2021年12月2日、日本分子生物学会フォーラム、朝倉幹晴発表要旨、発表資料&関連リンク先一覧

2021年12月2日 船橋市議・予備校生物科講師・日本分子生物学会会員 朝倉幹晴

2021年12月2日の日本分子生物学会フォーラムでの報告・言及資料とリンク先一覧、またこれまで発信してきた情報の抜粋紹介をいたします。ご参考にください。

2021年12月2日、日本分子生物学会第44回年会フォーラムでの朝倉幹晴報告資料

「2020年2月25日、新型コロナウイルスPCR検査実施を求める質疑」「2021年2月24日、変異株PCR検査を求める質疑」議事録関連部分   ↓このページの最後↓に掲載しています。

●保健所と地方衛生研究所の機能区分の根拠指針 地方保健法第4条第1項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針(平成6年(1994年12月1日・厚生省告示第374号)

●地方衛生研究所全国協議会HP

●地方衛生研究所協議会会員名簿(越谷市・船橋市など一部中核市の加入が承認された)

Nexrstrain(世界の新型コロナウイルス感染症変異株比率が分かるサイト)

国立感染研サイト内検索「感染・伝播性」

<朝倉が市民に発信した関連動画・情報(一部)>

●動画解説(32分)「δ株(デルタ株)・変異株とは何か?」

●2021年7月9日、朝倉幹晴の船橋市議会質疑動画「変異株検査・対策」部分抜粋(15分)

●動画解説「変異株の現状と最新状況の調べ方の基礎知識」(34分、2021年6月4日)

●3月18日、予算決算委員会で松戸市長に重ねて要請・市長答弁録画中継(1:27:00~1:32:25の5分25秒)

●2021年2月24日朝倉幹晴質疑録画中継(変異株質疑は7分50秒~20分20秒、12分30秒)

●動画「ウイルス・遺伝子・免疫・ワクチン・対抗薬の基礎知識」(57分)(2021年12月24日作成)

 

<動画以外の発信情報の一部>

船橋市保健所でのL452R変異(デルタ株(旧呼称インド株))PCR検査開始について。

●コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(コミナテイ筋注)(トジナメラン・BNT162b2)の4284塩基配列とウイルスSタンパク質mRNA塩基配列・翻訳1273アミノ酸配列(フレーム付き・暫定公開)

