2015年11月27日、船橋市議会本会議質疑「認知症・認知症予防(MCI早期発見)」部分

最後に認知症対策、認知症予防対策についてご質問させていただきます。
このことについては、橋本議員、藤川議員、日色議員など、これまでさまざまな議論があったんですが、できるだけ重ならない分野でお話をさせていただきたいと思います。まず、認知症対策につきましては、ことしの1月27日に厚生労働省が認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)というのを出しました。この中にはさまざまな数値目標が掲げられて、具体的な方針となっているんですが、その数値目標も含めて、どのような方向でこれを受けとめているか、まず、健康福祉局長にお聞きします。

最後に認知症対策、認知症予防対策についてご質問させていただきます。
このことについては、橋本議員、藤川議員、日色議員など、これまでさまざまな議論があったんですが、できるだけ重ならない分野でお話をさせていただきたいと思います。まず、認知症対策につきましては、ことしの1月27日に厚生労働省が認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)というのを出しました。この中にはさまざまな数値目標が掲げられて、具体的な方針となっているんですが、その数値目標も含めて、どのような方向でこれを受けとめているか、まず、健康福祉局長にお聞きします。
[健康福祉局長登壇]

◎健康福祉局長(山口高志) お答えいたします。
新オレンジプランにつきましては、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年を目指しまして、認知症の方の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現する、そのために地域包括ケアの実現に向けて社会を挙げて、認知症施策を総合的に推進していくものであり、超高齢社会に突入し、今後認知症の方が爆発的にふえていくことが見込まれる我が国には必要かつ重要な取り組みと理解をしております。
市町村では、2017年度末などを当面の目標年度としまして、平成27年度からの第6期介護保険事業計画の中で事業を実施していくことになりますけれども、本市では、認知症への理解を深めるための普及啓発の推進ということで、認知症サポーター養成講座を毎年3,000名の受講を目指して実施する。また、認知症の容態に応じた適時適切な医療・介護の提供として、認知症初期集中支援チームを地域包括支援センターに設置する。こういったプランでも示されているメニューに力を入れるほか、独自の新たな取り組みといたしまして、住民参加による地区コミュニティーでの徘徊模擬訓練などの実施を通じまして、認知症の人を含む、高齢者に優しい地域づくりを計画的に進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  今回、私の質問に当たってつくった資料や、あるいはこれからいろいろ進むであろう軽度認知障害(MCI)の対策についての資料は議会ホームページからリンクしてある私の公式サイトに載せますので、ぜひごらんいただきながら考えていただきたいんですが、例えば認知症の7割を占めているアルツハイマー病では、発症前から実はその原因は始まっています。
脳は神経細胞がネットワークを形成し、神経細胞内では電気信号が、神経細胞と神経細胞の間──シナプスでは神経伝達物質という情報伝達物質が出され、情報が処理されています。あくまでも一例ですが、70歳で認知症を発症した方の場合、25年ぐらい前の45歳ごろから脳内に老廃物、アミロイドベータが蓄積し、神経細胞外でネットワークを阻害する老人斑ができてきます。そして、発症後10年前、60歳ごろには過剰リン酸化タウタンパクというのが神経細胞の軸索内に蓄積する神経原繊維変化が起き、神経細胞そのものが機能を低下させていきます。これらによって特に記憶をつかさどる海馬、そして感情の起伏をつかさどる扁桃体などが特に阻害をされやすくなっております。
しかし、実はこのアミロイドベータやタウタンパクが形成されても、必ず認知症になるわけではありません。8~9割の人は実は認知症にならずに、加齢を進めます。認知症になってしまったら、進行をおくらせることはできても、治療はできないと今まで言われてきました。残念ながら、認知症になった後の……それを回復させるというところは非常に難しいので、進行をおくらせるということになるんですが、実は認知症の前段階である軽度認知障害──MCIですね、の段階では実はきちんと対処をしてけば、回復が可能なんですね。回復とか維持が可能なんです。

