2025年大学入試共通テスト「生物」第5問問題(配点24点)・解答・解説

解説
問1
イネの種子では発芽に適した条件になると、種子中のア(胚)でジベレリンが合成されるようになる。合成されたジベレリンは糊粉層(こふんそう)でイ(アミラーゼの合成)を誘導する。その結果、最終的にウ(胚乳)でグルコースが生じ、これをエネルギー源として発芽が始まる。

よって


問2

知識としては下記のように、イネは、日が短くなっていく晩夏や秋に花芽をつけ、種子ができる短日植物(連続暗期の長さで表現すると「長暗」で花芽京成)ということを知っておいてほしい。

実験上でも、本州型のイネにおいては「長い明期」(「短暗」)では、花芽京成のフロリゲン(花成ホルモン)の合成は少なく、「短い明期」(「長暗」)では、フロリゲンの合成が多いことが確認できる。
しかしながら、北海道型のイネは、「長い明期」(「短暗」)でもフロリゲン合成があまり低下せず、どの明暗周期でも一定に近い合成量となっており、日長(連続暗期)条件に影響されず、いつでも花芽を形成する「中性植物」の性質に近づいていることがわかる。

現在、本州で栽培されているイネ(以下、本州型のイネ)と、北海道型のイネとを、それぞれ異なる日長で育て、それらの葉に含まれるフロリゲン遺伝子のmRNAの量を調べたところ、図2の結果が得られた。北海道型のイネでは、エ(長い)明期でフロリゲン遺伝子のmRNA量が本州型のイネより多くなった結果、オ(花芽の形成が早く)なるので、温暖な期間が短い北海道において、コメが実るようになったと考えられる。この結果から、北海道型のイネはカ(中性)植物の性質になったといえる。
よって、
問3
「ほしたろう」と「北海287号」のもつ各遺伝子の顕性(優性)と潜性(劣性)の関係は不明である。遺伝子は多数あるが、4種の遺伝子についてのみ注目し、ほしたろうはA、B、C、D、北海287号はA´、B´、C´、D´であったとする。
すると「ゆめぴりか」を作る交配を行った最初の遺伝子構成は最初はAA´BB´CC´DD´(すべてヘテロ型)となる。イネは自家受精植物であり、自家受精を何度も繰り返すと「純系」(ホモ型)となるので、A遺伝子の構成についてはAAかA´A´、B遺伝子構成はBBかB´B´、C遺伝子構成はCCかC´C´、D遺伝子構成はDDかD´D´となる。
よって、4遺伝子のみに注目しても、「ゆめぴりか」には
AABBCCDDからAABBCCD´D´・・・・A´A´B´B´C´C´D´D´があり、この中のどれかが、「ゆめぴりか」となったと考えられる。
仮にAAB´B´C´C´DDが「ゆめぴりか」となったと仮定すると

 花粉(n)はAB´C´D、胚(2n)はAAB´B´C´C´DDで核相は異なるが遺伝子構成は同じである。

「ゆめぴりか」の配偶子がつくられる過程では、相同染色体の乗換え(交さ)が起きても、対合している相同染色体上の遺伝子構成は同じなので、どの配偶子の遺伝子構成もAB´C´Dとなる。
「ゆめぴりか」は、「ほしたろう」の全ての遺伝情報と、「北海287号」の全ての遺伝情報の両方を持っている。×各遺伝子について、どちらかしか持っていない。AAB´B´C´C´DDで考えると、A遺伝子とD遺伝子は「ほしたろう」由来、B遺伝子とC遺伝子は「北海287号」由来(B´、C´)である。

「ゆめぴりか」にあるそれぞれの遺伝子座では、「ほしたろう」または「北海287号」由来の対立遺伝子がホモ接合となっている。

よって、

問4

後の記述(a)~(c)のうち、「実験1~3の結果から導かれる推論」として適当なものはどれか。

(a)重力屈性には、子房柄における重力方向の感知が必要である。
(b)重力屈性に十分な量のオーキシンを子房柄に供給するためには、子房でのオーキシンの合成が必要である。
(c)子房柄におけるオーキシン分布の変化には、子房でのオーキシン輸送の変化が必要である。

「知識」としては(a)(b)(c)とも正しい。しかし「実験1~3の結果から導かれる推論」と考えると

実験1 子房がついたままの子房柄を水平にすると、子房柄は正の重力屈性を示した。
実験2 子房を切除した後、子房柄を水平にすると、子房柄は重力屈性を示さなかった。
実験1・2から「(a)重力屈性には、子房柄における重力方向の感知が必要である。」は推論できる。

実験3 子房を切除し、子房柄の切断面全体に一様にオーキシンを与えた後、子房柄を水平にすると、正の重力屈性を示した。

実験1で子房での子房でのオーキシン合成と同様に、実験3でのオーキシンの外部からの投与でも重力屈性が起きたので、
(b)重力屈性に十分な量のオーキシンを子房柄に供給するためには、子房でのオーキシンの合成が必要である。

しかし、オーキシン輸送の変化(c)子房柄におけるオーキシン分布の変化には、子房でのオーキシン輸送の変化が必要である。)についてはそれを確かめる実験を行っていないので、この3実験だけからはわからない。

 

よって、

問5

考察 一般に茎を水平にすると、上になった側に比べて下になった側にオーキシンの濃度がキ(高く)なり、その結果、(上図右側のように)上側の細胞に比べて下側の細胞の伸長速度がク(大きく)なって、負の重力屈性を引き起こすことが知られている。
一方、ラッカセイの子房柄を水平にすると、オーキシンの分布が一般的な茎と異なり、下側に比べて上側のオーキシン濃度がキ(高く)なると考えれば、正の重力屈性を説明できる。

これとは別の可能性として、オーキシンの相対的な分布が一般的な茎と同じ場合でも、子房柄のオーキシンの濃度が全体に茎よりケ(高い)と考えれば、正の重力屈性を説明できる。(下側で濃度が高すぎると、上図の赤図の右端のようむしろ伸長を抑制され、より低濃度の上側のほうが相対的に伸長するので、一般の根と同様、正の重力屈性となる)
あるいは、子房柄のオーキシンに対する感受性が茎よりコ(高い)と考えても、正の重力屈性の説明が可能である。(これは、オーキシン濃度は一般の茎と同様で、感受性のほうが一般の根と同じ(上図の青線)となるので、一般の根同様、下側が伸長抑制され、濃度が低い上側は伸長するので、正の重力屈性となる。)

よって、