2023年大学入試共通テスト「生物」第2問「色覚と嗅覚」、問題、解答、解説(計18点)

【解説】
問1


(a)重複によって生じた遺伝子の片方に突然変異が起こることで、もう一方の遺伝子が合成するタンパク質とは異なるアミノ酸配列のタンパク質が合成されるようになることがある。→
(b)重複によって生じた遺伝子の片方の転写調節領域に突然変異が起こることで、その遺伝子はもう一方の遺伝子とは異なる組織で発現するようになることがある。→(転写調節領域の塩基配列が異なってくれば、異なる調節タンパク質によって転写が促進されることがありうる。組織ごとに異なる調節タンパク質が働いていることがあるので、異なる組織で発現することがありうる。)
(c)重複によって生じた遺伝子の片方に突然変異が起こることでその遺伝子の働きが失われても、個体の生存にとって不利にならないことがある。→

よって(a,b,c)(4点)

問2


二色型と三色型で、発見公立に明確な差が出ているものの注目すると
図1より「暗い場所では、二色型が昆虫を発見しやすい」。
図2より「赤黄色の果実は、三食型のほうが発見しやすい」。
とわかる。

果実が存在し、昆虫は存在しない場合、三色型が生存に不利になるだろう。→×(果実を発見するのが暗い条件なら三色型が不利(二色型が有利)、果実の色が赤黄色中心ならば二色型が不利(三色型が有利)なので、果実の存在だけではどちらが不利か断定できない。)


昆虫が存在し、果実は存在しない場合、二色型が生存に有利になるだろう。
(明るい場所では差がないが、暗い場所では二色型が有利、暗い場所は環境中には必ずあり、場所に関わらず時間的には夜が暗くなるので、二色型が有利な時間帯や場所が存在する分、二色型が有利となる。)

暗い場所のみが存在し、果実は赤黄色のみが存在する場合、雌と雄のそれぞれに二色型と三色型が共存するだろう。
×

オマキザルの性決定様式は「ヒトと同じ」と書いてあるのでXY型である。
ヒトでは青色覚の遺伝子は常染色体にあり、赤色覚、緑色覚の遺伝子は両方がX染色体上にあり3色覚となっている。オマキザルの色覚が何色色覚かはっきり書いていないがヒト型に近いとして考えよう。オマキザルの場合も青色覚遺伝子は常染色体上にあり、
緑色覚の遺伝子Gか赤色覚の遺伝子RがX染色体上にある複対立遺伝子なので性決定と色覚は以下のようになる。

雌 XGXG (青+緑=二色型)   雄 XGY(青+緑=二色型)
XRXR(青+赤=二色型)     XRY(青+赤=三色型)
XGXR(青+赤・緑=三色型)

雄はX染色体が1本しかないので、三色型にはならない。三色型と二色型が共存するのは雌のみである。

明るい場所のみが存在し、果実は赤黄色のみが存在する場合、世代を経ると三色型が増え、最終的に全ての個体が三色型になるだろう。→×長期的には雌においては三色型が有利となり、その比率が増える可能性はあるが、雄は必ず二色型のため、全ての個体が三食型になることはない。
明るい場所のみが存在し、果実は赤黄色と緑色が混在する場合、世代を経ても二色型と三色型の共存が維持されるだろう。
(X染色体上の複対立遺伝子の性質から、上記のように世代を経ても二色型と三色型は共存する。
明るい場所のみが存在し、果実は緑色のみが存在する場合、世代を経ると三色型の頻度は増加し、二色型の頻度は減少するだろう。→×「緑果実」に対しては二色型と三色型の発見効率に差はないため、遺伝子頻度も変わらない。

(3点×2)

問3


よって適当でないものは、(4点)

問4
4通りの興奮の仕方が、同じ興奮の仕方を含めて10個の細胞で起こりうるので、全部の場の数は
4×4×4×4×4×4×4×4×4×4=410=220
生物においては、細胞培養の問題,片対数グラフの解釈
などで、210=1024≒1000=103
という2の累乗と10進法をつなげる換算式がよく用いられるので、知っておいたほうがよい。
20=(2102≒10002=1,000,000。よって(4点)