新オレンジプランの中で7項目の第6番目で認知症予防のことが書かれているんですが、実はそのMCIの段階できちんと対処すれば、認知症を予防できるということがはっきり書いておりません。これはなぜかといいますと、いろいろな研究があったんですが、明確な疫学的な調査がなされてなかったんですが、実はことしの6月に世界的な医学雑誌「ランセット」の中にフィンランドでの予防の取り組み──フィンガー・スタディーというものが発表されました。それによれば、食事指導、運動指導、認知トレーニング、血圧管理ですね、この4つを組み合わせた対処をすると、軽度認知障害の段階で発見して対処をすれば、認知症が防げるということが明確に、世界的な研究として示されました。これからこれを踏まえ、認知症のMCIの段階での早期発見と、認知症を予防するための対策が求められてきます。
そのためには、実は愛知県の高浜市が、ことしの9月から1万人の高齢者を対象に、60歳以上の認知症検診というのを始めています。認知症予防検診なんですが、それは歩行の速度が1秒間に0.8メートルですね。80センチ以下になったり、あるいは歩行でふらつきが見られるようにすると、MCIの危険兆候だということで、そのような指標を使いながら、検診をして早期発見をしようとしております。
このような認知症検診を、予防検診をがん検診や生活習慣病検診とともに船橋市でも位置づけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

愛知県高浜市の健診

(後日加筆、2015年12月15日視察に行きした)

[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) 認知症の検診の実施に関するご質問にお答え申し上げます。
認知症の診断は初期ほど難しく、高度な検査機器と熟練した技術を要する検査が必要でございます。そういったことから、専門の医療機関への受診が不可欠となっております。そのような状況の中で、認知症の検診は、さらなる専門性やその制度を求められることから、今後、国や他の自治体の動向を注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  確かに最終的には国がきちんと検証、決断しないといけないと思っているんですが、先行的に行っている高浜市の例にぜひ学んでいただきたいと思います。
で、オレンジプランの中では、その医療体制について、次のような目標が掲げられております。かかりつけ医に認知症対応力向上研修受講者目標を高齢者人口500人に1人、そして一般診療所25カ所に1カ所のサポート医を配置すると、一般病院1カ所当たり10人の医療従事者が認知症対応向上研修を受講すると、このような目標が掲げられているんですが、船橋市においては診断や行動観察、医療支援が正確にできるような医療体制はあるんでしょうか。特にかかりつけ医の役割について、どのようになっているかお聞きします。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) お答え申し上げます。
認知症の早期発見、早期受診につなげるため、船橋市医師会の協力を得て、船橋市医師会認知症協力医療機関名簿を作成し、広く公表しております。この名簿には現在59の医療機関に登録をいただいており、地区別に情報を整理し、毎年更新しております。また、地域における認知症患者とその家族に対する保健・医療・福祉の向上並びに医師の連携等を図ることを目的に、船橋市認知症サポート医会が平成20年に設立され、現在、サポート医は30名となっております。同会には、市の認知症相談事業や認知症家族交流会への協力をいただいているところでございます。加えて、千葉県では、適切な認知症診断の知識、技術や家族からの話や悩みを聞くための研修として、かかりつけ医認知症対応向上研修を実施しており、今までに本市から39名の医師が受講をされております。このようなことから、本市においては医療支援体制が進んでいるものと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  進んでいるものと言われると、ちょっと……進めようとしているということはよくわかりますし、確かに市の窓口に認知症を正しく知ろうというパンフレットの中にきちんと認知症に対応できる医師と病院の名前が一覧で列記されていますので、このような取り組みはぜひこのまま進めていただいて、さらに皆さんに周知していただければと思います。
で、実は認知症の検査というのは、初期には長谷川式簡易知能評価スケールというので、基本的な認定をして、それから、正確なサポートと正確な把握のもとに医療・介護・福祉が連携されている例も当然あるんですが、一方で、よく聞く話に長谷川式で簡単に検査されただけで、薬だけ渡されて、余り丁寧なケアがされてないというような患者・家族の声も聞きますので、きちんと正確な対応が必要です。
