2024年 #大学入試 #共通テスト #生物基礎、第3問(15点)問題・解答・解説

2024年4月15日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2024年大学入試共通テスト「生物基礎」第3問(計15点)の解答、解説を作成しましたので、学習や入試対策にご活用ください。問題の最後の下にある「2」をクリックすると解答・解説のページに飛びます。共通テストの出題図は黒一色印刷ですが、せっかくの画面上ですので一部カラーにしました。

2024年共通テスト「生物基礎」第3問(配点15点)問題

生物の多様性と生態系の保全に関する次の文章(A・B)を読み、後の問い(問1~5)に答えよ。

A、日本列島では、ほとんどの地域に(a)森林が見られ、森林が成立しない湿地や(b)湖沼には、水生植物からなる植生が見られる。過去に山火事や伐採により森林が消失した場所では、(c)主にススキなどの草本が優占する草原が見られることがあり、草原は時間の経過とともに森林へと移り変わっていく。

問1 下線部(a)に関連して、日本列島の森林に関する次の文章中のア・イに入る語句の組合せとして最も適当なものを、後ののうちから一つ選べ。(3点)

日本列島には複数の森林のバイオームが見られ、その分布は主ににより決まる。森林限界が見られる標高は、北海道では本州中部地方

問2 下線部(b)に関連して、次の記述(a)~(c)のうち、湖沼の植生や生態系の説明として適当なものはどれか。それを過不足なく含むものを後ののうちから一つ選べ。(3点)

(a)湖沼では、水深に応じた植生の違いが見られた。
(b)湖沼の生態系では、植物プランクトンと動物プランクトンが生産者として働いている。
(c)湖沼に土砂が堆積して陸地化すると、やがて森林となることがある。

問3 下線部(c)に関連して、中部地方のある山地では、過去300年にわたり、2年に1回、人為的に植生を焼き払う火入れを春に行った後、成長した植物の刈取りをその年の初秋に行う管理方法により、伝統的に草原が維持されてきた。近年になり、管理方法が変更された区域や、管理が放棄された区域も見られるようになった。表1は、五つの区域()における近年の管理方法を示したものである。また図1は、各区域内で初夏に観察された全ての植物の種数と、そこに含まれる希少な草本の種数を示したものである。

この山地における草原を維持する管理方法と観察された植物の種数について、表1と図1から考えられることとして最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)

火入れと刈取りの両方を毎年行うことは、火入れと刈取りのどちらかのみを毎年行うことと比べて、全ての植物の種数における希少な草本の種数の割合を大きくする効果がある。
火入れを毎年行うことは、管理を放棄することと比べて、全ての植物の種数に加えて希少な草本の種数も多く保つ効果がある。
伝統的管理を行うことは、火入れと刈取りの両方を毎年行うことと比べて、全ての植物の種数に加えて希少な草本の種数も多く保つ効果がある。
管理を放棄することは、伝統的管理を行うことと比べて、全ての植物の種数における希少な草本の種数の割合を大きくする効果がある。

B 人間活動によって本来の生息場所から別の場所へ移動させられ、その地域に棲み着いた生物を、(d)外来生物という。(e)外来生物が生物多様性の保全や生態系のバランスに関わる問題を引き起こさないように、必要に応じて外来生物を管理することが求められる

問4 下線部(d)に関連して、外来生物が関わっていない記述を、次ののうちから一つ選べ。(3点)
アジア原産のつる植物であるクズが北米に持ち込まれたところ、林のへりで樹木を覆い、その生育を妨げるようになった。
サクラマスを川で捕獲し、それらから得られた多数の子を育ててもとの川に放ったところ、野生の個体との間で植物をめぐる競合が起こり、全体として個体数が減少した。
イタチが分布していなかった日本のある島に、本州からイタチが持ち込まれたところ、その島の在来のトカゲがイタチに食べられて激減した。
メダカを水路で捕獲し、外国産の魚と一緒に飼育した後にもとの水路に戻したところ、飼育中にメダカに感染した外国由来の細菌が、水路にいる他の魚に感染した。

問5 下線部(e)に関連して、外来生物の管理に関する記述として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(3点)
ある外来の水生植物が繁茂した池の生態系をもとの状態に近づけるためには、その植物を根絶することが難しい場合、定期的に除去して低密度に維持することが有効である。
家畜は、自然に生態系に放たれて外来生物になっても、いずれ死滅するので、人間の管理下に戻そうとしなくてもよい。
ある外来の動物が増えたことによって崩れた生態系のバランスを回復させるためには、別の種の動物をあたらに導入し、その動物と食物をめぐって競合させることが有効である。
新たに見つかった外来生物を根絶する場合には、見つかった直後に駆除するよりも、ある程度増殖するのを待ってからまとめて駆除するほうが効率がよい。