2017年9月14日、船橋市議会質疑「離婚後の子どもの共同養育と産後クライシスへの取り組みについて」議事録

2017年9月14日に船橋市議会で行った「離婚後の子どもの共同養育と産後クライシスへの取り組みについて」の質疑の議事録を、この問題に取り組む兵庫県明石市(泉房穂市長)を訪問させていただいた日に公式サイトにUPします。

その時に議場に配布した資料も議事録に添付します。

2018年4月13日

 

◆朝倉幹晴 議員

私は、子供の貧困対策の小中学生の学習サポートにかかわっている中で、子供の貧困の背景に親の離婚の問題があることは感じてきました。一方で、離婚は個人の問題だから、余り深くお聞きすべきではないという感覚もあり、離婚問題は離婚にかかわる専門職、例えば、弁護士や、離婚回避や離婚後のケアのためのカウンセリング・心理職、離婚の影響もあり、精神的な不安定になっている子供をフォローする心理職など、専門家の領域で、行政に提言する市議の役割ではないと誤解してきました。
しかしながら、この間、この問題に取り組む滝沢泰子元江戸川区議のお話で、いろいろな方のお話を紹介していただき、いろいろな方のお話を伺う中で、この問題で苦しんでる親は非常に多い、そして、そのような方々のサポートをしているNPOや心理職の方々の話を伺う中で、兵庫県明石市など、自治体としてその対策に乗り出しているところがあることを知り、市でもできることがあると考え、今回質問させていただきます。
市民の声を聞く課の主宰する市民生活相談、市民法律相談でも、離婚は相続に続き2番目に多い相談項目になっています。

戸籍住民課の資料がお手元にお配りしておりまして、私の公式サイトにも載せてありますが、2016年度は、結婚、婚姻届総数が5,725件です。それと同じ2015年度に離婚が1,502件ですね。1,502件の離婚が起こっております。

そして、実はそのうちの約4分の1に当たる4組に1人の409件は、未成年の子供がある離婚の状態です。実は子供の養育に対して、十分な合意のない離婚も多いのが現状です。例えば、夫と妻が離婚したい、離婚したくないで意見が異なった場合、市役所の窓口に離婚届を勝手に出されないようにする仕組みに、離婚届不受理申し出があります。2016年度では、離婚届1,502件に対して、不受理届が212件出しており、離婚にかかわる届け出のうち12%が、この争っている状態になっております。
このような状態の中で、例えば、そこで片方の親が同居親となり、片方の親が別居だとなっていくわけですが、それに対して主に親権をめぐって裁判などで争うことも行われております。子供の養育のためには、最低でも別居親からの養育費支払いと、別居親からの、別居親との面会交流の合意が必要であり、国、法務省もそれを意識した政策をとり始めてます。
まずお聞きしますが、離婚届の記載内容変更と、船橋市役所1階窓口の離婚届配付時の添付書類にどのような変化がこの数年の間にあり、どのような意味があるのか、お示しください。
[市民生活部長登壇]

◎市民生活部長(野々下次郎) お答えいたします。
離婚届の様式の改正につきましては、民法等の一部を改正する法律により、民法第766条が改正され、平成24年4月1日から施行されたことに伴い、法務省民事局長通達により、養育費と面会交流の取り決めの有無のチェック欄を設けた様式に改正する旨が通知され、使用が開始されたものでございます。
次に、離婚届の用紙をお配りする際にあわせてお渡ししている書類でございますが、平成26年10月から、児童家庭課からの依頼により、養育費と面会交流のご案内等、事前にお読みいただきたい内容を盛り込んだパンフレットをお渡ししております。
また、平成28年10月からは、法務局から配付を依頼されましたパンフレットにつきましても、あわせてお渡ししているところです。
離婚届の様式の改正は、離婚後のお子様の利益を優先する考え、考え方に基づき、離婚後も離れて暮らす親と子の間で適切な面会交流が行われることや、相当額の養育費が継続して支払われることを期待する意味があるものと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  養育費、面会交流のチェック項目が離婚届に加筆され、また、2016年10月からはパンフが、法務省のパンフが配付されるようになったのは一歩前進です。
しかしながら、お手元の資料にありますように、養育費、面会交流に関して合意ができているのは6割、逆に言うと、4割は合意ができていないか不明で、その中には協議離婚も含まれます。しかし、協議離婚でない離婚であっても3割ですね、協議離婚が1割ですから。そういう状態があります。十分な協議、合意が行われ、定期的な、安定的な養育費の支払いと面会交流ができている親たちがいる一方で、家庭裁判所を介した調停審判で主に親権をめぐって争う中で、子供のことが十分に話し合えない状況になっている親たちもいます。その中には、離婚後も養育費が払われずに苦しんでいる同居親もいます。また、逆に、面会交流の合意に至らず、長時間、長期間、子供に会えていない別居親もいます。このようなときに一番苦しんでいるのは、親とともに子供たちです。
兵庫県明石市では、離婚届の配付時に、元夫婦が共同で養育に責任を持てるように促す資料を配付し、その中のその後の相談体制もしっかりしてます。これだけ分厚い資料が、離婚届をとりに来たときに渡されるわけですね。
その中の資料の中に、「親の離婚とこどもの気持ち」という非常に切実な資料がありますので、ぜひ船橋市でもこのようなものをつくってほしいんですが、一部読み上げさせていただきます。

