2019年大学入試センター生物第7問「生態系」(10点・選択)問題・解答・解説
入試問題は白黒ですが、せっかくの画面上ですので一部カラーにしました。
第7問 生物の種間関係に関する次の文章を読み、下の問い(問1~3)に答えよ。(10点・選択)
北アメリカでは、多年草のセイタカアワダチソウをめぐる複雑な種間関係がみられる。ハエの一種がセイタカアワダチソウの茎の内部に卵を産みつけると、ハエ幼虫が茎の一部をボール状に肥大させて、堅い外壁とやわらかい内部で構成される「虫こぶ」に変化させる。
虫こぶ内部の組織を食べて成長するハエ幼虫は、ハチの一種と鳥に捕食される場合がある。ハチは、虫こぶの外壁を産卵管で刺し貫いて内部に産卵し、ハチ幼虫は、ハエ幼虫を捕食した後、虫こぶ内部の組織を食べて成長する。鳥は、ハチの産卵を免れた虫こぶを探し当てて穴を開け、ハエ幼虫を捕食する。セイタカアワダチソウ、ハエ、ハチおよび鳥で構成される食物網において、アは一次消費者であり、二次消費者でもある。
虫こぶの直径は様々で、直径が大きい虫こぶほど外壁が厚いことが分かっている。ハエ幼虫の生存率に虫こぶの直径がどのように影響するかを調べるために、実験1・実験2を行った。
実験1 ハチの産卵や鳥の捕食と、虫こぶの直径との関係を調べるため、まず、様々な直径の虫こぶとハチを容器に入れて、虫こぶの直径とハチの産卵成功率との関係を調べた。次に、セイタカアワダチソウの群落で、虫こぶの直径と鳥による捕食率との関係を調べた。それらの結果を表1に示す。
実験2 ハエ幼虫の死亡要因と虫こぶの直径との関係を調べるため、セイタカアワダチソウ群落で虫こぶを多数採集した。採集した虫こぶを、ハエ幼虫が生存している虫こぶ、ハチによってハエ幼虫が死亡した虫こぶ、鳥によってハエ幼虫が死亡した虫こぶに仕分けし、それぞれの直径を計測し、平均値を求めたところ、表2の結果が得られた。この結果は、実験1の結果から予想された通りであった。
問1 上の文章中のアおよび第2のイ・ウに入る生物名の組合せとして最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。1(4点)
問2 ハエの遺伝子型によって虫こぶの直径が変わり、かつ、ハチと鳥の捕食によって虫こぶの直径に自然選択がはたらくと仮定したとき、実験1・実験2の結果をふまえて、次の文章中のエ・オに入る語の組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。2(3点)
セイタカアワダチソウ群落において、近くにあった生息地が消失すると、直径がエ虫こぶが増加すると予想される。また、産卵管が長いハチほど虫こぶへの産卵に成功しやすいため、虫こぶの直径によってハチの産卵管の長さに自然選択がはたらく場合には、ハエとハチとの間でオが起こると予想される。
問3 自然選択に関する記述として誤っているものを、次ののうちから一つ選べ。
3(3点)
自然選択は、個体間の遺伝子変異に応じて繁殖力や生存率に差がある場合に起こる。
自然選択の結果、生物が生息環境に適した形質をもつことを、適応とする。
自然選択は、人間の様々な形質にもはたらいてきた。
人間の活動によって起こった環境の変化は、自然選択の原因とはならない。
生物集団の遺伝的構成を変化させる原因は、自然選択だけではない。
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