新型コロナウイルス関連大学入試問題

●「病原微生物の感染判定法(イムノクロマトグラフィー法)」に関する大学入試問題(2021年群馬大理工学部「生物」第1問(1))と解答解説

2021年慶応大学看護医療学部「生物」第1問(4)(PCR法とCt値)問題・解答・解説

「新型コロナウイルス感染症」に関する大学入試問題(2021年慶応大学看護医療学部「生物」入試第2問)と解答・解説

2020年2月25日 保健所機能確認とPCR開始を求める質疑部分議事録

◆朝倉幹晴 議員  保健所は、私たちは特定健康診査の勧奨などで接することがこれまで多かったと思うんですが、こういう事態になってくると検査体制が非常に重要な役割になってきております。
市保健所では、ふだんからウイルスに関してRT-PCRを使った遺伝子検査や、今のクロマトグラフィー法などでの検査をしてると思うんですが、どのようなものを扱っているんでしょうか。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小出正明) お答えいたします。
RT-PCR法を使ったウイルス検査につきましては、デングウイルス、チクングニアウイルス、ジカウイルス、ノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルスを行っております。
また、アデノウイルスはイムノクロマトグラフィー法という抗原抗体反応を利用した検査法で実施しておりますが、ノロウイルス、ロタウイルスにつきましても感染症で検査を行う場合にはRT-PCR法とあわせて実施をしております。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  全国でもそうですけど、市内でも感染の拡大が危惧される状況の中で、この検査体制について非常に重要になってきております。
お手元に資料を配付しました。その資料の中身で、簡単にご説明いたしますが、非常に専門的な内容ですので、朝倉幹晴公式サイトにリンクする形で、私が動画でウイルスの仕組み、そして人の免疫系、そして今回の検査体制の3本立てで動画を発信しておりますので、担当職員並びに市民の皆様、ご参考いただければと思います。
市内で、例えば検体が集められた場合に、まずその検体の中にはウイルスのRNAが入っていた場合を想定した図を描いてるんですが……入っていた、そのほかにもRNAがある。RNAってのはDNAの親戚の分子だと考えてください。そのほかにDNAもあるんですね。こういうごちゃまぜの検体をまずDNA分解酵素で処理し、RNAのみを吸着します。そして、そのRNAをDNAに逆転写します。逆転写して、RNAとDNAがハイブリッド2本鎖になった上で、今度DNAだけの鎖にいたします。その次が重要なんですが、ここにプライマーというものをまぶします。このプライマーというのは、例えば今回の新型コロナウイルスに関して、もし検査するとするならば、ふだんはノロウイルスで同じことをやってるんですけど、新型コロナウイルスあるいはノロウイルスの独特の塩基配列、暗号にだけぴたりと結合するものを厚生労働省国立感染研が全国の研究所に送って、それを使うんですね。その上で90度で一旦DNAをほどくと。その上で、60度でプライマーをまぶすと。その上で、プライマーを起点にDNAが複製されるという形を繰り返しますと、3分サイクルぐらいで繰り返していくと、これを何度も繰り返していくと、2、4、8、16、32という形でDNAがふえる。このDNAのふえたものを蛍光で検出して、ノロウイルスあるいはコロナウイルスの遺伝子がこの検体の中には存在してたんだなということがわかるわけです。
このような手順でやるわけですが、今、例えばRT-PCRについて、先ほどの検体を船橋市の保健所で薬剤師4人、獣医師1人、5人の体制で今でも検査体制をとっておりますが、コロナウイルスのRT-PCRについても技術的にはできると考えてよろしいんでしょうか。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小出正明) お答えいたします。
検査に必要なプライマーなどの試薬が配付され、検査に必要な研修を受け、制度管理や検査環境などが整えば検査を実施することが可能となります。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  実は、きょう国公立大学入試の前期入試なんですが、これまでプライマーっていう言葉やPCRという言葉は生物系の受験者、あるいは生物系の人間しか余り聞いたことがなかったと思うんですけど、今ワイドショーでもPCRって言葉がふだんから語られる状況になっております。逆に言うと、それほど今の状況は危機的な状況になっているわけです。
プライマーは、現状では国の方針で県並びに一部の特別区並びに政令指定都市の地方衛生研究所のみの配付で、船橋市のようにほぼほかの県と同規模の人口であっても、中核市の船橋市保健所には配られていません。私は、中核市の保健所、あるいはさらにほかの市の保健所にも配っていくべきだと思いますが、そもそも法的に衛生研究所と保健所ではどのような意味づけの違いがあるのでしょうか。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小出正明) お答えいたします。
保健所は、地域保健法に基づき全ての都道府県、政令指定都市、中核市などに設置されており、検査業務を含む公衆衛生全般と母子保健事業等、地域保健に関する広範な業務を行っております。
これに対して、地方衛生研究所は、同法に基づく平成6年厚生省告示第374号地域保健対策の推進に関する基本的な指針に定められた検査や調査研究業務に特化しているという違いがございます。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  今言われたように、ふだんの通常時でしたら、簡単な切り分けの考え方としては、県の衛生研究所並びに政令市の衛生研究所が研究調査を行い、市の保健所はふだんの市民に対する公衆衛生を行うという区分けでよかったと思うんですが、今回ここまで感染の拡大が起こってきますと、やはり市の保健所、各所その保健所でも検査ができるようにすべきだと思いますし、国がその方針になることを望んでおります。
もし国が方針転換をして、船橋市保健所にプライマーを配付した場合には、検査は技術的に可能と考えてよろしいんでしょうか。
今回、残念ながら水際作戦が失敗しまして、感染拡大の危惧がある状態ですが、私は、本来は首相と厚生労働大臣が先頭に立って今回の水際作戦を指揮すべきだったと思います。しかし、残念ながら2人とも医療関係者でもなく、生物系でもなく、今回の事態について余り十分理解してないような状態で、今回の事態が起こってしまいました。どちらかがその専門職だったら、もしかしたら事態は違う方向に展開していたんではないかというふうな感想を持っておりますが、もうここまで変化してしまっておりますので、国もプライマーを配付するって方針になったときに、きちんと船橋市も実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小出正明) お答えいたします。
先番議員にもお答えいたしましたが、新型コロナウイルス検査の実施につきましては、現在国の機関、都道府県及び政令指定都市の衛生研究所等で行うこととされていることから、本市においては、すぐには実施できる状態ではございません。
なお、新型コロナウイルスの検査を行うに当たっては、国と協議し、プライマーなどの試薬を配付してもらうことと、精密な検査であることから、市保健所においてその精度が担保できるよう研修する必要がございます。
現在、こうした体制がとれるかどうか、国など関係機関と協議を行っているところでございます。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  ちょっとお見せするのを忘れたんですが(資料を示す)、これがリアルタイムPCR装置という船橋市の保健所が持ってるものです。これと今の5人の技術者の技術がそろえば、プライマーさえあればすぐできる……すぐっていうか、精度管理して準備をすればできる状態ですので、ぜひ国との協議を加速させていただくようにお願いします。