そこで参考になるのが、敦賀温泉病院で行われている行動観察方式──アクション・オブ・サーベション・シートというやつですね。これは患者・家族、そして介護者ですね、そしてスタッフが患者の状態をどのように把握するかというの、質問項目や、あるいは直接質問したりをして把握するんですね。で、それを表にまとめて点数化する。そのときに重要なのは、家族同士やあるいは本人、そしてスタッフの間で点数が違ってくるんです。で、点数が違っていると、お互い評価が違うわけですけど、それを評価違うことを共有しながら、どこがどういうふうに見方が違うのかということを家族や介護者が共有しながら、そして医療者もそれを共有しながら、対処ができるという正確な方式ですので、まあこれは1つの一例ですが、このような方式も参考にしていって取り入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) お答え申し上げます。
認知症に係る福祉・介護・医療連携についてですが、現在都道府県及び指定都市が認知症疾患医療センターとして指定した病院が保健医療・介護機関等と連携を図りながら、認知症疾患に関する鑑別診断、周辺症状と身体合併に関する急性期治療や専門医による医療相談等を実施しております。千葉県では二次保健医療圏ごとに設置を進めており、平成26年10月に東葛南部県域内で千葉病院と八千代病院が指定されております。これら認知症疾患医療センターの設置により、地域において認知症に対して進行予防から地域生活の維持まで必要となる医療を提供できる機能体制の構築が図られているものと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  特に行動観察方式について、例えば介護の当事者なんかにもお伝えしていただきたいと。ほかにもいろいろ方式あるんですけど、1つの例としてお伝えいただきたいというようなことを思っているんですが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) 現在、介護サービスで提供するケアプランを作成する際には、ケアマネジャーを中心として本人及びご家族、サービス提供事業者、必要により医療機関関係者が集まり、サービス担当会議を開催する中で、自立に向けて必要なサービスについて協議し、ケアプランを決定しております。そのような際、会議に集まった関係者がサービス利用者の行動観察の共通認識を持つことが必要となっております。ご提案の行動観察方式(AOS)につきましては、共通の認識を持つ際の1つの有効な方法と考えられていることから、今後、船橋市介護支援専門員協議会の研修において紹介してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  地域で認知症を見守る対策として認知症サポーター講座っていうのが開かれ、私も先日、塚田連合自治会のほうで受けさせていただきました。それで、これまで議会で話題になったような徘徊高齢者の地域での見守りなどが主な内容だったんですが、今、一番大切なことは、5年間、実は認知症予備軍ですね、MCIの段階で、ここで気づけば、認知症予防できるというような状況が出てきますので、その気づきを住民ができるような取り組みが必要じゃないかと。一番簡単な検査としまして、山口式キツネ・手バト検査というのがあるんですが、この形を、キツネの形をつくれるかどうか、そしてこうやってハトの形をつくれるかどうか。で、この2つが例えば認知症の予備軍を見分ける1つの方法です。それからよく言われることに、私などはもともと生まれつきだからいいんですけど、これまでおしゃれをしていた人が身だしなみを気にしなくなったということとか、あるいは外出がおっくうに……外出をしなくなった。そして、財布の中に小銭がたまっている。つまり、お札ばかり出して小銭を計算するのがおっくうになっていると。このような症状が認知症予備軍としての1つの兆候でありますので、あるいは……友人から、おまえ、同じこと何回も言っているよと言われる、(予定時間終了2分前の合図)これも認知症予備軍の症状ですので、これらの気づきの場も含めて、MCIで発見できれば、予防できるんだという啓発を進めていっていただきたいと思いますが、それを認知症サポーター講座の中で、一言でも言っていただければと思いますが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) お答え申し上げます。
