2016年4月27日(水)熊本震災ボランティア訪問3日目(益城町災害ボランティア・熊本市動物愛護センター訪問)報告(5月5日発信)

●2016年4月27日(水)報告             (5月5日(木・祝)発信)

4日間の訪問でわずかなことしかできませんでしたし、熊本の方には多々ご負担をおかけした所もあり申し訳なく思います。それでも熊本の現状を知る人が増え、震災ボランティアが増えていくことで、熊本の方々を少しでも応援していく一助になればと願い発信します。特にこれからボランティア参加を考えられている方の活動のイメージになっていただければ幸いです。ボランティア以外の部分も含め、訪問3日目(27日(水))に体験したことを時系列順に記します。益城町ボランティアセンターでの災害ボランティアと熊本市動物愛護センターへの訪問などです。

①朝6時台 宿泊した熊本カプセルホテルから市電の駅に向かう途中

被害で営業停止中のホテル(この文章を書いている5月5日時点では、徐々に市内ホテルは営業再開しているとのことです)

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②朝6時台 市電にて、新水前寺駅に向かう。JR肥本線に乗り換え。

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③朝7時台 JR肥本線にて、新水前寺駅(熊本市内)から肥後大津駅に向かう。

震災前は熊本ー阿蘇間を運航していたが、今は途中の肥後大津までで、肥後大津~阿蘇は運航停止中。

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④朝7時台

JR肥本線車窓から見える被害。

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⑤朝8時台

JR肥本線で4月27日現在一番益城町に近づいた駅である肥後大津駅で下車、東海大農学部阿蘇キャンパスの阿部淳教授のご自宅がその近くで、駅に迎えに来ていただき、そこから「井関農機」のグランドに設置されている益城町災害ボランティアセンターの受付に伺う。

阿部淳教授(東海大農学部阿蘇キャンパス)は学生自治会からの友人です。彼が東大農学部助教時代には、駿台予備学校生のために農場見学や、「根と土壌」に関する実験・観察講座を開いてくださるほど熱心な先生でした。今回の震災で3名の教え子さんを亡くされました。学生さんのご冥福を心よりお祈りいたします。阿部さんご自身も被災された中、学生さんのケアや授業再開に向けた努力をされています。そんなお忙しい中にもかかわらず、27日の益城町周辺への送迎をしていただきました。

 

160427益城ボラ船キャプチャ 2160427益城ボラ船キャプチャ

⑥益城病院系列の福祉施設(福祉避難所)でのお手伝い

災害ボランティアセンターでは雨のため、野外の作業系ボランティアは中止、室内ボランティア中心の派遣となりました。私は益城病院系列の福祉施設(花へんろ)の福祉避難所の手伝いのグループに入りました。

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福祉避難所は、一般の避難所とは別に、福祉的ケアが必要な避難者を受け入れる避難所です。震災前よりこの施設に入居していた人も含まれます。ノロウイルスの感染が危惧される状況があったため、入り口で手洗いの励行などの感染対策がなされてました。

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⑦午前10~11時台 福祉避難所での炊き出しのテント貼りと手伝い

27日時点では熊本市内のほとんどのホテルは休業中。熊本ホテルキャッスル内の有名レストラン「熊本銀座

桃花源」のシェフたちも自らも被災され休業中の中、避難所の避難者に少しでも温かいプロの料理を提供しようと、前日から仕込みした素材を、その場で「プロパンガスコンロ」と「ずんどう」で温めて料理をふるまいました。私どもボランティアはテントの設営や周辺の整備をしただけで、そのあとは、プロのシェフたちの手際よい料理づくりを感動しながら見守りました。

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⑧12時台 昼食。

避難者に配られた後、数が余ったということで医療関係者のみならず、私どもボランティアをプロの暖かい食事をいただくことになり恐縮いたしました。(昼食用に自前で用意したコンビニ弁当は夜食に回しました。)

昼食をしながら、この施設に勤める看護師の方より、地震当日やその後の施設の対応状況をお聞かせいただきました。

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⑧午後1~3時台 施設入り口での案内係~道路を行きかう支援車~

午後は施設入り口で道路より施設への案内係を行いました。その中で道路を行きかう支援車を見かけました。

日本赤十字の支援車

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自衛隊の支援車

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今回の私の訪問では、直接話をする機会はありませんでしたが、街で何度かこのような支援車を見かけました。

⑨病院を出入りする医療関係者たち~被災者のお宅や避難所への訪問活動~

病院系列の福祉施設(福祉避難所)であり、医療関係での支援者の拠点ともなっていました。医療関係での支援は集団での関連施設訪問と、2・3人ペアでの被災者のお宅への訪問があります。写真は雨の中、訪問活動をされている様子の写真です。

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自分の職種がわかるゼッケンを大きく着ていること医療関係者も多く見かけました。これは被災者からすぐわかるようにする配慮と推察しました。異なる職種が組んで訪問する時には特にわかりやすいのでしょう。私が見かけたゼッケンは「医師」「看護師」「保健師」「助産師」「薬剤師」「理学療法士」「精神保健福祉士」などです。熊本大学医学部出身の若手医師にも昼休みに会い、間接的に、市内の病院で勤務する駿台予備学校時代の元生徒の医師が奮闘されていることをお聞きしました。

