日本維新の会、藤巻健太衆議院議員事務所に「高校数学教育における三角関数削減」発言の撤回、もしくは発言の具体的な説明、公開討論を求める要望書を提出

2022年5月25日 船橋市議(無党派)、予備校講師、「三角形」「円」著者 朝倉幹晴

★12月6日追記 12月6日時点で藤巻議員からの回答は来ていません。しかし、朝日新聞の取材に対しては、「これをきっかけに議論が活発になることを望んでいる。」と語られたそうです。でしたら、私の質問に誠実にご回答いただくか、公開討論に応じいただくことを求めます。(同記事にはこの要望書のことも、ご掲載いただいています。)

★6月6日追記 6月6日時点で藤巻議員からの回答は来ていません。しかし、朝日新聞の取材に対しては、「これをきっかけに議論が活発になることを望んでいる。」と語られたそうです。でしたら、私の質問に誠実にご回答いただくか、公開討論に応じいただくことを求めます。(同記事にはこの要望書のことも、ご掲載いただいています。)

●2022年6月6日朝日新聞記事

 

本日、衆議院第二議員会館320号室、日本維新の会、藤巻健太衆議院議員事務所を訪問し、秘書様にご対応いただく形で以下の要望書を提出いたしました。なお参考資料として拙著「三角形」「円」を贈呈いたしました。要望書に対する誠実なご回答を待ちます。回答がありましたらここに公開いたします。

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2022年5月25日

日本維新の会 衆議院議員 藤巻健太様

船橋市議(無党派)・予備校講師、「三角形」「円」著者

朝倉幹晴

「高校数学教育における三角関数削減」発言撤回、もしくは発言の具体的な説明、公開討論を求める要望書
私は、予備校と学習サポートの場で、小中高校生、受験生に理科・数学を教え続けてまいりました。そして実践を「三角形~小学生から学べる初等幾何学入門~」「円~小学生から学べる初等幾何学入門~」という著作で発表しています。

同時に、無党派で船橋市議を5期務める中で、高校までで学ぶ数学、理科の基礎知識が、下水道、環境、医療など様々な市政に関わる技術に活用させていることを質疑してきました。

貴方は、5月17日に

『「三角関数よりも金融経済を学ぶべきではないか」』

とツイッターで発信されました。私も含めて数学教育に取り組む関係者は大きな衝撃を与えました。更に5月22日付けツイッターでは、

『「専門性の高い高校数学を一定削減し、金融リテラシーなどの実学へシフトすべき」という昔からの持論は変えてはおりません。』

と発信されています。

この2つの発言を合わせると、貴方は少なくとも現在の高校数学から三角関数の授業時数を削減させる(そして、金融教育などに置き換えるべきだ)と主張されていることになります。そして、ツイートでは様々な意見を受け止めるとしながらも、5月25日現在「高校教育における三角関数削減」発言は撤回されていません。

1、発言の撤回を求めます。

本来、小中高生、受験生に、学問とそれを活用したキャリア形成で模範となるのことが望まれる衆議院議員の方から、高校教育に公式に位置づけられている「三角関数」削減発言がされたままの状態になっていることを、数学を教えてきた者として残念に思います。
貴方は、高校において「実学」を重視すべきとされていますが、私は今の高校教育の各科目を学ぶことは現代をよりよく生きていくために大切だと思います。たとえば「百人一首」など古文の和歌や文章は夜の電気もスマホもない時代に詠まれたり書かれたりしたもので、現代の生活に直接役立つ「実学」ではありません。
しかし、古典学習の中から、現代にも通じる普遍的な人間や風景の機微を感じることで心を豊かにしてくれるものではないでしょうか?