アドバイス。子どもと一緒に暮らすお父さん、お母さんへ。子どもが一緒に暮らしてない親と気軽に会えるようにしてあげてください。両親が互いに協力的であると、子どもも安心して自由に行き来することができます。子どもが親の顔色をうかがったり、うそをついたりしなくてすむように、子どもが子どもらしくふるまうことができるように、配慮をしてください」。
年齢別にも子供の気持ちが書いてあります。一部読み上げさせていただきます。
就学前の時期、(3歳~6歳前後)私のせい?……私はこれからどうなるの?幼児は、親の離婚に対して、自分のせいでお母さんとお父さんが離婚すると考え、罪悪感を持つことがあります。また親の一方がいなくなったから、いま一緒にいる親もいつか自分から離れていくかもしれない、という不安にかられることもあります。親の一方が突然いなくなるのは、子どもにとって、とてもショックなことです。離婚を決めたときには、子どもの視点に立って話をしてください。たとえば、「お母さんとお父さんは一緒に暮らせないけど、あなたのせいではないよ」「お母さんもお父さんも、あなたのことが大好きで、大切だよ」子どもがよく理解できるよう、くり返し話をしましょう。また、子どもが感じている怒りや恐れなど、子どもの感情、気持ちを聞いてあげましょう。
小学生の時期のところです。
お母さん、お父さんは、また戻ってくるの?子どもは、親の離婚のことを理解しているものの、もう一度一緒に暮らせないかという強い期待を持つことがあります。父母がもう一度やり直すことについての子どもの期待に対しては、現実的な可能性をわかりやすく伝えてください。子どもと一緒に暮らしている親が、もう一方の親を非難したり、否定的な言葉を口にしたりすると、子どもは一緒に暮らしていない親への気持ちを封じ、言わなくなります。また、子どもが一緒に暮らしてる親をなぐさめたり、守ろうとするなど、まるで保護者のようにふるまうこともあります。子どもが安心して「こども」でいられるように、離婚後も、両親は子どもに関心を注ぎ、そして、子どもが怒りや不安などを感じていることを言葉にすることができるように、手伝ってあげましょう。
このようなパンフを作成したり、離婚前や離婚後に親が、夫婦としては別れても、同じ子供の親として、共同養育を促すような講座を開催できないでしょうか。
[子育て支援部長登壇]

◎子育て支援部長(小山泰生) お答えいたします。
離婚前や離婚後に親御さんが持つ、生活や子供の養育の不安や悩みについては、母子・父子自立支援員がその相談に応じ、必要な支援の情報提供やアドバイスなどを適切に、適切な対応に努めているところです。
子供の気持ちを気づかせてくれるパンフレットの作成や、子供の養育に関する講座の開催ということでございますけれども、母子・父子自立支援員の相談や、今年度から本市で行っております弁護士による養育費相談、この中で相談者のご意見や他市の状況を参考にしながら、養育等に関する情報提供の有効な手法について検討してまいります。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  この施策を積極的に進めている兵庫県明石市の泉房穂市長は、私の東大駒場寮時代の寮自治会で切磋琢磨した寮友であり、彼は弁護士になった後、社会福祉士の免許も取り、弁護士としては母親の立場に立ったことも、父親の立場に立ったこともあるんですが、やはり中心にあるのは子供であるべきだろうということを強調されて、このような施策を進められております。ぜひ明石市の施策も学びながら、検討していただければと思います。