認知症や軽度認知障害(MCI)の方々の早期発見につきましては、家族や身近な方が気づくことが重要であり、そのためには認知症などを広く理解していただくことが重要と考えてございます。今後、認知症高齢者の増加が見込まれる中、認知症は誰もがかかわる可能性がある身近なものであることを認識していただき、認知症の方の早期の気づきを社会全体で共有し、地域に根づいた認知症高齢者の見守り体制の確立を図ることが重要でございます。
こうしたことから、現在実施している認知症サポーター養成の普及啓発を行う際に、軽度認知障害者(MCI)についても情報提供してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  国も国民もようやく認知症に対して本格的に取り組もうという機運になってきていると思います。この「娘になった妻、のぶ代へ」という本が最近出されたんですが、(現物を示す)ドラえもんの声優であった大山のぶ代さんの介護の夫の手記であります。それから、NHKが特集を始めましたし、そのベースとなった「認知症新時代」という本も出ております。(現物を示す)このようなことを担当職員が読むのは当然として、市の職員全体がぜひ認知症の認識を持っていただいて、まずは周りにキツネとか手バトを広げていただくだけでも、1つの気づきの機会となると思います。そして、やはり最終的には富士宮市が取り組んでいるように、軽度認知障害や若年性認知症の方が自然にサークル活動や学習活動、あるいはボランティア活動に参加できるような場所をふやしていく。そして、その中にMCIの人も自然に参加できるようにしていく、そのような活動をふやしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) お答え申し上げます。
認知症の方々が地域社会で活動しながら、よりよく生活を過ごしていただけるよう、環境整備を行っていく必要があると考えてございます。このため、認知症の方やその家族及び関係者が気軽に集える場所として、認知症カフェの設置が新オレンジプランにも掲げられております。本市では、船橋市認知症高齢者グループホーム連絡会と認知症カフェ等の開催に向けた意見交換会を行い、あわせて、認知症の方が認知症カフェを通じて、ボランティアなど社会活動に参加できないかを現在検討しております。
認知症カフェ等で、認知症の方をスタッフとして受け入れる体制が整った後は、若年性認知症の方や軽度認知障害(MCI)の方々にも拡大してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  特に軽度認知障害の段階で進行を防いでいくためには、ボランティア活動とか、あるいは中学生がやっているような学習活動というのが1つのきっかけになると思います。私もこれも中学生に主に数学や図形を教えることをやってきたんですが、この分野でもお役に立てればというふうに考えているところです。いろんな方がいろんな形で認知症の方も含めた……人が暮らしやすい地域をつくるように努力することが……その一例としては、例えば三重県なんかでは、認知症高齢者が子供の見守り活動の時間に合わせて散歩する(予定時間終了の合図)ということをやっています。そのような取り組みをぜひ進めていっていただければと思います。

◎健康福祉局長(山口高志) お答えいたします。
新オレンジプランにつきましては、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年を目指しまして、認知症の方の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会を実現する、そのために地域包括ケアの実現に向けて社会を挙げて、認知症施策を総合的に推進していくものであり、超高齢社会に突入し、今後認知症の方が爆発的にふえていくことが見込まれる我が国には必要かつ重要な取り組みと理解をしております。
市町村では、2017年度末などを当面の目標年度としまして、平成27年度からの第6期介護保険事業計画の中で事業を実施していくことになりますけれども、本市では、認知症への理解を深めるための普及啓発の推進ということで、認知症サポーター養成講座を毎年3,000名の受講を目指して実施する。また、認知症の容態に応じた適時適切な医療・介護の提供として、認知症初期集中支援チームを地域包括支援センターに設置する。こういったプランでも示されているメニューに力を入れるほか、独自の新たな取り組みといたしまして、住民参加による地区コミュニティーでの徘徊模擬訓練などの実施を通じまして、認知症の人を含む、高齢者に優しい地域づくりを計画的に進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  今回、私の質問に当たってつくった資料や、あるいはこれからいろいろ進むであろう軽度認知障害(MCI)の対策についての資料は議会ホームページからリンクしてある私の公式サイトに載せますので、ぜひごらんいただきながら考えていただきたいんですが、例えば認知症の7割を占めているアルツハイマー病では、発症前から実はその原因は始まっています。