さて、医療に対するニーズは刻々変化します。発災後3日間は、救命救急やケガの処置など救急医療中心となりますが、10日目あたり以降となると、中期的な避難生活が体に及ぼす影響のケアが必要です。「病院に受診するほど悪くはない」と思いながらも、実際は、体に不調をきたしているかもしれない被災者住民を訪問ケアする活動が重要になります。更に中長期的には、心なケア(精神的不調は肉体的な不調ともつながる)も必要です。GW明け以降は、だんだんと心のケアの必要性が増していくのではと推察しています。

⑩東大応援部OBの岡崎幸治医師と一瞬会う

今回、東大応援部や東京六大学野球・応援団連盟関係者が多く震災支援で動きました。まずは熊本県出身の岡崎幸治医師(研修医2年目)がいち早く医療支援で、次(GW前)に私が一般ボランティアで、GW中は池田智子保健師が、GW後半は、もう1人が一般ボランティアで入ります。医療支援で忙しく動かれていた岡崎医師とはなんとか益城町ボランティアセンターへのボランティア後の報告の後にお会いできました。

岡崎医師と一緒に動かれていたのが、池座剛さん(自立生活サポートセンター・もやい)、井之上陽さん(有限会社テレーザ)。以下は私を迎えにきていただいた阿部淳教授も加わった写真です。

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(池座さん・私・岡崎医師・阿部教授・井之上さん)

皆様の活動の背景や中身をお聞きしたかったのですが、お互い次の予定があるということで、自己紹介と今後連絡協力しあうことだけ確認して別れました。

⑪益城町の被災状況

益城町役場の状況。

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周辺の神社の鳥居の状況。

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一番被害が大きかった場所の1つ。歩道の状況。

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建物の状況。

 

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建物危険度判定がすすめられています。これをもとにやがて、将来は今度の方向を考えてことになると思いますが、被害後まだ1か月も経ていない現時点では、住み慣れたおうちの被害を目にして呆然とされ何もできない方もおられるだろうと思うと胸が詰まります。行政による本格的支援を強く願います。

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⑪熊本市動物愛護センター(ハローアニマルくまもと)訪問

熊本市動物愛護センター(ハローアニマルくまもと)は殺処分を0にした先駆的な取り組みで有名です。

「殺処分を0に」「ペットとの共生社会を」熊本市動物愛護センター 村上睦子所長(shippo)

私もその視点でいつか訪問してみたいと思っていましたが、今回、被災とその後の状態をお伺いするために、益城町災害ボランティアセンターの後、阿部教授に送迎いただき、ともに伺いました。(東海大農学部阿蘇キャンパスの動物たちも、安全なところに避難したり、その場所にい続ける動物たちは世話を続けているとう話を送迎の中でお聞きしました。)

たいへんな状況の中、短時間の立ち話とはいえ、お話を伺わせていただいたセンターの皆さまに感謝いたします。

動物愛護センターIMG_1010

熊本市動物愛護センターがHPで公開されている被害状況

 

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様々な破損の中、動物たちのための仕事が継続されています。以下の数字や内容は、センターの方から立ち話で記憶の範囲で伺った内容や数字です。本来の通常時の行政視察などならば、正確なまとまった数字や正確な回答が出されるのですが、あくまでも完全には正確でない可能性のある概数・概要としてお読みください。

・震災直前、センターには収容限界に近い約120匹の犬猫がいた。震災で職員が業務を行っている管理棟には被害があったが、動物たちのけがや脱走はなかった。震災での迷子犬を50匹ほど保護した。そこで、収容限界を超えてきたため、北九州市の愛護センターのご協力で、約30匹を移送した。更に最近、環境省から近隣市町村にもう少し分散移送できないか協議中である。 移送した犬は、センターで安定的に保護した犬であり、震災での迷子犬は熊本市のセンターのとどめ置いた。迷子犬のうち2/3はその後、飼い主から引き取りがあり、今残っているのは10数匹である。

・避難所でのペット(犬猫)に対する対応であるが、避難所それぞれである。体育館のほかに、特別教室を確保できたところではペットの連れた人の部屋を作ったところもあるが少数であり、避難所では、ペットは避難所の屋外部分にリードで外につなぐ形が多かった。ただ室内犬などではリードで繋ぐのではなく、センターがケージを各避難所に配布して、その中に入ってもらうようにした。このケージ配布は喜ばれた。

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↑犬の世話をする職員と、車で各避難所に配ってきたケージの様子

 

・避難者の飼い主の中にはペット、特に犬を避難所に連れて来ず、家に残し、昼間に食事の世話に通っている人もいる。

・現在は迷子犬の対処が多いが、今後は被災して家に住めなくなったので飼えなくなったとの引き取り要望が増えると予測している。すでに少しその要望が来ている。それについてどうするかをこれから考えなければならない

 

参考 避難場所開設・避難所運営マニュアル(熊本市 平成25年3月)p30・31

・避難所の居住スペース部分には、原則としてペットの持ち込みは禁止します。

・ペットは、避難場所敷地内の屋外部分に指定スペースを設け、リードで繋いだり、柵等で囲って市域します。また校庭等での放し飼いを禁止します。」

 

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この後、阿部教授のおうちに寄り、お連れ合い(中学校教員)の作られた熊本家庭料理をよばれることになりました。食事をしながら中学校の避難所対応などの話を伺いました。ありがとうございました。最後に電車と市電で熊本カプセルホテルに戻り2泊目をしました。(結局、昼用に用意したコンビニ弁当は翌朝の朝食にしました)