2025年大学入試共通テスト「生物」第2問、問題(配点20点)・解答・解説

2025年12月10日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
大学入試共通テストの生物の2025年第2問の解答・解説を作りましたので、受験対策や日常の勉強にお役立てください。本ページの最後までスクロールいただき「2」を押すと、解答・解説のページに飛びます。
2025年大学入試共通テスト第2問(配点計20点)
アミノ酸の役割と代謝に関する次の文章を読み、後の問い(問1~3)に答えよ。
(a)タンパク質は、鎖状に結合した多数のアミノ酸により構成され、細胞の生命活動において中心的な役割を果たす。タンパク質を構成するアミノ酸はどれも生物に不可欠である。これらのアミノ酸を全て合成できる生物もいるが、(b)外部からのアミノ酸の摂取を必要とする生物もいる。
問1 下線部(a)に関連して、タンパク質やアミノ酸に関する記述として適当なものを、次の
のうちから二つ選べ。ただし、解答の順序を問わない。
(3点×2=6点)
mRNAの塩基配列によって、そのmRNAから翻訳されるタンパク質の一次構造が決まる。
翻訳に使われるアミノ酸は、tRNAのアンチコドンに結合して運ばれる。
タンパク質は、多数のアミノ酸がカルボキシ基と側鎖の間でペプチド結合を形成することでつくられる。
タンパク質が折りたたまれる過程で、多数のαヘリックス構造がシート状に並ぶことで、βシート構造が形成される。
四次構造は、一つのポリペプチド鎖内で三次構造が立体的に組み合わさった構造である。
一部のタンパク質は、生体膜の脂質二重層を貫通した状態で存在する。
アミノ酸は窒素を含むため、呼吸基質として用いられない。
問2 下線部(b)に関連して、酵母の野生株はロイシンを合成できるが、ロイシンの合成を担う酵素の遺伝子(以下、ロイシン合成酵素遺伝子)が機能しなくなった変異体(以下、変異体L)は、ロイシンを与えないと増殖できない。この変異体Lの性質を利用し、外来遺伝子の導入に成功した酵母を選抜する手法がある。その手法について記述した次の文章中のア・イに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の
のうちから一つ選べ。(4点)
外来遺伝子とロイシン合成遺伝子のそれぞれを、酵母内で働くプロモーターにつなぎ、図1のようにプラスミドを組み込む。変異体Lの集団にこのプラスミドを導入する処理を行った後、それらの細胞を、ロイシンをア培地で培養すると、プラスミドがイ細胞のみが増殖する。これにより、外来遺伝子を持つ変異体Lを選抜することができる。


問3 同じく下線部(b)に関連して、あるガの幼虫Sは、植物Aの定義を食べ、そこから体内に吸収したアミノ酸を利用して成長する(図2)。幼虫Sからの食害を感知した植物Aは、直ちに多量のトレオニン脱アミノ酵素(以下、TD酵素)を合成し、それが幼虫Sの消化管に取り込まれる(図3)。TD酵素は、トレオニンを有機酸Bに分解する酵素であり、植物AのTD酵素は、幼虫Sの消化管内でもその触媒作用を発揮できる(図4)。

(1)これらの事実から、「植物AのTD酵素」は、幼虫Sの消化管内でトレオニンを分解することで、吸収可能なトレオニンの量を減らし、幼虫Sの成長を抑制する」という仮説を立てた。この仮説を検証するために、TD酵素を合成できない植物Aの変異体(以下、変異体M)を用いた実験を計画し、その結果を予想した。仮説が正しかった場合の結果を予想した次の文章中のウ~オに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後の
のうちから一つ選べ。(5点)
変異体Mの葉を食べさせた幼虫Sは、植物Aの野生株の葉を食べさせた幼虫Sよりも、体重の増加がウと予想される。また、変異体Mの葉と共に多量のTD酵素を与えて幼虫Sを育得ると、変異体Mの葉のみを与えた場合と比べて、幼虫Sの体重の増加がエと予想される。他方、野生株の葉と共に多量のオを与えて幼虫Sを曽田テルト、野生株の葉のみを与えた場合と比べて、体重の増加が速くなると予想される。

(2)植物AのTD酵素は、植物細胞内でも、トレオニンを有機酸Bに分離する反応を触媒し、トレオニンの分解により生じた有機酸Bは、イソロイシンの合成に使われる。図5に示すように、TD酵素は、アロステリック部位を介して、イソロイシンによる非競争的阻害を受ける。しかし、幼虫Sの消化管内では、植物AのTD酵素は部分的に消化され、触媒作用を保ったまま、アロステリック部位を失う。植物AのTD酵素の活性とその調節に関する記述として最も適当なものを、後の
のうちから一つ選べ。(5点)

植物Aの細胞内において、イソロイシンの濃度が高くなると、イソロイシンが優先的にTD酵素の活性部位に結合するようになる。
植物Aの細胞内において、トレオニンの濃度が高いときには、イソロイシンはTD酵素の活性を阻害しない。
幼虫Sの消化管内において、トレオニンの濃度が低くなるにつれて、植物AのTD酵素の反応速度が上昇する。
幼虫Sの消化管内において、植物AのFD酵素によるトレオニンから有機酸Bへの分解は、イソロイシンの濃度に関係なく行われる。
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