2024年 #大学入試 #共通テスト #生物基礎、第3問(15点)問題・解答・解説


【解説】
問1

日本は全国的に降水量が多い一方、南北に長く気温差は大きい。よって、バイオーム(植物群系)は年平均気温の影響により決まる。平地(低地帯)では照葉樹林が形成される関東・中部地方も、標高が高くなると気温が低下するので、700m~1700m(山地帯)は夏緑樹林(東北地方の平地と同じバイオーム)、1700~2500m(亜高山帯)は針葉樹林(北海道北部の平地と同じバイオーム)となる。更に2500mを越える高さ(高山帯)では、低温と降雪の影響で高木の森林は形成されず、ハイマツなど低木と、短い夏のみ成長・開花・結実する高山植物(コマクサ・クロユリ)のみが生息できる。関東・中部地方では、この森林が形成される限界の標高(2500m)を森林限界という。東北や北海道では低地自体がすでに気温が低いので、森林限界の標高は低くなる。よって、
問2

(a)湖沼では、水深に応じた植生の違いが見られた。
以下は、「ラウンケルの生活形」が植物の冬芽(休眠芽)の位置で植物を分類したものである。故障で水生生物に分類されるものでも、根(地下茎)がに近い浅い部分から順に「抽水植物」、「浮葉植物」、「沈水植物」など水深に応じた植生の違いがある。

(b)湖沼の生態系では、植物プランクトンと動物プランクトンが生産者として働いている。×

  動物プランクトンは光合成(無機物からの有機物合成)をしないので消費者である。


(c)湖沼に土砂が堆積して陸地化すると、やがて森林となることがある。

末尾の●にあるように、湖沼に土砂が堆積して陸地化し、森林になることを「湿性遷移」という。


(a)(c)なので、
問3

 

火入れと刈取りの両方を毎年行うことは、火入れと刈取りのどちらかのみを毎年行うことと比べて、全ての植物の種数における希少な草本の種数の割合を大きくする効果がある。
火入れを毎年行うことは、管理を放棄することと比べて、全ての植物の種数に加えて希少な草本の種数も多く保つ効果がある。
伝統的管理を行うことは、火入れと刈取りの両方を毎年行うことと比べて、全ての植物の種数に加えて希少な草本の種数も多く保つ効果がある。
管理を放棄することは、伝統的管理を行うことと比べて、全ての植物の種数における希少な草本の種数の割合を大きくする効果がある。


実際選択肢の条件を図に書き込みながら確かめていく。の選択肢で論点とされた、「希少な植物/全ての植物 ×100%」は計算する。(計算を簡略化するため、小数値は無視し整数とみなした)。は文章の前半は正しいが後半は誤り。文章が全て正しいのは、

問4
外来生物とは、人間の活動によって意図的に、あるいは意図されずに本来の生育場所から別の場所に移して定着した生物である。日本にいなかった生物が外国から持ち込まれる例(オオクチバスなど)を示すことが多く はその例である。同じ日本国内でも、のように、いなかった島に持ち込まれる場合も外来生物という。

サクラマスは日本の在来種であるし、この川にもいた。同じ種どうしの野生個体と(人に飼育された)個体は、種は同じであるので、外来生物とはいわない。よって、

問5
以下に目を通しておくとよい。
外来種被害防止行動計画(環境省)

ある外来の水生植物が繁茂した池の生態系をもとの状態に近づけるためには、その植物を根絶することが難しい場合、定期的に除去して低密度に維持することが有効である
家畜は、自然に生態系に放たれて外来生物になっても、いずれ死滅するので、人間の管理下に戻そうとしなくてもよい。×
以下の記事にあるように、元家畜だからといって野生化して死滅するとは限らず、人間社会に影響を及ぼすこともある。
石垣島に存在しないはずの「野良の牛」 被害続出で苦慮

ある外来の動物が増えたことによって崩れた生態系のバランスを回復させるためには、別の種の動物をあたらに導入し、その動物と食物をめぐって競合させることが有効である。×
導入した別の種が生態系を破壊する可能性がある。

新たに見つかった外来生物を根絶する場合には、見つかった直後に駆除するよりも、ある程度増殖するのを待ってからまとめて駆除するほうが効率がよい。×
直後に繁殖しないうちに駆除したほうがよい。