2023年大学入試共通テスト「生物基礎」第1問A(配点6点)問題・解答・解説

2023年12月6日 予備校生物科講師・船橋市議 朝倉幹晴

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2023年大学入試共通テスト「生物基礎」第1問B(配点10点)問題・解答・解説

参考 大学入試共通テスト・センター試験「生物」過去6年分(2023~2018年)全問題、「生物基礎」(2022~2018年)解答・解説

【2023年大学入試共通テスト「生物基礎」第1問A(配点6点)

(a)地球上に出現した最初の生物は原核生物であり、原核生物の進化によって真核生物が出現したと考えられている。真核細胞の一部は葉緑体を持つが、葉緑体の起源は真核細胞に共生したシアノバクテリアであるとされる。(b)長い共生の歴史のなかで孤立して代謝を行うことができなくなったシアノバクテリアが、葉緑体になったと推測されている。

問1 下線部(a)に関連して、原核細胞と真核細胞の比較に関する記述として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
核酸は、原核細胞にも真核細胞にも存在するが、核酸を構成する塩基の種類は両者で異なる。
酵素は、原核細胞には存在しないが、真核細胞には存在するので、真核細胞では原核細胞よりも代謝が速く進む。
ATPは、原核細胞でも真核細胞でも合成されるが、原核細胞にはATP合成の場であるミトコンドリアは存在しない。
細胞の大きさは、原核細胞よりも真核細胞のほうが大きいことが多いが、原核細胞と真核細胞のどちらにも1個の細胞を肉眼で観察できるものはない。
呼吸は、真核細胞の多くが行うが、原核細胞は行わない。

問2 下線部(b)に関連して、葉緑体を持つ藻類が動物細胞に取り込まれて共生している例が知られている。この例で、藻類が動物細胞に取り込まれた直後と、その共生の関係が長く続いたときとを比べた場合にみられる。藻類と動物細胞の代謝の変化に関する次の文章中のア~ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後のから一つ選べ。

藻類から動物細胞へが供給されるため、動物細胞が生存できる可能性が高くなると考えられる。藻類は、動物細胞が生成するアミノ酸などを栄養分として利用するようになり、その結果、この栄養分を取り込む働きを持つタンパク質の遺伝子の発現がする。動物細胞では、この栄養分を生成するために働くタンパク質の遺伝子の発現がする。

B培養液で満たしたペトリ皿の中で動物細胞を培養し、増殖している細胞の様子を観察したところ、(C)細胞周期の間期の細胞はペトリ皿の底に張り付いて扁平であったが、分裂期の細胞はペトリ皿の底から球形に盛り上がっていた。(d)培養細胞が細胞周期のどの時期にあるのかは、細胞周期における特定の時期に発現するタンパク質を指標として調べることができる。また、このことは、(e)DNAが複製される仕組みを利用することによっても調べることができる。

問3 下線部(c)に関連さて、ヒトの体細胞では、細胞周期に伴うDNAの複製は、DNAの複製の場所から開始される。1回の細胞周期の間に、DNAの一つの場所で1×106塩基対のDNAが複製されるとすると、1個の体細胞の核で全てのDNAが複製されるためには、いくちの場所で複製が開始される必要があるか。その数値として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。ただし、ヒトの精子の核の中には、3×109塩基対からなるDNAが含まれるとする。

問4 下線部dに関連して、タンパク質Xは、分裂終了直後に発現を開始し、DNAの複製中に減少していく。他方、タンパク質Yは、DNAの複製が始まると発現を開始し、分裂終了直後に急速に減少する。ペトリ皿の底に貼り付いている扁平な細胞についてタンパク質Xとタンパク質Yの発現を調べたところ、一部の細胞は、タンパク質Xのみを発現し、タンパク質Yを発現していなかった。この細胞における細胞周期の時期として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。

問5 下線部eに関連して、細胞周期がばらばらで同調していない多数の培養細胞を含む培養液に、細胞内に入り複製中のDNAに取り込まれる物質Aの量と全DNA量を測定したところ、図1の結果が得られた。図中のエ~カの三つの細胞集団のうち、カの細胞集団における細胞周期の時期として最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。ただし、物質Aは複製中のDNAに取り込まれるだけでなく、細胞周期のどの時期においても細胞質に少量残存する。また、物質Aを加えて培養する時間は細胞周期に比べて十分に短いものとする。

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