2023年大学入試共通テスト「生物」第6問「種内関係・種間関係」、問題、解答、解説(計14点)

解説
問1

(a)群れの大きさは、種内競争の影響を受けないが、捕食者の数の影響を受ける。×
同じ群れの個体どうしでも、共有する群れの面積の中での個体間の食物の奪い合い(1個体あたりどれぐらいの食物を摂食するかなど)の影響で、個体数(群れの大きさ)は変化する。捕食者の数によって、被食される数も異なるため、個体数(群れの大きさ)は変化する。
(b)種内競争によって縄張りを形成した個体の分布は、集中分布になりやすい。×

「縄張り」は一定の面積で分布しあうので一様分布となる。(群れが集中分布となる。) 

 

 

(c)同じ種類の食物を利用する2種でも、異なる大きさの食物を食べることで、同じ大きさの食物を食べるときと比べ、種間競争が緩和される。
食いわけ。「すみわけ」と同じく競争の緩和につながる。

(d)種間競争は、広範囲を移動できる生物間でも、ほとんど移動できない生物間でも起こる。

移動できる生物間では、同じ植物をめぐる種間競争が生じる。また移動できない生物間(例えば岩礁に固着する貝類)でも、生活空間(固着場所)をめぐる種間競争がおきる。

(c、d)

 

問2

どの水路でも、実験1の後は、実験の前に比べて、体重の個体差がより大きくなった。

「また実験前の体重が重かった個体が縄張り個体に、軽かった個体が群れ個体になっていた。さらに、実験期間中の体重増加量は、どの水路でも、縄張り個体になったアユが、群れ個体になったアユよりも大きかった。」から、実験前から体重が軽かった群れ個体の実験期間中の体重増加量より、実験前から体重が重かった縄張り個体の実験期間中の体重増加量のほうが大きいので、個体差は広がっている。

実験1の終了時の水路内における縄張りの総面積は、どの水路でも変わらない。×
「縄張りの大きさにはほとんど違いがない」ので、A~Eの縄張り個体数の違いがそのまま総面積の違いになる。

実験2の結果、水路Dでは、より体重の重い個体が縄張り個体になった。
水路Dは、もとの個体数でも縄張りを5つ作ることができる。最初なばわりを持っていた5個体が取り除かれたので、少なくとも群れの中で体重の重い個体5個体は縄張りを持つようになるし、群れの個体数の減少により、更に6個体目以降の個体が縄張りをつくる可能性もある。

実験2の結果、水路Eでは、各縄張り個体の縄張りは、より大きくなった。
群れ個体が占めていた面積を縄張り10個体で分割し、各縄張り面積は大きくなる。

適当でないものは

問3

「地点Yのモデル」
地点Xと地点Yは水深は同じなので、同じ縄張り面積で確保できる藻量=利益は同じで、図1と同じとなる。一方で、個体群密度はYのほうがが大きいので、個体間の「縄張り」を維持するための労力は大きくなる。つまり労力のグラフは増加の程度が大きくなる。よってが個体群密度が大きいので、「地点Yのモデル」は

「地点Zの最適な縄張りの大きさ」

地点Zは水深が深いので、川底の藻が生育しにくく単位面積あたりの利益が少ないので利益のグラフの増加の程度は少なくなる。また、水深が深くなり、縄張りを確保できる空間が広くなるので、縄張りの維持をめぐる労力は緩和され、労力のグラフの増加の程度も小さくなるので、グラフはである。


「利益ー労力」が最大となる面積が最適縄張り面積となるので、面積は。よって