと協働して外胚葉の神経組織への分化を促進する働きがある。
タンパク質Dの外配葉での働きは、タンパク質Cによって促進される。

 

実験1 図3に示すように、初期原腸胚の予定外胚葉域を切り出して得られた組織断片を、各条件で培養した後にどのような組織に分化するかを調べ、結果を得た。なお、遺伝子Cはタンパク質Cをつくる遺伝子である。

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