2025年大学入試共通テスト「生物」第3問問題(配点20点)・解答・解説

2025年12月10日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
大学入試共通テストの生物の2025年第3問の解答・解説を作りましたので、受験対策や日常の勉強にお役立てください。本ページの最後までスクロールいただき「2」を押すと、解答・解説のページに飛びます。

2025年大学入試共通テスト「生物」第3問問題(配点20点)

森林内では、林冠から林内まで様々な高さに樹木種や草本種が葉を広げて、多様な植物が(a)共存している。図1は、北半球のある夏緑樹林の林床における光の強さの季節変化と、2種の草本種(種A・種B)が緑葉をつけている期間を示している。光環境の季節変化が、2種の林床草本種の葉の代謝に及ぼす影響を調べるため、呼吸速度と、十分強い光の下での光合成速度(以下、最大光合成速度)とを一定の温度で測定し、表1にまとめた。


問1 下線部(a)に関連して、複数の生物種の共存に関する記述として適当でないものを、次ののうちから一つ選べ。(4点)

捕食者が特定の被食者のみを食物としている場合、両者の個体数が変動して共存することがある。
生活空間が同じでも、異なる種類の食物を摂取できる場合、共存することがある。
ニッチ(生態的地位)の重なりが大きいほど、共存しやすくなる。
競争の結果、生活空間がずれて共存することがある。

問2 次の記述(a)~(d)のうち、林床の光環境の季節変化と林床草本種の葉の光合成と呼吸について、図1と表1から考えられることとして最も適当な記述はどれか。その組合せとして最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(4点)
(a)比較的大きい最大光合成速度を示す種Aは、林冠の樹木の葉が展開する前の光を有効に利用している。
(b)種Bは光の弱い7月の林床でも緑葉をつけているので、強い光があたれば、種Aと同程度の光合成速度を示す。
(c)種Bの最大光合成速度は、林冠の樹木が葉をつけている季節では葉をつけていない季節に比べて小さい。
(d)種Bの最大光合成速度と呼吸速度の比には、季節変化がみられない。

問3 光合成速度を測定したとき、葉の面積当たりのクロロフィルの量とルビスコの量を調べ、表2にまとめた。図1、表1および表2から考えられる後の文章中のに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(4点)

種Aの葉では、種Bの葉に比べてルビスコの量が多く、クロロフィルの量は少ない。図1も参照すると、種Bの葉では、林床がア季節にクロロフィルの量が多いが、ルビスコの量は少ない。一方、林床がイ季節にはクロロフィルの量が少なく、ルビスコの量が多い。表1の値も併せて考えると、種Bの葉では、クロロフィルやルビスコの量が季節変化することが、光吸収量やの変化に影響し、夏緑樹林の林床における光環境の変化に適した物質生産をしているといえる。

問4 表1の値の種による違いが個体の成長に及ぼす影響を調べるため、種Aと種Bのそれぞれについて、生きている個体を掘り起こし、個体の乾燥重量を測定した。図2は、2種の個体の乾燥重量の季節変化を示したものである。図1および図2から考えられることとして適当な記述を、後ののうちから一つ選べ。ただし。解答の順序は問わない。(4点×2=8点)

種Aは、緑葉をつけていても、7月には林床が暗くなるため、光合成ができずに、個体の乾燥重量が減少する。
種Aは、非光合成器官(非同化器官)の呼吸により、5月以降に個体の乾燥重量が減少する。
種Aと種Bのどちらも、翌年の4月の個体の乾燥重量は、前年の緑葉が出現した時期の値と同じになる。
6月の個体の乾燥重量の2種による違いは、緑葉が出現する時期とは関係がない。
種Bは、林冠の樹木が葉を広げている時期も、林冠の樹木が葉を落としている時期も、同じ速度で個体が成長する。
種Bは、林冠の樹木が葉を広げている時期にも、物質生産ができる。

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