2023年大学入試共通テスト「生物基礎」第1問A(配点6点)問題・解答・解説


【解説】
【問1】
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遺伝情報をのせた核酸(DNA、RNA)は両者に存在し、塩基もDNAはA.T.G.C、RNAはA.U.G.Cで共通である。

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代謝に必要な酵素は原核細胞も真核細胞も持つ。

原核細胞にはリボソーム(タンパク質合成の場)・細胞膜・細胞壁はあるが、その他の細胞小器官(ミトコンドリアなど)はない。ATPは存在し、その合成はミトコンドリアでなく細胞膜で行う。

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上記のように、原核細胞は数μm、真核細胞(動物)は数10μm、真核細胞(植物)は数100μmなので前半「細胞の大きさは、原核細胞よりも真核細胞のほうが大きいことが多い」は正しい。
真核細胞は通常は肉眼(解像度0.2mm)で見えないことが多いが、ゾウリムシは200μm(0.2mm)でぎりぎり見ることができるし、鶏卵の卵黄やカサノリなど巨大な細胞は肉眼で見ることができる。
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呼吸は有機物を分解し、生命活動に使うエネルギー通貨であるATPを生成することであり、原核生物も行う。

【問2】
藻類から動物細胞へア(糖)が供給されるため、動物細胞が生存できる可能性が高くなると考えられる。藻類は、動物細胞が生成するアミノ酸などを栄養分として利用するようになり、その結果、この栄養分を取り込む働きを持つタンパク質の遺伝子の発現がイ(低下)する。動物細胞では、この栄養分を生成するために働くタンパク質の遺伝子の発現がウ(上昇)する。

よって、

藻類は、CO2と水から光合成で糖(CHO化合物)を作ることができる。しかしNを含むアミノ酸は、水中からNO3(硝酸イオン)やNH4+(アンモニウムイオン)を吸収し、それを糖由来のCHO化合物と結合させることではじめて合成できる。これを窒素同化という。
一方、動物は他の生物のタンパク質を直接摂食し消化吸収しアミノ酸を得る。
共生が成立すると、藻類は光合成産物(CHO化合物)を動物細胞に与え、一方動物細胞はNを含むアミノ酸を植物に与え、お互いに利益を得る。藻類は、動物細胞にN吸収を依存するため、自らアミノ酸を合成するためにNを含む成分を水中から吸収し窒素同化するためのタンパク質(酵素)の遺伝子発現を低下させる。一方、動物細胞は、藻類の分までアミノ酸を賄うため、アミノ酸吸収(摂食後の消化吸収)に関与するタンパク質(酵素)の遺伝子の発現が上昇する。