岡山県での西日本豪雨災害ボランティア報告5日目(被災中高生への学習サポート、ペット同伴避難所、2018年7月27日)

朝倉幹晴(船橋市議・駿台予備学校講師)

岡山県での西日本豪雨災害ボランティア最終日である7月27日(金)は、まず午前は、浸水後の家の片づけの手伝いという物理的ボランティアでなく、防災服(作業服)を普段着に着替えて、学習サポートの見学と手伝いをしました。岡山県教育委員会は、真備町など被災地避難所生活をしている中高生をバスで、岡山県立総社南高校まで送迎し、3階の教室「学習スペース総社南高校」という自習の場として提供する緊急事業を開始しています。岡山県教育委員会に事前に電話し、予備校講師でもあり、また東京や船橋でずっと学習サポートをしてきたことを伝え、「学習スペース総社南高校」見学と、勉強(自習での質問回答)の手伝いをさせていただくこととしました。朝、ずっと宿泊させていただいた仁熊義則さんに総社南高校まで最後の送迎をしていただき、滝沢やすこ前江戸川区議と一緒に教室に見学・参加した。
この学習サポート後、滝沢やすこさんがツイッターで知りあった矢掛町に住む「空さん」に送迎いただき、午後いっぱい、様々な場所に同行させていただき見させていただきました。(その後、私は20時9分、岡山駅発ののぞみで東京経由で深夜、船橋に帰宅しました)。その内容は様々ですが、まず、今回の西日本豪雨から本格的に実施された「ペット同伴避難所」の1つである倉敷市立穂井田小学校体育館避難所の様子をご報告し、後日、残りの部分を加筆していきたいと思います。

したがって、この報告書では時系列を若干崩して
①9~12時 学習スペース総社南高校の見学と手伝いの報告
(滝沢やすこさんも参加され、休憩時間の子ども達への飲み物の案内などのお世話役をされていた。私が学習サポートしている様子の写真は滝沢やすこさんがお撮りいただいていたものです)
②16~17時 ペット同伴避難所「倉敷市立穂井土小学校体育館避難所」
をまずご報告いたします。

★「学習スペース 総社南高校」

朝9時、真備町の避難所などからの中高生を送迎してきたバスを玄関で出迎えました。

 

 

 

このために特別に確保した3階の教室に移動しました。

岡山県教育委員会の担当者からの説明の様子です。学習スペースは午前の部・午後の部の入れ替わりの送迎で、この中高生たちは午前の部の参加者です。教育委員会の担当者の説明の時、東京と千葉からきた応援者として滝沢やすこさんと私も一言挨拶させていただき、私は「千葉から来た朝倉と申します。主に数学と理科が専門なのでわからないところがあれば質問してください」と自己紹介させていただきました。

教育委員会担当者のガイダンス後、早速、中高生たちは、各自自習を始めました。

 

 

 

<教室の壁の様子>

教室の後ろの壁には、学習や水分補給に関する支援物資が置いてあり、励ましの言葉が掲示されていました。

自習中、「机間巡視(きかんじゅんし)」(教育の世界の用語、生徒の机の回りを巡回し、生徒の学習の進みをチェックしながら質問に答えたり、つまずいているところを指摘したりすること)をしていると、中学生に

「ここわからないから教えてください」と数学の問題を聞かれ、まず中学生を教えることになりました。

様々聞かれましたが、驚いたのは、岡山県の学校のワークの課題にの中に、見慣れた千葉県公立高校入試の問題があったことで、ここで千葉県の問題と教えることになるとは不思議な縁を感じました。

【答】もとの整数の十の位をa、一の位をbとする。すると十の位の数と一の位の数の和が12なので、

a+b=12・・・・①

もとの整数が10a+bであるのに対し、十の位の数と一の位の数を入れかえてできる整数は、10b+aとなる。

これがもとの整数より18小さいので (10a+b)-(10b+a)=18    9aー9b=18        a−b=2・・・②

①+②より、2a=14 a=7。 ①に代入し 7+b=12、 b=5  よってもとの数は「75」

(検算すると7+5=12、75-57=18で確認できる。)

