2021年大学入試共通テスト「生物」第6問(A・B)(配点19点)問題・解答・解説

【解説】

問1

発生の際は、一定の順序で遺伝子の発現がおき、それに伴って細胞の移動や誘導が行われ形態形成がなれていく。遺伝子発現と形態形成のしくみは連動しているが、発生の研究の歴史においては、遺伝子発現はショウジョウバエでよく調べられ、細胞の移動や誘導、形態形成はイモリ・カエルで調べられてきて、それぞれ別個に説明される。しかし、基本的な流れは両者共通であることが多い。したがって、両者を結びつけて理解しておいたほうがよい。

 

したがって設問選択肢の中での遺伝子発現の順序は、

卵の中で局在する母性因子(母性効果遺伝子)のmRNAも移植された。→移植した部位で、ホメオティック遺伝子(ホックス遺伝子)の発現に変化が起こった。→移植した部位で、誘導の連鎖が起こった。」であり、眼の形成に相当するのはの誘導の連鎖の時期になる。

カエル・イモリにおける発生の研究の歴史をまとめた以下の図からも、眼の形成が誘導の連鎖であることを確認してほしい。

「移植した部位から眼が再生された」については、「再生」とは除去した後に再生されることであり、本実験では移植先ではじめて形成されるので「再生」ではない。

「形成体の移植によって二次胚が生じた。」は上の図まとめにあるよう、眼の形成より更に前の時期における原口背唇による誘導に関する実験なので、本実験が問うている眼の形成部位の移植ではない。
よって、(3点)

問2

眼胞となる領域M(黄色)全体でなく、タンパク質Xがある中央(正中線)は形成されなくなっているので、Xは眼の形成を阻害すると考えられる。

したがって眼を形成しなくなった個体では、タンパク質Xが領域M(黄色の部分)全体にア(しく拡大した)と考えられる。
次の文章は「逆に、」始まることから、タンパク質Xが分布する範囲がイ(ほとんど消失)すると、Xによる中央の阻害がなくなるので、M領域全体が一体化し、ウ(中央に1つ)(大きな)眼ができると予想される。よって(4点)

問3

正常のオタマジャクシは、ノーアイのオタマジャクシに比べて遊泳速度が速い。
×。ほとんどの場合、ノーアイのほうが若干速い。

青色光を照射した状態では、赤色光を照射した状態に比べてオタマジャクシの遊泳速度が遅くなった。
×。青色光の状態のほうが速い。

赤色光が照射されている間、オタマジャクシの遊泳速度は速くなり続けた。
×。赤色光照射時は最初は速度が遅くなり、後半に速くなる。
オタマジャクシが赤色光と青色光の照射状態を識別するためには、眼に光が入力することが必要ではない。
。ノーアイでも赤色光と青色光で行動に差がでる、つまり識別できているので、眼への光の入力は必要ない。

よって、(4点)

問4


「電気ショック無・正常」では、ペトリ皿の半分(50%)の面積の赤色光照射領域に約50%滞在しているので、赤色光領域を避けても選んでもなく、ペトリ皿内にランダムに滞在していることがわかる。
「電気ショック有・正常」では赤色光照射領域への滞在率が20%になっているので、赤色光を避ける学習が成立していることがわかる。
「電気ショック有・ノーアイ」では、赤色光照射領域で電気ショックを受けていても、赤色光照射領域に50%滞在し、避けることができていないことから、学習の成立には眼からの赤色光入力が必要とわかる。

青色光領域での電気ショック実験は行っていないので、は青色光でなく、実験をした赤色光である。
よって赤色光が目に入ることと、電気ショックを受けること両方が、赤色光照射領域を避ける学習には必要とわかるので、(4点)

問5

テイルアイの中でも「軸索(神経)形成なし」と「胃に向けた軸索形成」では、ノーアイと同様、学習が成立していない。一方、「脊髄に接続する軸索形成」をしたものは、正常の40%よりは若干学習成功率は低いが20%は学習が成功している。

尾にできた眼が受けた光の色の情報が、脊髄で反射を生じさせた。
×。眼の入力(視覚情報)は通常、脳で処理されて、行動を引き起こす。ある領域を避けて泳ぐという複雑な行動が脊髄での反射で起きることは考えにくい。

尾にできた眼が受けた光の色の情報が、消化管を経由して脳に伝わった。
×。消化管接続の軸索のものは、回避行動ができていないので脳にも情報は伝わっていない。

尾にできた眼が受けた光の色の情報が、脊髄を経由して脳に伝わった。→

本来の眼があるオタマジャクシと、尾に眼ができたオタマジャクシで、学習成功率は同じだった。→×。学習成功率は正常の約半分である。

よって、(4点)

 

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