脳は神経細胞がネットワークを形成し、神経細胞内では電気信号が、神経細胞と神経細胞の間──シナプスでは神経伝達物質という情報伝達物質が出され、情報が処理されています。あくまでも一例ですが、70歳で認知症を発症した方の場合、25年ぐらい前の45歳ごろから脳内に老廃物、アミロイドベータが蓄積し、神経細胞外でネットワークを阻害する老人斑ができてきます。そして、発症後10年前、60歳ごろには過剰リン酸化タウタンパクというのが神経細胞の軸索内に蓄積する神経原繊維変化が起き、神経細胞そのものが機能を低下させていきます。これらによって特に記憶をつかさどる海馬、そして感情の起伏をつかさどる扁桃体などが特に阻害をされやすくなっております。
しかし、実はこのアミロイドベータやタウタンパクが形成されても、必ず認知症になるわけではありません。8~9割の人は実は認知症にならずに、加齢を進めます。認知症になってしまったら、進行をおくらせることはできても、治療はできないと今まで言われてきました。残念ながら、認知症になった後の……それを回復させるというところは非常に難しいので、進行をおくらせるということになるんですが、実は認知症の前段階である軽度認知障害──MCIですね、の段階では実はきちんと対処をしてけば、回復が可能なんですね。回復とか維持が可能なんです。
新オレンジプランの中で7項目の第6番目で認知症予防のことが書かれているんですが、実はそのMCIの段階できちんと対処すれば、認知症を予防できるということがはっきり書いておりません。これはなぜかといいますと、いろいろな研究があったんですが、明確な疫学的な調査がなされてなかったんですが、実はことしの6月に世界的な医学雑誌「ランセット」の中にフィンランドでの予防の取り組み──フィンガー・スタディーというものが発表されました。それによれば、食事指導、運動指導、認知トレーニング、血圧管理ですね、この4つを組み合わせた対処をすると、軽度認知障害の段階で発見して対処をすれば、認知症が防げるということが明確に、世界的な研究として示されました。これからこれを踏まえ、認知症のMCIの段階での早期発見と、認知症を予防するための対策が求められてきます。
そのためには、実は愛知県の高浜市が、ことしの9月から1万人の高齢者を対象に、60歳以上の認知症検診というのを始めています。認知症予防検診なんですが、それは歩行の速度が1秒間に0.8メートルですね。80センチ以下になったり、あるいは歩行でふらつきが見られるようにすると、MCIの危険兆候だということで、そのような指標を使いながら、検診をして早期発見をしようとしております。
このような認知症検診を、予防検診をがん検診や生活習慣病検診とともに船橋市でも位置づけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) 認知症の検診の実施に関するご質問にお答え申し上げます。
認知症の診断は初期ほど難しく、高度な検査機器と熟練した技術を要する検査が必要でございます。そういったことから、専門の医療機関への受診が不可欠となっております。そのような状況の中で、認知症の検診は、さらなる専門性やその制度を求められることから、今後、国や他の自治体の動向を注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  確かに最終的には国がきちんと検証、決断しないといけないと思っているんですが、先行的に行っている高浜市の例にぜひ学んでいただきたいと思います。
で、オレンジプランの中では、その医療体制について、次のような目標が掲げられております。かかりつけ医に認知症対応力向上研修受講者目標を高齢者人口500人に1人、そして一般診療所25カ所に1カ所のサポート医を配置すると、一般病院1カ所当たり10人の医療従事者が認知症対応向上研修を受講すると、このような目標が掲げられているんですが、船橋市においては診断や行動観察、医療支援が正確にできるような医療体制はあるんでしょうか。特にかかりつけ医の役割について、どのようになっているかお聞きします。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) お答え申し上げます。