 

中学生を教えた後、しばらくまた机間巡視していると、今度は高3から北大数学の大学入試問題(1つの虚数解が示された四次方程式の残りの解を求める、また四次方程式に係数の2つが未知、他)という「手強い問題」をいただきました。さすがに即答ということは無理だったので、まずは他の問題を解いていてもらい、自分の机でしっかりと解答を作ってから解説しました。

中高生たち、本当は被災の時の恐ろしさの記憶や、避難所生活の苦しさの中にあると思います。表面的には、そのようなことが感じられないほど明るく勉強しました。苦しい中でもこの場所が一つの気分転換や支えになっているのではないかと感じ、やはり被災も含めた様々な事情をもった子どもたちには学習サポートの場が必要と感じました。この総社南高校での取り組みは被災各県・各市でもぜひ採用してほしいと思います。

私自身が岡山に頻繁に伺って教えることはできませんが、岡山を含む西日本豪雨被災地の子どもたちの学習サポートが進むことを祈念しています。

参考<千葉・東京での私の経験>

私は2010年ごろからずっと様々な事情を抱えた子どもたち(ひとり親・原発被災避難・児童養護施設・母子生活支援施設)の学習サポートを続けてまいりましたが、その経験が、西日本豪雨被災の中高生に役立てばうれしいと思ってこの教室に参加させていただきました。以下写真は、飯田橋で参加してきた原発被災避難小中学生の学習サポート(きらきら星ネット勉強ひろば)の2013年の様子です。

●ペット同伴避難所~倉敷市立穂井田小学校体育館避難所~

同行した滝沢やすこ前江戸川区議と(「空さん」撮影)

避難所体育館入口に「ペット足洗い場」の表示と「ペット足洗い場」。つまり、室内飼い犬にとっての家族(人間)と一緒にあるこれまでの家と同じ場所として体育館が位置づけられているということです。

入口の黒板の表示にも、人間とともに犬の頭数も書かれています。逆にこの避難所はペット同伴のニーズを持つ家族が集まった避難所で、犬なしの家族はいません。この時は猫はいませんでしたが、猫の受け入れも可能です。

各家族がシーツなどで仕切られた区画に生活する。その中にペットも一緒に生活する。

ペット(犬)を抱いている避難家族。(許可いただき後姿を撮らせていただきました)

体育館の隅には様々なペット向けの支援物資や、ペットのケアに関するお知らせが貼ってあります。

実は、市が開設する避難所でペット同伴避難所実現したのは今回の西日本豪雨がはじめてです。熊本地震までは、ペット同行避難(同じ小中学校敷地には避難できるが、体育館内には入れず、体育館外にケージなどに入れて過ごさせる)は可能でしたが、人間と同じスペースへの同伴避難は認められていませんでした。以下は熊本地震後約2週間の4月27日に私が熊本市動物愛護センターに伺った様子ですが、避難所に届けるケージが大量に車に積まれています。

一方、いつも家族として暮らしているのに、「避難所体育館内に人間、体育館外ケージにペット」という形では納得できない家族を受け入れたのが、熊本市の竜之介動物病院。その経験から院長が中心となり、ペット同伴避難を進める運動が続けられました。今回の総社市と倉敷市の対応はその長年の運動の中にようやく実現したものです。

 

<途中、空さんにご案内して見せていただいた様々なことは後日加筆します>

 

 

 

 

20時9分、岡山発の新幹線「のぞみ」で帰宅しました。

5日間、お世話になった、また出会わせていただいた岡山県の方々、どうもありがとうございました。今回様々学んだことを船橋の防災・災害対応に役立たせていただきます。この報告書を通じて岡山県はじめ被災地に災害ボランティアに行く方が少しでも増えるようにしっかりと伝えていきながら、岡山県の復興を祈念させていただきます。