2025年、大学入試共通テスト「生物基礎」第2問、問題・解答・解説(配点18点)

2026年1月14日(水) 予備校講師・船橋市議(無党派) 朝倉幹晴
大学入試共通テストの「生物基礎」の2025年第3問の解答・解説を作成しました。受験対策や日常の勉強にお役立てください。本ページの最後までスクロールいただき「2」を押すと、解答・解説のページに飛びます。

第2問 ヒトのからだの調整に関する次の文章(A・B)を読み、後の問い(問1~6)に答えよ。(配点18点)

A 運動すると心拍数や呼吸数が変化する。これは、(a)運動量に伴って心拍や呼吸を調節する仕組みが存在するためである。これについて、実験1を行った。

実験1 ペダルの負荷を変えることができる自転車を使って、実験参加者にペダルをこぐ運動をさせた。3種類の負荷の大きさ(大きい、中程度、小さい)を設定し、それぞれの負荷の大きさで6分間運動させ、その後安静にさせた。この運動を開始してから8分間、心拍数と呼吸数を計測し、その結果を図1にまとめた。


問1 実験1で、運動の開始直後、活発になる自律神経系の働きによって起こるからだの調節に関する記述として適当でないものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)

瞳孔(ひとみ)が拡大する
気管支が拡張する
胃や腸のぜん動運動が促進する
肝臓のグリコーゲンの分解が促進する。

問2 次の記述(a)~(d)のうち、実験1の結果から分かることとして適当な記述はどれか。その組合せとして最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
(a)運動の負荷が大きいほど心拍数は増加していたことから、心拍数は運動の負荷の大きさを示す目安になる。
(b)どの負荷の大きさでも、心拍と呼吸の1分当たりの回数の上昇率は、運動の終了直前に最も大きくなる。
(c)どの負荷の大きさでも、6分後の時点では、からだに供給される血液中の酸素量が安静時より高い状態にある。
(d)どの負荷の大きさでも、心拍と呼吸の1分当たりの回数は、運動の終了後もそのまま上昇し続ける。

問3 下線部(a)に関連して、心拍や呼吸の調節に関する記述として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)

必要に応じて息を止められるのと同様に、自律神経系の働きは意識的に調節できる。

体温が上がると、副腎髄質から自律神経系を通じて信号が心臓に伝わり、心拍数が増える。
中枢神経系に分類される延髄は、自律神経系を通じて心拍の調節に関わる。
心拍の調節には内分泌系と自律神経系がともに関与しているが、内分泌系による調節のほうが自律神経系よりも迅速に伝達される。

B 病原体からからだを守る仕組みとして免疫がある。免疫には、自然免疫と獲得免疫(適応免疫)があり、そこには様々な組織や細胞が関わっている。しかし、例えばエイズ(後天性免疫不全症候群)では、エイズを引き起こすウイルスの感染によって主に(b)T細胞の一つであるヘルパーT細胞が破壊され、その結果、様々な感染症にかかりやすくなる。一方、免疫の働きを利用して感染症を予防する方法に(c)予防接種がある。

問4 下線部(b)について、T細胞の働きに関する記述として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
キラーT細胞は、ヘルパーT細胞を活性化する。
キラーT細胞は、病原体に感染した細胞を攻撃する。
キラーT細胞は、B細胞を活性化する。
ヘルパーT細胞は、食作用により病原体の侵入を防ぐ。
ヘルパーT細胞は、抗体を自ら産生する。

問5 下線部(c)に関連して、次の記述(e)~(g)のうち、ある病原体(以下、病原体A)に対する予防接種に関する記述として適当なものはどれか。それらを過不足なく含むものを、後ののうちから一つ選べ。(3点)

(e)予防接種による二次応答には、好中球が関与している。
(f)予防接種を行うと、体内での病原体Aの増殖を防ぐことができるようになる。
(g)予防接種を行うと、予防接種をしていないときに比べて、病原体Aに対する免疫応答がより早く起こるようになる。

問6 同じく下線部(c)に関連して、毎年冬に流行する感染症の病原体Bの抗原を用いて、3歳未満の集団(以下、3歳未満)と7歳以上13歳未満の集団(以下、7歳以上)に予防接種をした。図2は接種の前後における血液中の病原体Bに対する抗体量の平均を示したものである。なお、抗体量の測定は、表1の時期に行った。図2の結果の原因として考えられることに関する選択肢中の下線部(注、共通テスト問題では「波線」となっていたが、本サイトでは単純に下線とした。内容は変えていない)の記述について、最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(3点)


7歳以上の<接種前>では、3歳未満の<1回接種後>よりも抗体量が多かった。それは、成長に伴い自然免疫が強くなったからである。

3歳未満の<接種前>でも病原体Bに対する抗体をが検出された。それは、病原体Bの侵入を経験しなくても、病原体Bに対する抗体を自然免疫の働きで産生していたからである。

7歳以上では、<接種前>と<1回接種後>との間での抗体量の差が、3歳未満に比べて大きかった。それは、7歳以上では、<接種前>より前に病原体Bに感染または病原体Bに対する予防接種を経験していた人の割合が、3歳未満に比べて多かったからである。

接種後いずれの場合も抗体量が増加している。それは、全ての抗原に対する抗体の産生が促されたからである。