認知症の早期発見、早期受診につなげるため、船橋市医師会の協力を得て、船橋市医師会認知症協力医療機関名簿を作成し、広く公表しております。この名簿には現在59の医療機関に登録をいただいており、地区別に情報を整理し、毎年更新しております。また、地域における認知症患者とその家族に対する保健・医療・福祉の向上並びに医師の連携等を図ることを目的に、船橋市認知症サポート医会が平成20年に設立され、現在、サポート医は30名となっております。同会には、市の認知症相談事業や認知症家族交流会への協力をいただいているところでございます。加えて、千葉県では、適切な認知症診断の知識、技術や家族からの話や悩みを聞くための研修として、かかりつけ医認知症対応向上研修を実施しており、今までに本市から39名の医師が受講をされております。このようなことから、本市においては医療支援体制が進んでいるものと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  進んでいるものと言われると、ちょっと……進めようとしているということはよくわかりますし、確かに市の窓口に認知症を正しく知ろうというパンフレットの中にきちんと認知症に対応できる医師と病院の名前が一覧で列記されていますので、このような取り組みはぜひこのまま進めていただいて、さらに皆さんに周知していただければと思います。
で、実は認知症の検査というのは、初期には長谷川式簡易知能評価スケールというので、基本的な認定をして、それから、正確なサポートと正確な把握のもとに医療・介護・福祉が連携されている例も当然あるんですが、一方で、よく聞く話に長谷川式で簡単に検査されただけで、薬だけ渡されて、余り丁寧なケアがされてないというような患者・家族の声も聞きますので、きちんと正確な対応が必要です。
そこで参考になるのが、敦賀温泉病院で行われている行動観察方式──アクション・オブ・サーベション・シートというやつですね。これは患者・家族、そして介護者ですね、そしてスタッフが患者の状態をどのように把握するかというの、質問項目や、あるいは直接質問したりをして把握するんですね。で、それを表にまとめて点数化する。そのときに重要なのは、家族同士やあるいは本人、そしてスタッフの間で点数が違ってくるんです。で、点数が違っていると、お互い評価が違うわけですけど、それを評価違うことを共有しながら、どこがどういうふうに見方が違うのかということを家族や介護者が共有しながら、そして医療者もそれを共有しながら、対処ができるという正確な方式ですので、まあこれは1つの一例ですが、このような方式も参考にしていって取り入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) お答え申し上げます。
認知症に係る福祉・介護・医療連携についてですが、現在都道府県及び指定都市が認知症疾患医療センターとして指定した病院が保健医療・介護機関等と連携を図りながら、認知症疾患に関する鑑別診断、周辺症状と身体合併に関する急性期治療や専門医による医療相談等を実施しております。千葉県では二次保健医療圏ごとに設置を進めており、平成26年10月に東葛南部県域内で千葉病院と八千代病院が指定されております。これら認知症疾患医療センターの設置により、地域において認知症に対して進行予防から地域生活の維持まで必要となる医療を提供できる機能体制の構築が図られているものと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  特に行動観察方式について、例えば介護の当事者なんかにもお伝えしていただきたいと。ほかにもいろいろ方式あるんですけど、1つの例としてお伝えいただきたいというようなことを思っているんですが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) 現在、介護サービスで提供するケアプランを作成する際には、ケアマネジャーを中心として本人及びご家族、サービス提供事業者、必要により医療機関関係者が集まり、サービス担当会議を開催する中で、自立に向けて必要なサービスについて協議し、ケアプランを決定しております。そのような際、会議に集まった関係者がサービス利用者の行動観察の共通認識を持つことが必要となっております。ご提案の行動観察方式(AOS)につきましては、共通の認識を持つ際の1つの有効な方法と考えられていることから、今後、船橋市介護支援専門員協議会の研修において紹介してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  地域で認知症を見守る対策として認知症サポーター講座っていうのが開かれ、私も先日、塚田連合自治会のほうで受けさせていただきました。