船橋市の不登校対策、児童・生徒・保護者の心のケア(スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー)の現状

2019年12月24日(火) 船橋市議会文教委員 朝倉幹晴
2019年12月24日(火)、船橋市教育委員会指導課と総合教育センターより、船橋市の不登校対策、児童・生徒・保護者の心のケア(スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー)の現状の聴き取りをいたしました。そして、船橋市教育委員会が10月に発表した「教育要覧 令和元年度版」に掲載された資料を交えて以下説明します。特に必要とする方に現状をお伝えするとともに、今後のさらなる対策の提言を考えていきたいと思います。ご意見・ご要望があればお聞かせください。(資料中のデータ資料は「教育要覧」から、赤線は朝倉による強調

1、船橋市立小中学校児童・生徒数と不登校児童・生徒の推移(2018年度(平成30年度))

小学校学校数・学級数・児童数 ()は特別支援学級

中学校学校数・学級数・生徒数 ()は特別支援学級

不登校児童・生徒数推移


学校ごとに異なるが、単純に平均をとると、小学校が54校、中学校27校であるため、各小学校に約5名、各中学校に約20名(クラスに1人程度)ということになる。
学年別にみると、小1 16名 小2 23名 小3 21名、 小4 45名 小5 56名 小6 75名 中1 134名 中2 199名 中3 182名 である。
小4、小6、中1で増加傾向が強いのは、精神的な揺れの時期や思春期、進学などの節目であることも考えられる。

 

【船橋市教育委員会の説明】

2012年度(平成24年度)までは、小学校70~80、中学校300で推移していたが、平成25年度(2013年度)から増加傾向にある。これは船橋市だけでなく、日本全国でも同様な傾向である。

(この原因については様々な議論となりましたが、確定的なことは言えないので参考意見として以下の記事をご覧ください。)

不登校が過去最多、5年連続増加の原因とは ~現場関係者から背景を紐解く~(2018年10月29日掲載記事)

 

2、船橋市全体の不登校対策と児童・生徒・保護者の心のケアに関する施策

市役所7階の教育委員会学校教育部の一つの課である「指導課」、東船橋駅近くにある「総合教育センター」、船橋駅南口側にある「青少年センター」の3か所が以下のように役割分担・協力しながら対策をしている。

スクールカウンセラーを市として全小学校に配置

不登校も含む児童・生徒。保護者の様々な相談を受け、一緒に考え、解決の方向を探っていく「スクールカウンセラー」を2014年度(平成26年度)から小学校54校全校に配置し、当初(2014年度)は年間30日勤務だったが、現在(2019年度)は年間43日勤務(予備費として+30日分可能)となっている。授業週数が35週なので、週1回を基本に、週2回以上勤務の週もある。1回の勤務時間は6時間(途中45分の昼休憩)である。「スクールカウンセラー」任用は、臨床心理士・公認心理師かそれに準ずる資格を持っていることが条件で、1日3万円(準ずる資格の場合は2.1万円)が報酬である。多くの「スクールカウンセラー」は船橋市小学校の仕事以外も兼務している。
2018年度(平成30年度)の相談件数総数は16139件。
相談内容は、「児童」「保護者」「教職員」ごとに分類されている。「教職員」の相談とは結果的には「児童・保護者」からの相談内容に関する相談が多い。
相談内容(件数)の順位は 児童 ①性格・身体(発達・成長) ②友達関係
保護者 ①性格・身体(発達・成長)②不登校
教職員 ①性格・身体(発達・成長)②不登校

なお、中学校には県からのスクールカウンセラーが配置されており、年間199時間勤務、時給5000円で、市とほぼ同じ水準で勤務している。

スクールソーシャルワーカー

2018年度から始め、2019年度は、市内で5名が98日(49週×2日相当)が勤務している。採用条件は社会福祉か精神保健福祉士、あるいはその両方を保持していることである。家庭的事情がある方のケースが多いため、家庭訪問が主体となる。初年度(2018年度)実績は累計3550時間の勤務であった。
中学校では、市内を4ブロックにわけ、「生徒指導連絡会」を作っている。生徒指導主事・校長・警察・教育委員会・家庭児童相談室などが隔月ぐらいの頻度で情報交換の会議を持っている。
4ブロックは、「9校」(西部・南部)「北習志野」「北部」「二宮」であるが、「9校」(西部・南部)は広く生徒数も多いため、ここに2人のスクールソーシャルワーカーを配置し分担し5ブロックにしている。
スクールソーシャルワーカーは、総合教育センターに出勤し、そこから学校や家庭に出発し、また総合教育センターに戻る。9~17時の間の7時間勤務を基本とするが、家庭訪問の事情に合わせ、11~19時の間の7時間勤務とすることもある。
2018年度の相談件数は64件で、容易に解決しないケースも多く同じ人のところに何度も行くことがある。64年中、23件が解決あるいは卒業となったが、41件は2019年度に引き継がれている。2019年度は、この41件に新たに38件が加わり、79件(11月末現在)となっている。

