2025年大学入試共通テスト「生物」第5問問題(配点24点)・解答・解説

2025年12月16日 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
大学入試共通テストの生物の2025年第5問の解答・解説を作りましたので、受験対策や日常の勉強にお役立てください。本ページの最後までスクロールいただき「2」を押すと、解答・解説のページに飛びます。
2025年大学入試共通テスト「生物」第5問(配点24点)
植物の環境応答に関する次の文章(A・B)を読み、後の問い(問1~5)に答えよ。
A 明治時代初期の北海道では、本州から持ち込んだイネを栽培しても、その種子であるコメが収穫できなかった。しかしその後、初めに用いたイネとは別の品種である「赤毛」を用いることで、米を収穫できることが発見され、北海道がコメの一大産地になるきっかけとなった。「赤毛」には、(a)発芽してから開花するまでの期間が短いという性質があり、このことが北海道での栽培に成功した理由の一つと考えられている。その後、「赤毛」を祖先とした(b)交配による品種改良が行われ、「ゆめぴりか」など、様々な北海道型の品種が作られている。
問1 図1は、イネの種子を模式的に表したものである。イネの種子の発芽に関する次の文章中のア~ウに入る語句の組合せとして最も適当なものを、次の
のうちから一つ選べ。
イネの種子では発芽に適した条件になると、種子中のアでジベレリンが合成されるようになる。合成されたジベレリンは糊粉層(こふんそう)でイを誘導する。その結果、最終的にウでグルコースが生じ、これをエネルギー源として発芽が始まる。


問2 下線部(a)に関連して、イネの光周性に関する次の文章中のエ~カに入る語句の組合せとして最も適当なものを、次の
のうちから一つ選べ。
現在、本州で栽培されているイネ(以下、本州型のイネ)と、北海道型のイネとを、それぞれ異なる日長で育て、それらの葉に含まれるフロリゲン遺伝子のmRNAの量を調べたところ、図2の結果が得られた。北海道型のイネでは、エ明期でフロリゲン遺伝子のmRNA量が本州型のイネより多くなった結果、オなるので、温暖な期間が短い北海道において、コメが実るようになったと考えられる。この結果から、北海道型のイネはカ植物の性質になったといえる。
問3 下線部(b)に関連して、「ゆめぴりか」を作る過程では、初めに「はしたろう」と「北海287号」という二つの純計の品種を交配し、種子が得られた。その後、これらの種子に由来する子孫から、様々な純系の系統が作り出された。これらの純系の系統から好ましい形質を持つイネが選抜され、「ゆめぴりか」という品種の名前がつくられた。「ゆめぴりか」の遺伝情報や染色体に関する記述として適当でないものを、次の![]()
のうちから一つ選べ。
「ゆめぴりか」でつくられる花粉と胚を比較すると、それらの遺伝情報は同一である。
「ゆめぴりか」の配偶子がつくられる過程では、相同染色体の乗換え(交さ)が起こるが、つくられたそれぞれの配偶子を比較すると、遺伝情報は同一である。
「ゆめぴりか」は、「ほしたろう」の全ての遺伝情報と、「北海287号」の全ての遺伝情報の両方を持っている。
「ゆめぴりか」にあるそれぞれの遺伝子座では、「ほしたろう」または「北海287号」由来の対立遺伝子がホモ接合となっている。
B 果実はふつう植物体の地上部に形成されるが、一部の植物種では地中に果実が形成される。ラッカセイでは、図3に示すように、花は地上で咲くが、果実は地中に形成される。これは、受粉後に(c) 子房がついている柄の部分(以下、子房柄(しぼうへい))が正の重力屈性を示しながら著しく伸長し、子房を土の中に潜りこませるためである。

問4 下線部(c)に関連して、植物は重力に対する応答として、オーキシンの分布の変化を介して細胞伸長を制御することで、重力屈性を引き起こすことが知られている。このことを踏まえ、ラッカセイの子房柄における重力屈性の仕組みを調べるために、実験1~3を行った。後の記述(a)~(c)のうち、実験1~3の結果から導かれる推論として適当なものはどれか。それを過不足なく含むものを、後の
のうちから一つ選べ。
実験1 子房がついたままの子房柄を水平にすると、子房柄は正の重力屈性を示した。
実験2 子房を切除した後、子房柄を水平にすると、子房柄は重力屈性を示さなかった。
実験3 子房を切除し、子房柄の切断面全体に一様にオーキシンを与えた後、子房柄を水平にすると、正の重力屈性を示した。
(a)重力屈性には、子房柄における重力方向の感知が必要である。
(b)重力屈性に十分な量のオーキシンを子房柄に供給するためには、子房でのオーキシンの合成が必要である。
(c)子房柄におけるオーキシン分布の変化には、子房でのオーキシン輸送の変化が必要である。

問5 ラッカセイの茎は、ふつうの植物の茎と同様に負の重力屈性を示す。下線部(c)に関連して、子房柄における重力屈性の仕組みが茎の重力屈性の仕組みとどのように異なっていると考えたら、子房柄の正の重力屈性を説明できるか。次の考察のキ・クおよびケ・コに入る語句の組合せとして最も適当なものを、それぞれ後の
および
のうちから一つずつ選べ。
考察 一般に茎を水平にすると、上になった側に比べて下になった側にオーキシンの濃度がキなり、その結果、上側の細胞に比べて下側の細胞の伸長速度がクなって、負の重力屈性を引き起こすことが知られている。
一方、ラッカセイの子房柄を水平にすると、オーキシンの分布が一般的な茎と異なり、下側に比べて上側のオーキシン濃度がキなると考えれば、正の重力屈性を説明できる。これとは別の可能性として、オーキシンの相対的な分布が一般的な茎と同じ場合でも、子房柄のオーキシンの濃度が全体に茎よりケと考えれば、正の重力屈性を説明できる。あるいは、子房柄のオーキシンに対する感受性が茎よりコと考えても、正の重力屈性の説明が可能である。

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