2025年大学入試共通テスト「生物」第2問、問題(配点20点)・解答・解説


解説
問1

mRNAの塩基配列によって、そのmRNAから翻訳されるタンパク質の一次構造が決まる。
翻訳に使われるアミノ酸は、tRNAのアンチコドンに結合して運ばれる。× アミノ酸はtRNAのアンチコドン(mRNAのコドンとの結合部位)と離れた位置にあるアミノ酸結合部位に結合する。

タンパク質は、多数のアミノ酸がカルボキシ基と側鎖の間でペプチド結合を形成することでつくられる。×カルボキシ基とアミノ基の間で結合。

タンパク質が折りたたまれる過程で、多数のαヘリックス構造がシート状に並ぶことで、βシート構造が形成される。×αヘリックスとβシートは別々の二次構造。
四次構造は、一つのポリペプチド鎖内で三次構造が立体的に組み合わさった構造である。×ポリペプチド鎖が折りたたまれた三次構造が複数結合した構造。

一部のタンパク質は、生体膜の脂質二重層を貫通した状態で存在する。〇疎水性アミノ酸中心の部分が、細胞膜内に存在する膜貫通型タンパク質が、細胞膜にある受容体タンパク質には多い。
アミノ酸は窒素を含むため、呼吸基質として用いられない。
×N部分を除去した上で、CHO部分を呼吸基質として使う。

問2

酵母の野生株はロイシンを合成できるが、ロイシンの合成を担う酵素の遺伝子(以下、ロイシン合成酵素遺伝子)が機能しなくなった変異体(以下、変異体L)は、ロイシンを与えないと増殖できない。

ロイシンを含む培地ならば、野生株の変異体Lも増殖できる。
一方ロイシンを含まない培地ならば、変異体Lはそのままでは、増殖できないはずであるが、ロイシン合成酵素遺伝子を持つプラスミドが導入できた場合は増殖できる。したがって外来遺伝子も持つプラスミドが導入できた変異体Lは増殖するので(導入できず増殖できない変異体Lは死滅するので)選抜ができる。

プロモーターにつなぎ、図1のようにプラスミドを組み込む。変異体Lの集団にこのプラスミドを導入する処理を行った後、それらの細胞を、ロイシンをア(含まない)培地で培養すると、プラスミドがイ(入った)細胞のみが増殖する。これにより、外来遺伝子を持つ変異体Lを選抜することができる。

問3

(1)

変異体Mの葉を食べさせた幼虫Sは、(TD酵素による成長阻害がないので、)植物Aの野生株の葉を食べさせた幼虫Sよりも、体重の増加がウ(速くなる)と予想される。また、変異体Mの葉と共に多量のTD酵素を与えて幼虫Sを育得ると、変異体Mの葉のみを与えた場合と比べて、(TD酵素による成長阻害がある分)、幼虫Sの体重の増加がエ(遅くなる)と予想される。他方、野生株の葉と共に多量のオ(トレオニン)を与えて幼虫Sを育てると、(TD酵素によるトレオニン減少を、与えたトレオニンが補うので)野生株の葉のみを与えた場合と比べて、体重の増加が速くなると予想される。よって

(2)

植物Aの細胞内において、イソロイシンの濃度が高くなると、イソロイシンが優先的にTD酵素の活性部位に結合するようになる。×活性部位→アロステリック部位。活性部位を阻害するのは競争阻害剤。


植物Aの細胞内において、トレオニンの濃度が高いときには、イソロイシンはTD酵素の活性を阻害しない。

×基質が多量になった時に阻害効果が非常に少なくなるのは競争阻害である。アロステリック阻害の場合は、酵素自体が立体構造が変化するので、基質が多量の場合でも阻害効果はある。

幼虫Sの消化管内において、トレオニンの濃度が低くなるにつれて、植物AのTD酵素の反応速度が上昇する。
×単純に基質であるトレオニン濃度が減少するので、反応速度は減少する。(酵素としての活性は変化しないが基質が少ないので反応速度も小さくなる)

幼虫Sの消化管内において、植物AのFD酵素によるトレオニンから有機酸Bへの分解は、イソロイシンの濃度に関係なく行われる。
幼虫Sの消化管においてはアロステリック阻害はなくなる。

よって