令和6年(2024年)3月26日、千葉県医師連盟船橋支部「船橋市立医療センター建て替えに関する要望書」を船橋市議会議長に提出

2024年3月27日 船橋市議 朝倉幹晴
令和6年(2024年)3月26日、千葉県医師連盟船橋支部は、船橋市議会議長に対して、以下のように「船橋市立医療センター建て替えに関する要望書」を提出しました。ご許可いただきましたので掲載いたします。

PDF 令和6年(2024年)3月26日、千葉県医師連盟船橋支部「船橋市立医療センター建て替えに関する要望書」(船橋市議会議長議長宛)

令和6年3月26日

船橋市議会議長

渡辺賢次 様

千葉県医師連盟船橋支部

支部長   玉元 弘次(前船橋市医師会会長)

副支部長 寺田 俊昌(船橋市医師会会長)

船橋市立医療センター建て替えに関する要望書

 

日頃より64万船橋市民の命と健康を守るため、ご尽力いただき深く感謝致します。

さて、人口急増都市として救急医療体制を整備することが重要な課題であった昭和50年代に、地域の医療機関との協力体制により、24時間体制で急病・救急診療を行う市民病院づくりを進めるなど、船橋市医師会は、昭和58年に開院した船橋市立医療センターの設立に中心的役割を担ってきたと誇りに感じております。

また「新しい船橋市立医療センターの在り方に関する検討委員会」にも参画し医療センターの老朽化対策と医療ニーズや高度医療の提供など、新しい病院づくりにも深く関わって参りました。

県外の中核病院も市長らと共に視察を行い、平成29年の基本構想では概算ですが約255億円の工事費ならば、開院後の経営も十分成り立つとの認識でした。

しかし工事費は年々増額し、資材高騰もあって今では570億円まで膨れあがっています。また聞くところによれば、船橋市医師会も全面的に賛同しているかの如く伝わっているようですが、令和6年2月時点では正式な説明を受けておりませんでした。令和6年3月15日の船橋市医師会理事会で20分程度のおおまかな説明が初めてありました。その際、役員から病床稼働率に関して過大な見通しでないか、との意見がありました。

その説明の後日、医療センターから示された資料に、看護師は令和6年539人から令和14年には676人と137人増、昨年の基本設計からは64人増していることがわかりました。看護師は全国的にも不足しており、市内でも慢性化しています。医療センターは現在でも看護師不足ではないとのことですが、令和4年に健康政策課が行った調査では、市内の病院、診療所の3割、医療機関以外の介護福祉施設等で4割が不足感を持っています。これから医療施設、特に介護福祉施設での人材はさらに深刻化します。医療センターがこれだけの看護師を囲うことになりますが、人材確保については医師会や介護事業者等へは説明がされていません。また病院における看護助手は介護職が担うことがほとんどです。

「船橋在宅医療ひまわりネットワーク(代表 玉元弘次)」は船橋市の地域包括ケアシステムを実現するため行政と他職種が連携している団体です。介護関係団体も多数参画しております。介護施設では看護師不足、介護士不足が現在でも深刻です。このことに関しては船橋市の職員からも危惧する発言が出ています。同じ行政からダブルスタンダードと取られかねない予算が組まれていることに驚いております。

病院経営の点から、更なる資材高騰や金利上昇が見込まれる中、このまま建て替えを続けて経営が成り立つのか、医業収益を上げるために、無理に稼働率を上げることにより、医師や看護師などに過度な負担がかかるのではないか、憂慮されるところです。医療センターの説明では、オール個室化で稼働率はあげられるとの考えですが、特に夜勤の際の看護師の負担は増すことは明らかです。介護施設で一時期推奨された「ユニットケア」はオール個室ですが、現在では千葉県でも推奨されなくなりました。介護度の高い高齢者、認知症高齢者には向かないことが明らかになっています。高度救急医療を担う病院でも今後は更なる高齢者医療が求められていますが、そのような高齢者に関して、同じことになるのではと思われます。

元旦に能登半島地震が発災しました。多くの方々が被災されました。国民の多くが地震による液状化を画像で確認しています。今回、災害対応については、医療センターの病院本体は液状化対策をするとのことですが、病院までのアクセスをどのように確保するのか、道路の液状化対策をするのか、十分な説明はありません。特に県道に関しては、船橋市だけでは整備できないことは明らかです。千葉県との協働が不十分との情報もあります。船橋市医師会が長年に渡り船橋市とともに築きあげてきた全国に誇る救急医療体制に影響がないか、大変憂慮しております。

船橋市医師会は船橋市の計画に反対する立場にはありません。船橋市と船橋市医師会には長年にわたり、十分な協議のもとに施策を進めて来た歴史があります。船橋市医師会は今後もそれを継続していく所存です。船橋市におかれましても、先人の築き上げた、全国に誇れる医師会との協働関係を継続されることを要望します。

追記 千葉県医師連盟船橋支部は船橋市医師会の政治連盟です。政治的に重要な事案に関しては、船橋市医師会と協議の上、市長、市議会に対して発信する立場にあります。今回の船橋市立医療センター建て替えに関しては、船橋市議会におかれましても、十分な議論を要望します。

●参考(朝倉幹晴の船橋市議会での医療センター関連質疑等)
2024年3月15日、船橋市議会予算決算委員会全体会質疑録画中継(30~44分、船橋市医師会への説明状況に関して質疑)

【録画中継・配布資料】2024年2月21日(水)朝倉幹晴、船橋市議会質疑

【2023年11月29日船橋市議会質疑報告】船橋市にも大学病院を

【2024年2月報告】船橋市立医療センター建替事業、事業収支計画について~事業費25.7億増加~

【録画中継・議事録】朝倉幹晴、2023年9月12日・14日質疑(海老川上流地区まちづくり・船橋市立医療センター建替えについて)