それで、これまで議会で話題になったような徘徊高齢者の地域での見守りなどが主な内容だったんですが、今、一番大切なことは、5年間、実は認知症予備軍ですね、MCIの段階で、ここで気づけば、認知症予防できるというような状況が出てきますので、その気づきを住民ができるような取り組みが必要じゃないかと。一番簡単な検査としまして、山口式キツネ・手バト検査というのがあるんですが、この形を、キツネの形をつくれるかどうか、そしてこうやってハトの形をつくれるかどうか。で、この2つが例えば認知症の予備軍を見分ける1つの方法です。それからよく言われることに、私などはもともと生まれつきだからいいんですけど、これまでおしゃれをしていた人が身だしなみを気にしなくなったということとか、あるいは外出がおっくうに……外出をしなくなった。そして、財布の中に小銭がたまっている。つまり、お札ばかり出して小銭を計算するのがおっくうになっていると。このような症状が認知症予備軍としての1つの兆候でありますので、あるいは……友人から、おまえ、同じこと何回も言っているよと言われる、(予定時間終了2分前の合図)これも認知症予備軍の症状ですので、これらの気づきの場も含めて、MCIで発見できれば、予防できるんだという啓発を進めていっていただきたいと思いますが、それを認知症サポーター講座の中で、一言でも言っていただければと思いますが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) お答え申し上げます。
認知症や軽度認知障害(MCI)の方々の早期発見につきましては、家族や身近な方が気づくことが重要であり、そのためには認知症などを広く理解していただくことが重要と考えてございます。今後、認知症高齢者の増加が見込まれる中、認知症は誰もがかかわる可能性がある身近なものであることを認識していただき、認知症の方の早期の気づきを社会全体で共有し、地域に根づいた認知症高齢者の見守り体制の確立を図ることが重要でございます。
こうしたことから、現在実施している認知症サポーター養成の普及啓発を行う際に、軽度認知障害者(MCI)についても情報提供してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  国も国民もようやく認知症に対して本格的に取り組もうという機運になってきていると思います。この「娘になった妻、のぶ代へ」という本が最近出されたんですが、(現物を示す)ドラえもんの声優であった大山のぶ代さんの介護の夫の手記であります。それから、NHKが特集を始めましたし、そのベースとなった「認知症新時代」という本も出ております。(現物を示す)このようなことを担当職員が読むのは当然として、市の職員全体がぜひ認知症の認識を持っていただいて、まずは周りにキツネとか手バトを広げていただくだけでも、1つの気づきの機会となると思います。そして、やはり最終的には富士宮市が取り組んでいるように、軽度認知障害や若年性認知症の方が自然にサークル活動や学習活動、あるいはボランティア活動に参加できるような場所をふやしていく。そして、その中にMCIの人も自然に参加できるようにしていく、そのような活動をふやしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
[健康・高齢部長登壇]

◎健康・高齢部長(川守三喜男) お答え申し上げます。
認知症の方々が地域社会で活動しながら、よりよく生活を過ごしていただけるよう、環境整備を行っていく必要があると考えてございます。このため、認知症の方やその家族及び関係者が気軽に集える場所として、認知症カフェの設置が新オレンジプランにも掲げられております。本市では、船橋市認知症高齢者グループホーム連絡会と認知症カフェ等の開催に向けた意見交換会を行い、あわせて、認知症の方が認知症カフェを通じて、ボランティアなど社会活動に参加できないかを現在検討しております。
認知症カフェ等で、認知症の方をスタッフとして受け入れる体制が整った後は、若年性認知症の方や軽度認知障害(MCI)の方々にも拡大してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  特に軽度認知障害の段階で進行を防いでいくためには、ボランティア活動とか、あるいは中学生がやっているような学習活動というのが1つのきっかけになると思います。私もこれも中学生に主に数学や図形を教えることをやってきたんですが、この分野でもお役に立てればというふうに考えているところです。いろんな方がいろんな形で認知症の方も含めた……人が暮らしやすい地域をつくるように努力することが……その一例としては、例えば三重県なんかでは、認知症高齢者が子供の見守り活動の時間に合わせて散歩する(予定時間終了の合図)ということをやっています。そのような取り組みをぜひ進めていっていただければと思います。