2025年、大学入試共通テスト「生物基礎」第1問、問題・解答・解説(配点16点)

解説
問1
無機物から有機物を合成すること(光合成など一次同化)と、取り込んだ(他の生物由来の)有機物を自らの体の成分の有機物に変化させる(二次同化)をあわせて同化という。繊毛細胞も細菌ともに、呼吸(有機物を分解し生命活動に使うATPを作る)を行う。また、繊毛細胞も細菌ともに,無機物からの有機物合成(一次同化)は行っていないが、周囲から取り込んだ有機物を自らの体の成分に変化させる二次同化は行っている。よって両者とも同化・異化ともに行う。
繊毛細胞も細菌も、核の中に遺伝子の本体であるDNAを含む。×
繊毛細胞は真核細胞(真核生物の細胞)であり、核膜に包まれた核の中にDNAがある。細菌は原核細胞であり、核膜に包まれた核はなく、細胞質中にDNAの塊(核様体)が浮遊する。
光合成のための葉緑体は、動物細胞である繊毛細胞や、原核生物である細菌には存在しない。
ミトコンドリアは、繊毛細胞には存在するが、細菌には存在しない。〇
動物細胞(真核細胞)である繊毛細胞には呼吸のための細胞小器官、ミトコンドリアが存在するが、原核細胞である細菌にはミトコンドリアは存在しない。原核生物に共通に存在する細胞小器官は細胞壁・細胞膜・リボソーム(タンパク質合成の場)のみである。
問2
小腸の繊毛組織などの基底細胞など、剝がれるなどで死滅していく細胞を補填するため、細胞分裂を繰り返している細胞「基底細胞」が繊毛細胞の内側に存在している。分裂を繰り返す細胞では以下のように、間期初期のG1期にDNA量が1であったとみなすと、間期のDNA合成期(S期)にDNAを2に複製し、細胞分裂が終わると2つの娘細胞に分割され、細胞あたりは1に戻ることを繰り返している。
また、分泌細胞、繊毛細胞など特定の役割に分化し、それ以上分裂しない細胞は、次の細胞分裂の準備のためにDNA複製をする必要はなく、DNA量はG1期の1のままである。細胞分裂継続中の細胞のG1期と区別するためにGo期ということもある。分泌細胞がG1期(Go)期なのでDNA量1、基底細胞YはG2期でS期でDNA合成を終えた後なのでDNA量2、基底細胞Zも、S期でDNA合成を終えた後でまた細胞が2つに分離していないのでDNA量2である。よって![]()
問3
遺伝子発現のしくみは以下のとおりとなる。これは「生物」で問われる内容まで説明した図なので、「生物基礎」では次にのべる把握でよい。
1、DNAの2重らせんの片側(塩基対の片側)を転写し、1本鎖のmRNAが合成され、核から細胞質に移動する。
2、mRNA3塩基が1つのアミノ酸を指定し、アミノ酸が多数結合したタンパク質ができる。
よって本設問では、正常個体のタンパク質Aを指定するDNAは、13500塩基対なので、13500÷3=4500アミノ酸。
変異個体では3601~03番目の3塩基が翻訳を停止する終止暗号(コドン)になるので、翻訳されるのは3600塩基対なので、3600÷3=1200アミノ酸。
よって、
。
問4
切断直後の根の細胞は、葉緑体は持っていないにも関わらず、その後、葉緑体を持った芽(葉)を合成し、その後花まで形成できる。花まで形成できることか、根だけとなった細胞も花の形成遺伝子を保持していること、生存・成熟・成長のためには光合成によるグルコース生成が必要なので、葉も生成(再生)できることがわかる。よって
。

エネルギーを消費する代謝を行っていない。×(代謝できなければ芽の再生はできない)
花の形成に必要な遺伝子を持っている。〇
DNAを複製する能力を失っている。×(複製できないとしたら芽の再生もできないはず)
他の細胞に分化する能力を失っている。×
葉緑体をつくる能力を失っていない。〇
光があたると酸素を発生する。×(根の細胞自身は光合成をしないままである)
減数分裂を行っている。×(生殖母細胞でないので、減数分裂は行わない)
問5
実験1 仮説「根は葉の光合成で生産された有機物を蓄えており(前半)、この有機物から呼吸によって取り出したエネルギーを使って芽をつくる(後半)」を確かめるためには、まず、実験1では、後半「有機物から呼吸によって取り出したエネルギーを使って芽をつくる」ことを確かめるため、有機物を呼吸で分解する際に必要なO2を除いた実験で芽ができないことを確認すればよい(よってウO2)。絵でも前問でも、光合成・葉に意識が回り、仮説も光合成のことが前半に書いてあるが、実験1では「水で濡らした紙で包んで」ということで、光合成に必要な条件が遮断されていることから、仮説後半の呼吸について聞かれていることを見抜いてほしい。
実験2 実験1で仮説の後半を確かめたので、実験2以降では仮説前半「根は葉の光合成で生産された有機物を蓄える」を確かめると推定する。有機物を蓄える前提として葉による光合成があるので、光を遮断して光合成をできなくした時、どうなるかを確認すればよい。(よって、エ遮断)
実験3 最後に細胞の芽への分化のしくみ自体は存在することを確かめるために、光合成できず根に有機物が蓄積できない状態でも、外部からグルコースをあたえれば芽が分化できることを確かめる。(よって、オ、グルコース)






