2023年大学入試共通テスト「生物基礎」第2問A(配点7点)問題・解答・解説


【解説】
表1と図1を並べて、実験条件(各試験管)と結果が対応する表を作ってみる。
(実際の入試では表1の各試験管の表の下枠に文字で「無色」「薄青」「赤」「濃赤」などを鉛筆で書き込む)


この反応は、リトマスミルク(基質)にリパーゼ(酵素)を作用させることが反応実験である。
 基質のみ単独では「薄い青色」(弱アルカリ性)が基準、酵素のみでは「無色」(中性)である。両者を混ぜてもし何も反応が起こらなければ「(更に)薄い青色」になるだろうことを確認する。

【結論1】


「脂肪を分解する作用がある」か否かを確かめるためには、少なくとも「脂肪(リトマスミルク)」の存在が必要なので、aは除外され、b~dまでで考える。「リパーゼの作用」を確かめるのは実験条件でリパーゼの有無の条件のみが異なる対照実験(無)と本実験(有)を比較する必要があり、bとdである。dでリパーゼが有る場合、脂肪が脂肪酸に分解し、酸性化していることが確認できる。(1点)

【結論2】

「リパーゼが、高温で処理すると、作用しなくなる」か否かを確かめるためにはまず基質である「脂
肪(リトマスミルク)」の存在が存在した上で、実験条件でリパーゼか高温処理リパーゼのみかが異なる実験を比較する必要があり、cとdである。cで高温処理リパーゼでは、脂肪が分解されず、基質が変化しないので、薄い青色のままであることが確認できる。(1点)

【結論3】
「胆汁には、リパーゼによる脂肪の分解を助ける作用がある」か否かを確かめるためには、実験条件で胆汁の粉末があるか否かのみかが異なる実験を比較する必要があり、dとeである。eで胆汁の粉末がある場合は、脂肪が分解が促進され、脂肪の分解量、脂肪酸の生成量が増え、更に濃い赤色になっていることが確認できる。(1点)(全部正解で+1点で問1で計4点)

問2・実験2

実験2の結果で試験管内の各層の状態を図に描くと以下のようになる。

まず、水と油はでは、油が比重(密度)が小さく水に浮くので、下層の層Yが水(わかりやすいように図では薄い青色にした)、上層の層Xが食用油であり、その層内にある脂肪粒を〇で示した。
胆汁の粉末を入れた試験官g(右の試験管)では、その中間に層Zが存在しているが、これは胆汁作用で、乳化された層、つまり脂肪粒が微粒子(小さな粒)になり、水の中に分散した層である。
脂肪の乳化の有無によるリパーゼ作用量の差を確かめるたねには、乳化されていない「大きな粒」のみの層Xと、乳化された「小さな粒(微粒子)」の層Zを比較し、層Zのほうが、リパーゼの脂肪分解作用で生成する脂肪酸量が増え、より濃い赤色になることを確かめればよい。(水のみの層である層Yは比較に無関係である。)

問題文に入れると

2本の試験管を用意し、一方には実験2で得られた層ア(X)を、他方には層イ(Z)を、それぞれ等量入れる。次にリパーゼ溶液とリトマスの粉末を入れてよく攪拌し、37℃で1時間反応させた後、試験管内の液体の色調を比較する。仮説が正しければ、2本の試験管のうち、層ウ(Z)を入れた試験官が、より濃い赤色になる。よって(3点)

(アとイは順不同(Z・X)でもよいが選択肢にその選択肢はないので、そのことは無視してもよい)