2021年大学入試共通テスト「生物」第2問(配点15点)問題・解答・解説

2021年4月 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

2022年以降の共通テスト「生物」を受験する人を含む大学入試「生物」選択者、物理選択で大学に入り、大学で生物を学ぶ必要がでてきた方、生物学に関心のある市民の方々に、以下解答解説をお届けします。ご活用ください。入試問題は白黒ですが、イメージ補強のため一部カラー化しました。

 

第2問 次の文章を読み、下の問い(問1~4)に答えよ。(配点計15点)

フロリダ半島には、アノールトカゲの在来種であるグリーンアノール(以下、グリーン)が生息しているが、ある時期にキューバやハバマから(a)外来生物のブラウンアノール(以下、ブラウン)が移入された。グリーンとブラウンはともに木の幹に生息するため、種間競争が生じている。この種間関係がグリーンに及ぼす影響を調べるため、グリーンのみが生息する複数の人工島において、実験1~3が行われた。

問1

下線部(a)に関する記述として誤っているものを、次ののうちから一つ選べ。

外来生物は、在来種との交雑により、在来種集団の遺伝的な固有性を損なうことがある。

外来生物は、ヒトの健康を脅かすことがある。

外来生物を駆除して生態系を復元する試みは、世界中でほぼ成功している。

外来生物は、移入されるまでは、在来種との間に共進化関係を有していない。

実験1

ある人工島に1995年にブラウンを導入し(以下、導入区)、別の人工島には導入しなかった(以下、非導入区)。導入区と非導入区において、グリーンとブラウンそれぞれの個体群密度の変化を追跡したところ、図1の結果が得られた。なお、この2種のアノールトカゲの寿命は約1年半で、互いに交雑せず、島から出ることもなかった。

問2

実験1の結果から導かれる考察として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。

ブラウンの急速な増加は、種内競争が促進されたことによる。

ブラウンは、導入から3年後には環境収容力に達した。

導入区でのグリーンの減少は、ブラウンの影響による。

導入区において、ブラウンとグリーンの合計個体数は、ブラウン導入前のグリーンの個体数とおおよそ等しくなり、安定した。

実験2

導入区と非導入区においてグリーンとブラウンが留まっていた幹の高さを3年間にわたって記録したところ、図2の結果が得られた。

実験3

アノールトカゲの指先には図3のような指先裏パッドがあり、その表面積が大きいと貼りつく力が強く、幹の高い位置に留まることができる。ブラウンの導入から15年後に、グリーンとブラウンが留まっていた幹の高さが図2と同様の傾向を示すことを確認したのち、導入区と非導入区からグリーンを採集し、指先裏パッドの表面積を比べた。また、それぞれのグリーンの雌から得た卵を同じ人工環境下で育て、子の指先裏パッドの表面積を比べたところ、図4の結果が得られた。

問3

実験2・実験3の結果から導かれる考察として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。

導入区のグリーンは、幹のより高い位置を利用するようになり、かつ指先裏パッドの表面積が増加した。

導入区と非導入区のグリーンはともに、幹のより高い位置を利用するようになり、かつ、指先裏パッドの表面積が増加した。

導入区のグリーンは、ブラウンとの競争により絶滅した。

ブラウンは、グリーンより指先裏パッドの表面積が大きいため、幹を利用する競争において優位であった。

問4

実験1~3の結果から導かれる考察として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。

ブラウンが導入されても、グリーンの個体群の存続には影響がないことが示された。

導入区と非導入区との間でみられたグリーンの指先裏パッドの違いは、世代を超えた変化によるものではなく、個体の成長の過程で生じたものである。
ブラウンとの種間競争の有無にかかわらず、グリーンは幹に貼りつく力を高める方向に進化すると予測される。

ブラウンの導入後15年間に、導入区のグリーンはブラウンとの生活空間を分割するようになり、その表現型が進化した。

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