県では葛南教育事務所(管轄は習志野市・市川市・浦安市・船橋市)に3人の相談員がいて、ここからの派遣も可能ではあるが、自前で行っている中核市である船橋市ではなく他の市に出向いていることが多い。

 

学校外での電話、訪問・来所相談(青少年センターなど)

児童・生徒、保護者が学校外での相談を求めた場合、あるいは学校内でも教職員・スクールカウンセラーに相談しているが、更に学校外での対処が必要になってきた場合、以下の場所が電話相談、訪問・来所相談を受け付けています。この電話番号は、学校での相談時や、広く市の公報で公開しています。

船橋市青少年センター(相談専用)047(431)3749

船橋市総合教育センター(教育支援室教育相談班)047(422)7734

また、教育委員会指導課(047(436)2111からつなぐ)に連絡いただいた場合も、つないでいくとのことです。

青少年センターでの電話、来所・訪問相談の件数は以下で、不登校・登校しぶりの件数が最多となっています。

不登校対策(総論)

国(文部科学省)は、統計的把握の分類で、2015年まで不登校を問題行動の一部としてきたが、2016年度からは「問題行動」と「不登校」を分離した。そして2019年10月25日付けの通知で以下のような視点を明確にしている。

支援の視点
不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。

「不登校児童生徒への支援の在り方について」(通知)(2019年10月25日)

2018年度の小学校236人、中学校515人の不登校の原因を分析すると以下のようになる。
小学校(全体236人) ①不安79人 ②無気力48人 ③人間関係46名 ④遊び1人 (⑤その他64人)
中学校(全体515人)①不安162人 ②無気力138人 ③人間関係132人 ④遊び18人 (⑤その他65人)

まずは「不安」が多く、不安で始まった不登校が長期化すると「無気力」につながる傾向が多いようである。また中学校では小学校よりも、友達関係などの人間関係の比率が高い傾向がある。

船橋市教育委員会でもこの視点を踏まえて、対策を考えている。まず対策の対象者は、船橋市教育委員会では市立小中学校、特別支援学校と、市立船橋高校の在学児童・生徒が直接の対象となる。ただ、市内在住の高校生(県立高校在学など)や、私立小中学校などの場合でも、18歳以下の人については青少年センターなどで相談を受け付けることができる。不登校傾向がそのまま引きこもり傾向になった場合なので19歳以上の場合は、市の他の福祉・就労支援部門に紹介することになる。ただ、できるだけ、在学中に支援ができるように努力している。

ふなばし地域若者サポートステーション
「保健と福祉の総合相談窓口」さーくる

 

不登校対策(学校内)

各学校で長欠(長期欠席)担当の教員を決め、その長欠担当者が集まって「長欠対策協議会」を行っている。不登校として扱うのは、月15日以上、あるいは連続7日以上の欠席である。欠席理由は、文部科学省の統計区分上、
①病気、②経済的理由、③不登校、④その他となっている。
全54小学校を2区分し、青少年センターと教育委員会指導課が、年に2回(6月と11・12月)に学校訪問し、担当者に聴き取りし状況把握し、相談をしている。
各中学校では「不登校支援教室」を設置している。これは学校ごとに呼び名は異なる。ここには市全体で100名以上が通っている。クラスの教室には行けないけれど、学校内のこの教室には通うことはできる生徒が対象である。中学校の場合、教科担任制なので、教科の空き時間があり、それを活用して、各教科を教えることができる。もちろん授業形式ではなく、自習質問形式が多い。もちろん生徒は、この教室に毎日通うことができる状態とは限らず週1や時々の生徒もいる。小学校の場合は、クラス担任制なので、このような教室を作ることは今のところ難しい。

不登校児童、生徒の学ぶ場所(学校外)

「不登校支援教室」も含めて学校に通うことはできない児童生徒の学ぶ場所として、峰台小学校敷地内にある「適応指導教室ひまわり」、青少年センター、青少年センターの分室があり、現在、適応指導教室には53名、青少年センターには10名、青少年センター分室には10名が通っている。