 

 

 

そして、実は兵庫県明石市だけではなくて、地元にもNPO法人ウィーズというところがありまして、面会交流仲介支援にかかわっております。先日もお話を伺わせていただきました。そして、明石市が進めてられてることをご提案されているわけですが、面会交流というのは、離婚でもめた夫婦同士がその設定するわけですが、最初の設定、もめるんですね。ま、なかなかその設定しづらいところがあります。それは明石市ではサポートしてるんですが、そのようなことを船橋市でもできないでしょうか。
また、面会交流の場は、お互いの親にとって安心できる公的な場が望まれます。アンデルセン公園やプラネタリウムなどの市の施設を積極的に利用できるように、できないでしょうか。
明石市では、市の公共施設を面会交流で利用するときには無料ということにしております。また、親の離婚などでつらい思いをした子供たちのためのふれあいキャンプも実施しておりますが、このようなことをできないでしょうか。
[子育て支援部長登壇]

◎子育て支援部長(小山泰生) お答えいたします。
初めに、面会交流の設定や同行を市の窓口でできないかとのことでございますが、面会交流の同行支援等の相談があったときは、母子・父子自立支援員が相談者のお話を伺い、必要があれば、千葉県が行っております面会交流支援事業をご案内しているところでございます。
面会交流支援は高度な専門性を有することから、今後におきましても、窓口において丁寧に相談に応じ、引き続き県の制度をご案内してまいりますとともに、相談者の同行支援等に関する要望や他市の実施状況等を把握してまいります。
次に、面会交流の場に市の施設を積極的に利用できないかとのことでございますけれども、現在行っている母子・父子自立支援員や弁護士相談、県の事業を通しまして、ニーズの把握に努めてまいります。
次に、子供たちのためにふれあいキャンプをできないかとのことでございますが、親の離婚を経験した子供など、ひとり親とその子供の交流事業といたしまして、8月と12月に船橋市ひとり親家庭等福祉会主催によるふれあい交流事業を実施しております。この事業は、食事や歓談を通して、子供たちや親同士の交流を図るものでございます。
このように、宿泊を伴うキャンプに限らず、また、子供だけでなく親も含めた交流など、さまざまな形態のふれあい交流事業が考えられますことから、今後におきましても、参加者のご意見を伺いながら、よりよい事業の実施に向けて、実施団体と協議してまいりたいと考えているところでございます。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  この分野は、実はひとり親家庭の支援という政策は市でも進んでいるんですが、ひとり親になる手前の状況の支援というのは、まだ積極的にはやられていないんですね。明石市では、それを進めております。
で、もちろん離婚をしないのが一番ベストですので、次にお聞きしたいのは、離婚を回避することのために市がやっている施策として……離婚回避という意味じゃないんですけど、結果的にそれに資する施策として、パパ・ママ教室──お父さんとお母さんが一緒に子育てを学ぶ教室が行われていると思うんですが、その内容についてお示しください。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小原隆之) お答えします。
パパ・ママ教室は、母子保健法に基づく知識の普及と保健指導を行う事業でございます。核家族がふえる中、ともに協力して出産、育児に臨み、共同の子育てや家庭づくりが重要であることから、保健センターで土曜日と日曜日に実施しております。平成28年度は48回実施して、妊婦1,223人、男性1,185人の参加がありました。
教室の内容でございますが、保健師や助産師によるお産の進み方と呼吸法、そして、赤ちゃんの沐浴と保育の講話の後、妊婦ジャケットを着用した妊婦疑似体験、マタニティーブルー等の産婦の心身の変化、育児分担などの父親の役割をテーマに、参加者同士のグループワークを行っております。
教室に参加した男性からは、育児の大変さが理解でき、サポートが必要だと思った、2人でしっかり話し合いをしていこうと思った、2人で協力していきたいといった声が聞かれ、ともに出産、育児にかかわろうとする意識づけになっていると考えております。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  最近、離婚クライシス(後刻、「産後クライシス」と訂正)という言葉がだんだん言われるようになりました。これは実はNHKスペシャルで、「ママたちが非常事態 最新科学で読み解くニッポンの子育て」という中で明らかにされてきているんですが、実は離婚の非常に多くが、1歳、2歳の段階で離婚をすると。なぜかというと、一番大変な子育ての時期に、夫の協力が得られないことが1つの原因となっていると。
その話として、例えば、こういう理論……考え……研究があるんですね。授乳や子育てのときに非常にふえるオキシトシンというホルモンは、母子の一体感を強めさせる役割とともに、それに協力しないものを敵とみなすと。だから、パパたちがそれに協力しなかったときに、非常に敵とみなすような性格があるというようなホルモンの効果の分析も、NHKスペシャルの中で行われていました。
やはり離婚クライシス(後刻、「産後クライシス」と訂正)という言葉、もっと危機を持って、実は前の資料に戻りますが、先ほどお配りしている資料の中で、このデータは2016年度における離婚と婚姻を並べたものですから、この2016年度に婚姻した人が2016年度に離婚しているというわけではないんですが、ほぼ平行移動するとすると、実は船橋でも4人に1人が離婚を経験するという形になっております。そのようなことを少しでも回避するために、離婚クライシス(後刻、「産後クライシス」と訂正)ということを男女共同参画センターなんかで講座として開いたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。
[市民生活部長登壇]