高等学校学習指導要領は、数学教育の意義を「実用的な意義」「陶冶的な意義」「文化的な意義」の3つの観点から述べています(学習指導要領p7)。
「陶冶的な意義」には以下のように書かれています。「問題がすぐには解けなくても粘り強く考え続けることで、いくつかの知識の理解が深まることや新たな事実を発見することもあり得るだろう」

たとえば、数Ⅰ→数Ⅱの学習の過程で、三角比・三角関数における角度の概念の鋭角→鈍角→一般角への概念の拡張は、三角形という具体的図形の概念から、いったん座標内の動径の動きという概念に拡張し、さらに波動、振動という物理現象の理解につながるという思考の発展過程は、基本概念を活用しながら、未知のある世界に向き合っていく若い世代の発想法として、数学の世界にとどまらない発想につながると感じています。

仮に、「実用的な意義」に絞って考えても、波動・振動など現代の私たちの生活の基本にある概念を理解するのに不可欠な数学分野が三角関数です。
光や音の理解、耐震のための地震動の分析などには三角関数やその応用であるフーリエ変換が必要です。伊能忠敬は測量によって正確な日本地図を描くときも三角関数の前に学ぶ三角比の応用がありました。
三角関数の大切さに対する誤解を防ぐため、貴方が発言を撤回されることを願っています。

2、発言を撤回されない場合は、高校数学学習指導要領からの削除要求項目の具体的提示をお願いいたします。
高等学校の教育は「高等学校学習指導要領 数学」に基づいています。貴方は、国会ならびにツイッターで「三角関数削減」発言をされる上で、現行高校数学カリキュラムの授業内容と授業時間数の根拠となっている学習指導要領の「数学Ⅱ 三角関数」(p62~64)を熟読され、それに対する批判や削減項目・内容のお考えをお持ちのはずです。ご発言を撤回されない場合は、「学習指導要領」からの削除要求・批判項目を具体的に提示されるようにお願いいたします。

3、公開の場での討論会実施のご提案

発言の撤回をされない場合、高校数学全体の時数や内容の削減という強い意見と削減すべき具体的提案をお持ちということになります。そして貴方は5月22日のツイートで「皆様のご意見を受け止めて、改めて勉強致します。 多くの議論の先に、教育改革があると考えます。」と書かれました。ぜひ、現行の三角関数の授業時数・内容を維持すべきと考えている私と公開の場で討論いただくことを求めます。会場はリアルでも
Zoomなどを活用したオンラインでも結構です。 討論にあたっては、当然のことながら両論者に平等な発言時間を設け、貴方の削減論の意見も十分に会場全体で拝聴しながら、参加者からも自由はご意見を伺う場とできればと思います。日程や進行方法の具体的な打ち合わせは事前に十分に行い、高校教育の在り方を考える一つの機会にできればと思います。ご発言を撤回されない場合はぜひ公開討論にてご持論をご展開いただければと願います。具体的な日程調整、打ち合わせのご連絡お待ちいたします。
朝倉幹晴090(4075)5967 info@asakura.chiba.jp 船橋市行田2-6-9-411

●参考資料1(朝倉自身の「三角関数」「数学」に関する発信)

朝倉幹晴著作一覧(「三角形」「円」他)

2021年大学入試共通テスト「数学IA」全問題・解答・解説(大学入試センター試験「数学IA」問題・解答・解説(一部))
2021年共通テスト数学ⅡB(第1日程)「三角関数」問題(配点15点)・解答・解説
2021年大学入試共通テスト(第2日程)数学ⅡB問題第1問[1]「三角関数」(配点17点)問題、解答、解説

【過去問10年分(2012年前期~2021年)】千葉県公立高校入試「数学」全問題・解答・解説(作成 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴)

●参考資料2(高等学校数学学習指導要領、数学Ⅱ「三角関数」部分)

(4)三角関数
三角関数について、数学的な活動を通して、その有用性を認識するとともに、次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
(ア)角の概念を一般角まで拡張する意義や弧度法による角度の表した方について理解すること。
(イ)三角関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること。
(ウ)三角関数の相互関係などの基本的な性質を理解すること。
(エ)三角関数の加法定理や2倍角の公式、三角関数の合成について理解すること。

