2020年、センター生物、第4問問題・解答・解説(配点18点)
第4問解答(計18点) 問1(3点) 問2(3点) 問3(4点) 問4(4点) 問5 キ(2点) ク ケ コ(ク・ケ・コ全部正解のみ2点)
解説
問1解説
図に描くと以下のようになる。四角の面積がその生物の個体数を示し、違いを強調してある。また太い➡はその行為が多いこと、点線は少ないことを示す。もちろん図示するまでもなく頭の中・文字だけでわかればそれでもよいのですが、そのような頭の中・文字だけの思考では解けない人は、図にしてみるとわかりやすくなりますので、図示する工夫をしてみてください。
ワタの害虫であるアブラムシは甘露(かんろ)を分泌し餌としてヒアリに提供する。ヒアリはアブラムシの天敵であるテントウムシを攻撃することで、アブラムシをテントウムシによる捕食から守る。つまり、アブラムシとヒアリの間にはア(相利共生)の関係が成立している。ワタ畑からヒアリだけを駆除すると、テントウムシがヒアリに妨害されずにアブラムシを捕食できるのでアブラムシが減少し、アブラムシによるワタの食害はイ(減少)した。このことは、ヒアリがワタに及ぼす影響は間接的な種間関係によって生じていたことを示している。よって。(3点)
問2解説
下線部(a)(在来種の絶滅)に関連して、いったん個体数が少なくなると、個体群の絶滅する確率は高まる。これは、個体数が少ないこと自体が、新たな絶滅の要因を誘発するからである。誘発される絶滅の要因の説明として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
遺伝的多様性の低下。遺伝的多様性の減少で環境変化に適応できる個体の出現可能性が低くなり、少しの環境変化でも絶滅する可能性が高まる。 〇
「相変異による形態や行動の変化」は個体数の増減に対する対応であり、相変異で対応できる範囲では絶滅は起きない(絶滅しないためにも相変異がある)。
「種間競争の緩和」は個体数減少の時起きるが、これはむしろ生存とその後の繁殖による個体数の回復に貢献するので、絶滅の要因ではない。
問3解説
設問の文章の答を赤、加筆説明した重要用語を青で示す。
アリやハチのほか、ウ(シロアリ)などの社会性昆虫は、コロニーとよばれる社会性の集団を形成して生活している。同じコロニー内の個体は、フェロモンなどを用い、互いに密接なコミュニケーションを行っている。一般に、一つのコロニーは、ごく少数の女王と多数のエ(ワーカー)や兵隊によって構成される。こうした分業をカースト制という。なお、エ(ワーカー)は、多くのばあい、卵巣が退化するなど一生をとおして生殖能力をカ(持たない)。社会性昆虫は、女王が生んだ個体の集まった集団であり、女王を産んだ幼虫は、ワーカーにとっては自分の遺伝子を持っている個体であり、女王の産んだ幼虫を育てることが自分の遺伝子を残すことにつながる。
一方、哺乳類や鳥類などでは親以外の成体が子育てに協力する場合がある。このような繁殖様式を共同繁殖という。共同繁殖で子育てに協力する親以外の成体をオ(ヘルパー)という。ヘルパーは生殖能力を持ち続け、やがて自らも親となり子を産み育てることがある。ワーカーとヘルパーを間違えないこと。よって答は(4点)。
問4解説
成長量=純生産量ー(被食量+枯死量)を変形して
純生産量=成長量+被食量+枯死量。よって。(4点)
問5解説
虫なし区における成長量は、植物本来の成長能力の指標であると考えられる。そのため、富栄養植物は、貧栄養植物よりも、キ(富栄養土壌と貧栄養土壌の両方、)(2点)において成長能力が高いといえる。また、虫なし区と虫あり区の成長量の差が小さい植物ほど、被食防御の能力がク(高い、)と考えられる。そのため、富栄養植物は、貧栄養植物よりも、被食防御の能力がケ(低い、)といえる。一方、貧栄養植物は、成長能力は低く、被食防御の能力はコ(高い、)という特徴があると考えられる。(クケコ全部できて2点)
つまり、富栄養植物は成長能力は高いが昆虫に対する防御は低い(環境によって「浮き沈み」が激しい)。
一方、貧栄養植物は成長能力は低いが昆虫に対する防御は高い(どの環境でも「堅実」に成長できる)。