2025年大学入試共通テスト「生物」第3問問題(配点20点)・解答・解説

捕食者が特定の被食者のみを食物としている場合、両者の個体数が変動して共存することがある。〇 生態系の中では多種どうしが「食物網」を形成することが多いので、被食者ー捕食者相互関係は複雑であるが、仮に1種ずつであった場合を考えれば、「被食者増→捕食者増→食べられすぎて被食者減→食料不足で捕食者減→天敵減少で被食者増→」と波のように増減を繰り返しながら共存することがある。
一方、なんらかの理由で被食者が絶滅するとそれを捕食していた捕食者も絶滅する(図の中央)。なんらかの理由で捕食者が絶滅すると、天敵がいなくなったので被食者は増えるが、環境収容力のところで増加は止まり一定となる(図の右)。(ただし、被食者の増加がその被食者が食料としていた植物などの急減につながり、結果として被食者が減る場合もある)
生活空間が同じでも、異なる種類の食物を摂取できる場合、共存することがある。〇食いわけ(ヒメウとカワウ)
ニッチ(生態的地位)の重なりが大きいほど、共存しやすくなる。
×(ニッチが重なるほど、それをめぐって競争が起き、共存はしにくい)
競争の結果、生活空間がずれて共存することがある。
〇(すみわけ、イワナ(上流)とヤマメ(やや下流))
問2 図1と表1から考えられることとして最も適当な記述はどれか。
(a)比較的大きい最大光合成速度を示す種Aは、林冠の樹木の葉が展開する前の光を有効に利用している。〇6月から林床の光の強さが小さくなるので、林冠の樹木の葉が展開したと考えられる。種Aは4月から6月中旬まで緑葉をつけているので、林冠の樹木の葉が展開する前の光を有効に利用していると考えられる。

(b)種Bは光の弱い7月の林床でも緑葉をつけているので、強い光があたれば、種Aと同程度の光合成速度を示す。
種Aは林冠の樹木がないと高い光合成速度で成長していたのに、B種が増え林冠に葉をつけると、臨床が暗くなると落葉しているので、陽樹と考えられる。一方、種Bは種Aに比べ光合成速度が小さいので陰樹と考えられ、林冠で種Bが優占しても光合成速度は大きくならず光飽和状態と考えられる。よってそれ以上強光にしても光合成速度は上昇しない。

(c)種Bの最大光合成速度は、林冠の樹木が葉をつけている季節では葉をつけていない季節に比べて小さい。〇林冠の樹木が葉をつけていない春(落ち始めた秋)に比べ、林冠の樹木が葉をつけている夏のほうが光合成速度が小さい。
(d)種Bの最大光合成速度と呼吸速度の比には、季節変化がみられない。
×
最大光合成速度:呼吸速度
春0.30:0.015=20:1
夏0.17:0.009≒19:1
秋0.24:0.023≒10:1
春と夏はほぼ等しいが、秋は異なる。
問3


種Aの葉では、種Bの葉に比べてルビスコの量が多く、クロロフィルの量は少ない。図1も参照すると、種Bの葉では、林床がア(薄暗い)季節(夏)にクロロフィルの量が多いが、ルビスコの量は少ない。一方、林床がイ(明るい)季節(春(秋))にはクロロフィルの量が少なく、ルビスコの量が多い。表1の値も併せて考えると、種Bの葉では、クロロフィルやルビスコの量が季節変化することが、光吸収量やウ(最大光合成速度)の変化に影響し、夏緑樹林の林床における光環境の変化に適した物質生産をしているといえる。
ウ 季節変化の中で、最大光合成速度と呼吸速度の増減はほぼ同様な傾向がみられるが、文章が「光環境の変化に適した物質生産」となっていることから、最大光合成速度が適切である。
問4
種Aは、緑葉をつけていても、7月には林床が暗くなるため、光合成ができずに、個体の乾燥重量が減少する。×7月には種Aは緑葉をつけていない。

種Aは、非光合成器官(非同化器官)の呼吸により、5月以降に個体の乾燥重量が減少する。
〇種Aは6月以降に葉がつけていない状況で、乾燥重量が減っているので、残っている非光合成器官(非同化器官)の呼吸による減少である。
種Aと種Bのどちらも、翌年の4月の個体の乾燥重量は、前年の緑葉が出現した時期の値と同じになる。

×種Aは4月→翌4月で乾燥重量は増えている。種Bは4月の値がないが、グラフの傾向から考えて増えていると予測できる。つまりA種、B種とも1年で成長(乾燥重量が増加)している。
6月の個体の乾燥重量の2種による違いは、緑葉が出現する時期とは関係がない。
×種Aにおいては特に、緑葉出現時期に乾燥重量増加となっており、種Bは緑葉がない時期の一部(12月→4月)は乾燥重要が増加していない。緑葉の出現時期は、2種の乾燥重要の増減と関係がある。
種Bは、林冠の樹木が葉を広げている時期も、林冠の樹木が葉を落としている時期も、同じ速度で個体が成長する。
×グラフの傾きは変化しており、いつでも同じ速度で成長しているわけではない。
種Bは、林冠の樹木が葉を広げている時期にも、物質生産ができる。〇林冠の樹木が葉を広げている7月→11月にも増加しているので、物質生産ができる。
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