2021年大学入試共通テスト「生物」第5問B(配点15点)問題・解答・解説

2021年4月 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2022年以降の共通テスト「生物」を受験する人を含む大学入試「生物」選択者、物理選択で大学に入り、大学で生物を学ぶ必要がでてきた方、生物学に関心のある市民の方々に、以下解答解説をお届けします。ご活用ください。入試問題は白黒ですが、イメージ補強のため一部カラー化しました。第5問はAとBは実質別の問題なので別に解答例を作ります。

●【参照】「生物」第5問A(配点12点)問題・解答・解説


B 授業で光合成について学んだヨウコさんは、植物が葉以外の部分でも光合成をするかを知りたくなった。根は白いし、そもそも土の中に存在するので光合成をしないはずだと考えて調べてみると、樹木に付着して大気中に根を伸ばすランのなかまや、幹を支える支柱根を地上に伸ばすヒルギのなかまでは、根が緑色になって光合成をしているという記事を見つけた。さらに、その記事に紹介されていたシロイヌナズナを用いた論文では、根に光があたっても必ず緑色になるわけではなく、図6のように植物ホルモンのオーキシンやサイトカイニンの添加、あるいは茎から切断されることによって、根のクロロフィル量が変化することが報告されていた。(Bの配点15点)

問4

ヨウコさんは、図6をもとに、どのような場合に根が緑色になるのかを考えてみた。根が緑色になるかどうかを制御する仕組みに関して、図6の結果から導かれる考察として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。

オーキシンは、根の緑化を促進する作用をもつ。

サイトカイニンは、根の緑化を促進する作用をもつ。

オーキシンとサイトカイニンは、どちらも根の緑化を阻害する。

オーキシンとサイトカイニンは、どちらも根の緑化には関係しない。

茎や葉は、根の緑化に関係しない。

問5

図6の結果を見ているときに、ヨウコさんは、植物の一部を切断しオーキシンを添加する実験が、植物の別のオーキシン応答を明らかにした実験と類似していることに気がついた。その応答として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。

気孔の開閉  果実の成熟 春化 頂芽優勢 花芽形成

問6

ヨウコさんは、緑色になった根が実際に光合成をするかどうか自分で確かめたいと思い、次の実験を計画した。
最初に、息を吹き込んだ試験管に根を入れて、ゴム栓でふたをしてしばらく光をあてる。次に、試験管に石灰水を入れてすぐにふたをしてよく振り、石灰水が濁らなければ、光合成をしていると結論できると考えた。しかし、この計画を友達のミドリさんに話したところ、たとえ石灰水が濁らなくても、それだけでは本当に光合成によるものかどうか分からないと指摘されたので、追加実験を計画した。このとき追加すべき実験として適当でないものを、次ののうちから一つ選べ。

根を入れないで同じ実験をする。

光をあてないで同じ実験をする。

石灰水の代わりにオーキシン溶液を入れて同じ実験をする。

石灰水に息を吹き入れて石灰水が濁ることを確認する。

根の代わりに光合成をすることが確実な葉を入れて同じ実験をする。

問7

ヨウコさんは、樹木に取りついたランの根がなぜ緑色なのかにも興味をもち、その仕組みを調べるため、茎と葉を切除して、その後の根にみられる変化を経時的に測定する実験を計画した。このときに測定すべき項目として適当でないものを、次ののうちから一つ選べ。

クロロフィル量 ひげ根の長さの総和 オーキシン濃度 サイトカイニン濃度

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