青少年センター北部分室(高根台・学習スペースあり)

適応指導教室には常時勤務者3人、週3日勤務者が3人いて、常時4人の教員がいて、月1回校外学習も行っている。午前は学習し、午後は畑仕事などをしている。

また2016年度から施行された「教育機会均等法」のもと、学校外のフリースクールなどに通って学んだ場合、そこの学びを単位認定することができるようになった。単位認定するかどうかは学校長の判断に任されているが単位認定していることが多い。昔からある東京シューレのほか、習志野の「フリースクール ネモ」の利用者もいる。

ひきこもり傾向の強い不登校児童・生徒への援助

2018年度の小学校236人、中学校515人のうち、1年以上の長期欠席は小学校6名、中学校22名である。また入学式などには出たがその後、ずっと不登校になった場合は「1年以上」にはカウントなれないので、教育委員会では「年間10日以下」の数も把握するようにしている。「年間10日以下」は小学校13名、中学校49名で、これらを合わせた小学校19名、中学校71名が、引きこもり傾向が強く、最も強い支援が必要な場合と考えている。
支援としては、スクールソーシャルワーカーの支援(上記)のほか、NPO法人学校支援さざんかの会に委託をし、青少年会館内に開設している「ふれあい夢のふなっこ」事業がある。退職校長等のベテランのスタッフと児童生徒と比較的年齢の近い学生ボランティアがペアになり、家庭訪問や教育相談を実施している。また県葛南教育事務所には、訪問支援可能な相談員が2名いて、場合によってはその協力も得ている。

 

終わりに 朝倉から

市議(文教委員)としては、上記各取り組みを発展させること、そして、要となるスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの充実を求める発言・質疑を市議会の中で続けていきます。
ただ、個人としての想いも述べたいと思います。
実は上の子が、小4の後半と、中1の1年間、不登校になり、当時の地元の小中学校の方々にはご相談いただいたり、地域の主任児童委員の助けをいただいたりしました。ただ、長期不登校の渦中にいる時には、(本人が一番不安だったと思いますが)「将来どうなるのか?」の不安の中にありました。結果的には小5、中2の節目で学校に復帰し、高校受験・高校進学・大学受験をクリアし、今は獣医学部で獣医を目指してがんばっています。私(と上の子)自身は、今は当時の不安から脱しましたが、あの時と同じ不安の中にいる当事者のサポートのために何かできないかと考え続けています。市の制度の全体像をまとめて発信しているこの記事がその試みに1つです。
当事者の皆様には、上記支援のいろいろな仕組みを利用しながら、また、1つの方法が合わなくても別の他の方法を探し続けることを願います。多彩な支援の中に、きっと、お子さんに合った方法があるのではないかと思います。
また、ご本人自身が「将来何になりたいのか?何をしたいのか?」を考え続けること(保護者としてはその願いを起点にお子さんと対話すること)が大きなきっかけになると思います。

実は、私は30年間、駿台予備学校という比較的に学力も中上位で医学部などを目指す受験生の勉強を教えてきましたが、その前に「東京アカデミー大検大学予備校」というところに勤め、大学入学資格検定(今の高認(高校卒業資格認定))の対策授業をしてきました。様々な事情で高校を中退した子たちを教え、その再出発を支援してきました。それぞれ、そこを起点にその後の人生を歩み、今はクイズや書写などの分野で活躍して生きている元生徒もいて、10代の辛い体験とその後の再出発が、人生の糧となってきました。皆様の今の辛い体験は将来の糧になるのではないかと思います。

具体的な支援の市の制度は上記の通りですが、それとは別に、私自身も学習面での支援に関わることは可能です。もし学校は無理でも学校外の場所に出かけられるお子さんでしたら、私自身が関わっている学習サポート(自習質問教室)が市内3カ所にありますので、ご相談ください。(info@asakura.chiba.jp 朝倉
また家からなかなか出られない子の支援は、上記の通りです。ネットを通じてという形でしたら、中学の勉強・高校入試対策に関しては以下を発信していますのでご活用ください。
(ただ、不登校・引きこもり傾向の原因の1つにネットやゲーム依存があると考えられています。その場合は、今相談されている期間とご相談の上、注意深くお伝えください。そうでない場合での中学生にお子さんには遠慮なくご紹介ください。)

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皆さんの人生の歩みを、応援しております。朝倉幹晴