2021年2月24日 変異株PCR検査を求める質疑部分議事録抜粋

[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  (前半略) 国立感染研が、第6報の中で、3つの型に共通したN501Y変異をスクリーニングするPCR法が開発されたと書いております。つまり、船橋市の保健所が持ってるPCR装置だけで、3つの型のどれかは分からないけど、その変異型の1種であるということは検出できる可能性があります。船橋市保健所でこのN501Y変異をスクリーニングするPCR法を実施し、船橋市内の変異株の監視をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小出正明) お答えいたします。
検査を実施する場合には、変異株の陽性コントロールが必要となります。陽性コントロールとは、検査を行った際に必ず陽性となる検体のことで、検査の精度を確保するために必要となるものでございます。
議員から本市の検査室での検査の実施についてお問合せをいただき、厚生労働省に確認をしてみましたが、変異株の陽性コントロールは地方衛生研究所に配付しており、地方衛生研究所ではない中核市に配付する予定はないとのことから、現在のところ実施は難しいと考えております。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  市保健所検査室には、DNAの塩基配列を調べるDNA塩基配列解読装置──DNAシークエンサーがあります。このウイルスの変異部分のRBD部分は1,000塩基程度ですので、そこだけを見ると、ウイルスのRNAを逆転写しDNAにすれば、3タイプの変異株のどれかを追跡できると感じる方もいらっしゃると思いますが、技術的には難しいところがあります。そして、その技術的には難しい理由と、それから現在DNAシークエンサーというのは、どのような使用目的でされてるかをお聞かせください。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小出正明) お答えいたします。
新型コロナウイルスの変異株の確定は、約3万塩基を解析する必要があり、検査室が持つ既存のDNAシークエンサーは800塩基程度の解析能力であるため、変異株の確定を行うことは困難です。仮に、変異株追跡を行うためには、新たに次世代シークエンサー機器の導入などの整備が必要となります。
また、本市の検査室でDNAシークエンサーを使用している目的といたしましては、食中毒事件等で原因の詳細を分析するためでございます。これは、厚生労働省通知、食中毒対策の推進についてにおいて、患者、調理従事者、食品等から検出されたノロウイルスについて、遺伝子群だけではなく、遺伝子型が確認できるよう塩基配列の特定まで行い、分子疫学情報の充実、食中毒調査や予防対策の課題の分析を推進することとされていることから実施しているものでございます。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  実は、先ほど言ったPCRのときに陽性コントロールが来ないという話なんですが、実は1年前も全く同じ議論をしてまして、船橋市独自にPCR検査をしたらどうかという質疑を、私が昨年の2月25日にいたしました。そのときの答えは、プライマーというものが厚生労働省から来てないのでできないという答弁だったんですね。でも、技術的にはプライマーさえ送られればできるはずだから準備すべきだと言った後に、3月11日から船橋市はプライマーを手に入れて、きちんと検査できるようになったと。
実は、先ほど言ったN501Y変異の検査についても、陽性コントロールさえ来れば検査できる形になっていますので、何かその、やはり厚生労働省も、きちんと千葉県衛生研究所だけじゃなくて、船橋市保健所にも配る方向に持っていったらどうかと思いますが、それは今後の増え方の度合いにもよりますと思いますので、当面は、厚生労働省も次のように、感染研も言っております。少なくとも全国の自治体に関して、管内の全陽性者の5から10%の検体を目安にN501Y変異を確認するためのPCR検査の実施を求めるというふうに、この国立感染研の文書の中で言ってるんですね。やはり、最低5から10%ぐらいは船橋市の保健所でも検査していかなければいけないと思います。したがって、現状では、千葉県衛生研究所か国立感染研に検体を送って、きちんとその変異株の追跡調査をするように協力すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小出正明) お答えいたします。
変異株の出現を監視するスクリーニング検査につきましては、厚生労働省が発出した通知によりますと、地方衛生研究所が行う事業となっております。千葉県に確認したところ、県保健所で検査し、陽性となった検体について、千葉県衛生研究所において変異株のスクリーニング検査を行えるよう準備をしている最中で、船橋市とも今後相談し、通知の内容に沿って対応していきたいとのことでした。千葉県から船橋市保健所に検体の提出依頼などがあった場合には、対応していきたいと考えております。
以上です。
[朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  本当、1年前と何か非常に類似性を感じるんですが、1年前も2月25日、私が質疑しまして、PCRを市内の発生に向けて備えるべきだと言って、3月1日に第1例が発生して、3月11日から検査体制に船橋市独自に入ったと。同じことにならないことを願っておりますけど、やはり変異株の出現があり得る、船橋市内でもあり得る状態ですので、もし変異株が出現したときの対応についてお聞かせください。
[保健所理事登壇]

◎保健所理事(小出正明) お答えいたします。
厚生労働省が発出した通知によりますと、新型コロナウイルスの変異株に感染した方の疫学的な実態はいまだ分からないことが多く、疫学的情報を集積し、対策につなげていくことが必要であるため、検疫所で新型コロナウイルス変異株陽性と判明した方で、その方が症状悪化等で入院を要した場合に、国立感染症研究所が入院した医療機関に対して調査を行うことが記載されております。現在のところ、各保健所における積極的疫学調査等について、厚生労働省から通知の発出はございませんが、今後、市内で変異株に感染した方が発生したことを探知した場合には、検疫所の対応と同様に、国立感染症研究所と連携して、疫学調査等を実施するものと考えております。
以上です。