◎市民生活部長(野々下次郎) お答えいたします。
男女共同参画センターでは、これまでも男性の育児参加を促す講座のほか、母子のふれあいの重要性、女性の心と体の変化についての講座を行っておりますので、このような講座の中で産後クライシスについても取り上げてまいりたいと考えております。
以上でございます。(発言する者あり)
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  ご指摘ありがとうございました。先ほど私が言った「離婚クライシス」というのは、「産後クライシス」の間違いです。済みません。(発言する者あり)はい。
それで、最後の話として、学習サポートの話をさせていただきます。私は母子生活支援施設青い鳥ホームの地域交流スペースで、母子生活支援施設の子供たちの学習サポートを毎週金曜日、中学校のテストに合わせて曜日を変更することもありますが、させていただいております。そこには、地域交流スペースというものをつくった意義として、周りの地域の子供たちも少し参加しておりまして、小中高校生それぞれが自習をしながら勉強するという場所のサポートをさせていただいております。
船橋市でも、全体的に学習サポートを公的にも進めておりますが、その学習サポートの現在をお知らせください。
それとともに、実は生活困窮者自立支援法などの来年度の方針の中で、高校中退者や中卒者に学習(予定時間終了2分前の合図)サポートを広げる方向が出されております。これまで中学生の高校入試サポートを中心に学習サポート、学習支援が組まれてきたと思うんですが、やはり高校に進学しても、中退してしまったり、中卒でもう一回学び直したいと。主に高卒認定試験──高認や、それから大学受験のことになると思うんですが、そのようなサポートについて、これからも広げていくべきだと思いますが、その現状と施策を、今後の方向をお聞かせください。
[福祉サービス部長登壇]

◎福祉サービス部長(大山泰光) 学習支援事業につきましては、次世代への貧困の連鎖を防止するため、中学生に学習する場を提供し、高等学校進学に向けた支援を行っておりますが、平成28年度より、生活保護世帯と生活困窮世帯に加え、ひとり親世帯等についても福祉サービス部であわせて実施し、事業の実施場所を従来の東部、南部の2カ所から西部、北部の2カ所を追加し、合計4カ所に拡大いたしました。
また、今年度からは定員を260人から300人に拡大したところでございます。
対象者の範囲の拡大につきましては、厚生労働省が来年度から高校中退者や中卒者にも対象を拡大する方針との報道もあることから、今後、国の動向を注視するとともに、現在参加者を対象に実施している学習支援事業についてのアンケートに高校中退防止に関する項目を追加するなど、研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  私、週1回朝、スクールガードというのをさせていただいているんですが、子供たちが通学する途中に見守っているんですけど、そのときに、いろいろな子供が通ります。そうすると、私が学習サポートでかかわっている子供とか、いろいろな事情を個人的に知っている子供たちもいて、やはりこの子供たちの元気な笑顔を守っていくためには、行政としてはプライバシーなどいろいろ難しいところもあるけれど、家庭の背景まできちんと把握して、例えば、今まで行政にとって余り目の与えていなかった離婚前、離婚の争いの途中の中の協議、離婚後のサポート、こういうようなことについて、行政がぜひ目配りを届けていただくことを要望しまして、私の質問といたします。

 

参考 2018年4月12日 泉房穂市長を訪問・懇談(明石市民図書館にて)

3年前駒場寮同窓会にて