イ 次のような思考力、判断力、表現力等を身に付けること。

(ア)三角関数に関する様々な性質について考察するとともに、三角関数の加法定理から新たな性質を導くこと。
(イ)三角関数の式とグラフの関係について多面的に考察すること。
(ウ)二つの数量の関係に注目し、日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え、問題を解決したり、解決の家庭を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりすること。

「数学Ⅰ」の「(2)図形と計量」では、0°から180°までの正弦、余弦、正接を三角比として取り扱っている。また、この角の範囲で、正弦、余弦、正接の相互作用についても取り扱っている。しかし、「数学Ⅰ」での三角比は、あくまでも図形の計量を目的としたものであり、関数としての取扱いではない。
ここでは、角の範囲を一般角まで拡張した上で、三角関数の意味を理解し、それらのグラフを通して周期性などの三角関数の特徴について理解できるようにする。また、三角関数の重要な性質の一つである加法定理について理解し、加法定理を基に三角関数に関する新たな性質を導く力や、三角関数を具体的な事象の考察に活用する力を養う。

角の概念を一般角まで拡張する意義や弧度法による角度の表し方について理解するとともに、三角関数に関する様々な生物や式とグラフの関係について多面的に考察し、三角関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること(ア(ア)(イ)、イ(ア)(イ))
角を変数とする三角関数を取り扱うために、角の範囲を一般角など拡張するとともに、角の大きさを表す方法として度数法とは異なる弧度法を取り扱う。その際、具体的な事象を取り上げるなどして、角の概念を一般角まで拡張することや弧度法を用いる必要性と弧度法の基本的な考え方を理解できるようにする。また、扇形の弧の長さや面積を求めるなどの活動を通して、弧度法に関する理解を深めることも考えられる。
その上で、一般角の正弦、余弦、正接を定義して、三角関数を導入する。指導に当たっては、一般角を変数とする三角関数が、「数学Ⅰ」で定義した三角比の自然な拡張になっていることを確認することが大切である。
また、三角関数の変化の特徴である周期性、原点やy軸及びx軸との対称性について考察して理解できるようにするとともに、三角関数の表、式、グラフを相互に関連付け、関数の式の中の係数の意味を多面的に考察する。指導に当たっては、コンピュータなどの情報機器を用いるなどしていろいろな三角関数の式とグラフの関係を考察し、三角関数の式における定数とグラフとの関係についての理解を深めることが大切である。

三角関数の相互関係などの基本的な性質や加法定理を理解し、三角関数の加法定理から2倍角の公式や三角関数の合成などの新たな性質を導き、理解すること(ア(ウ)(エ)、イ(ア))
三角関数の相互関係などの基本的な性質を取り扱う。「数学Ⅰ」で取り扱った基本的な性質を振り返って、同様の性質が一般角を変数とする三角関数の場合にも成り立つことを確認する。
また、三角関数の重要な性質の一つとして加法定理を取り扱い、三角関数の基本的な性質や加法定理を基にして、2倍角の公式及び三角関数の合成などを導く力を養う。指導に当たっては、例えば、既知の角の大きさの三角関数の値を基に、新たな角の大きさの三角関数の値を求めるなど、加法定理などの必要性が感じられる場面を設定することが大切である。なお、加法定理に関連して、平面上の点の原点を中心とする回転移動を取り扱うことも考えられる。

二つの数量の関係に着目し、日常の事象や社会の事象などを数学的に捉え、問題解決に活用したり、解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関連を考察したりすること(イ(ウ))
回転運動や波動など、周期性のある事象はすべて三角関数で表される。このような事象における二つの数量の関係に着目し、問題を解決したり、解決の過程を振り返って事象の数学的な特徴や他の事象との関係を考察したりする力を養う。

例えば、回転運動をする例として観覧車を取り上げ、回転の半径や回転の速さが与えられているときに、観覧車に乗ってある高さ以上にいる時間の長さを考えたり、一定時間における高さの変化を比較したりすることが考えられる。さらに、回転の半径や速さを変えたときに、ある高さ以上にいる時間の長さがどのように変化するかを発展的に考察することも考えられる。