2019年10月31日(木)船橋市議会文教委員会での視察2日目(熊本市)「熊本市のICT環境整備とプログラミング教育」速報

2019年10月31日夜 朝倉幹晴
船橋市議会文教委員会では2019年10月30日(大阪市)、31日(熊本市)の視察をいたしました。2日目の熊本市{ICT教育とプログラミング教育」の報告をいたします。

【参考】視察1日目速報(大阪市)スクールロイヤー・部活動指導員活用・スクールサポートスタッフ配置事業

↓熊本市教育センターでの熊本市教育委員会担当者からの説明と質疑

●熊本市のICT教育環境整備の年次計画

ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」で、ICT教育はそれを活用した教育のこと。

導入機器

●電子黒板は2018年度までに導入しているが、2019年度からタブレット端末を生徒1人1人が使えるように配置。ただ1人1台は無理で、3クラスに1クラス分程度を配置し、全授業でなくクラス交代で使用することにする。タブレット端末の通信環境は教室内使用に限定されたり他のネットワーク環境に負担がかかるWi-Fi環境ではなくLTE対応(セルラーモデル)とした。
LTEとはLong Term Evolutionで、現在の携帯電話・移動体データ通信である3G(第3世代)の技術を高度化したもの
●きっかけ
2016年の熊本地震からの復興を熊本市は目指している。そんな中、大西一史熊本市長が知人であった元文部科学省職員であった遠藤洋路さんを教育長として指名していた。ICT環境整備が全国の政令指定都市の中でも遅れていた現状を一気に逆転し、未来の世代へ投資しようと、一気にタブレット端末配布全校実施(3クラスに1クラス分の台数)に踏み切る。

動画 熊本市でのICT教育の取り組み(大西市長インタビュー含む)(NTTドコモHPより)

●契約や諸条件
NTTドコモと2018年9月1日~2023年8月31日の5か年の業務委託契約を結び、教員や管理職研修も含めて包括的に委託しているので、教育委員会側の負担が少ない。
2018年10月22日に、熊本市、熊本大学、熊本県立大学、NTTドコモの4社での教育情報化の推進に関する連携協定を締結。
 NTTドコモがハード面や教員管理職研修、熊本大学・熊本県立大学がICTを取り入れた授業内容やカリキュラムの研究提言、学生の派遣など、産官学の共同で実施している。

●効果
教師→生徒という一方向的で、生徒が受動的になりやすい現状を改善し、タブレットで情報を共有しながら、教師と生徒が双方向的なやりとりができる。また生徒どうしがタブレットを見ながら話し合ったりすることを通じて相互に物事を深めやすくなっている。特に体育では、側転などのフォームをお互い撮り合って画像で分析することにより、自らの運動の癖を認識し、上達するきっかけとなっている。

●プログラミング教育は始めたばかりである。

★私の質疑・発言
1、実は友人に昨年度まで熊本市立小学校にお子さんを通わせていた保護者(試行実施校ではなかったため電子黒板のみでタブレット端末は未経験)がいて、事前に感想を聞いたのでご紹介します。
電子黒板は小学校在学中最初からあった気がします。 勿論、私が見たのは参観日のみですが、毎回使われていましたね。先生や児童によるとは思いますが… スクリーンだと最初子供は食い付きますが、黒板だとノートに真剣に書いたりしますが、スクリーンだと眺めてるだけ、そのうちしゃべりだしたり…も。ただ、先生の事前準備大変そうだな、と思うこともあれば、教科書画像を投影してるだけ?みたいに感じることもありました。」
タブレットも慣れと管理は必要ですね あとは先生の操作慣れも。 これから時代で変わってくると思いますが、裏にマグネット張り付けて先生が事前準備してきた手書きのものが、まだ小学校在校時点では人気でした(比較的保護者年齢高めだったかも…ですw) 。併用するのが一番かも…」
教育委員会で感想やコメントあればください。

これについては他の委員の方の質疑でも同様なものもあり、教育委員会の方も含め「タブレット端末や機器を用意したからよいのではなく、教員がそれを使いこなすようにできることが大切。また従来通りの黒板や紙を使った授業も必要で、併用や兼ね合いが大切」という議論となりました。

2、数学の図形は、紙やマグネットで形を作ったものを示すほうが実感できることもあるので画像だけに依存しないほうがよいのではないか?
一方、理科の生き物(昆虫)観察をタブレットで写真を取り部分ごとに分解して考えてみるというのは、今、子どもたちの間で昆虫に対する拒否感が増える中、一旦実物でなく、平面画像でとらえることでワンクッション置くことが、もしかしたら拒否感を和らげる可能性があるかもしれないと思いました。(感想としての発言)

上記のような留意点を踏まえる必要がありますが、ICT教育やタブレット端末の普及は大きなきっかけであり、推進していくべきと考えます。

★船橋市の現状と今後

・電子黒板は小中学校の普通教室に整備完了。
・タブレット端末活用については、坪井小・古和釜中でモデル校実施。特別支援学校では高根台校舎・金堀校舎とも使用
・千葉工業大学が卒業生が使用していたタブレット端末を船橋市に毎年寄贈していただいていて徐々に増えている。

船橋市でも千葉工業大学で卒業生が使っていたタブレット端末の寄贈を受けて毎年タブレット端末が増えてきていることをうまく活用して進めることが必要、また可能ならば、熊本市にならって全校導入の検討をすべきとの方向で議会で議論していきます。

 

参考(国としての方針)