がん遺伝子検査に基づく抗がん剤選択を行う医療を~2009年11月30日船橋市議会質疑から2017年2月28日船橋市議会質疑へ~

私は2009年11月30日の船橋市議会本会議で、がん治療、特に、がん遺伝子検査に基づく抗がん剤選択をという主旨で以下の質疑をしました。

●船橋市議会2009年11月30日、船橋市議会本会議質疑議事録(関連部分)

次に、がん検診について質問いたします。
 2008年度のがん検診の各検診の概要と各検診の受診率をお示しください。
 また、今後受診率を上昇させることについての施策がありましたらお示しください。
 肺がんについて、現在エックス線撮像による一般検診が行われていますが、エックス線撮像では死角が多く、また2センチメートル以下の腫瘍が発見しにくいです。今、肺がんの早期発見のためにはヘリカルCTの撮像が必要です。人間ドックなどではこれが行われていますが、約5万円の人間ドックを払わなければいけません。大企業などで会社が持ってくれる場合には受けられる、あるいは5万円払える人は受けられるけれど、市の一般検診では受けられないということで、肺がんの検査について格差が出ているのではないでしょうか。ぜひ、市が進める肺がん検診を小さな腫瘍でも発見できる可能性が多いヘリカルCTを使用する検診にかえていただき、早期発見を進めるべきではないでしょうか。少なくとも、肺がんのハイリスクグループである喫煙者についてはすぐにでも実施すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、医療センターでの緩和ケア病棟、がん診断、治療について質問いたします。
 緩和ケアの外来開設以来、何件の受診があったでしょうか。そして、ことし3月6日の質問で取り上げさせていただきましたが、千葉県がんセンターの患者図書館「にとな文庫」のように、患者家族の悩みに寄り添いながら調べ物ができる、そして、がん患者家族同士が意見を交換できるサロンや図書館、こういうスペースを広げていくべきだと思いますが、サロンの部屋だけは用意されているという話でしたが、その運営方向や図書館の設置についてどのような方向であるか、お聞かせください。
 がんの話を市民の方といろいろ対話していく中で、足の裏のほくろはがんになるといううわさを結構信じている方が多いということがわかりました。事実はどうでしょうか。確かに、足の裏、医学用語では足底と言いますが、日本人では10人に1人ほくろ状のものがあります。そして悪性黒色腫(メラノーマ)の3割が足底から発生しています。したがって、足底のほくろ状のものがすべてがんになるのではなく、鑑別が必要です。その鑑別に威力を発揮するのがダーモスコピーという拡大鏡です。足底にも手の指紋と同様に山と谷が交互に並んだ筋がありますが、ダーモスコピーで見ると、がんにならない良性のほくろ「母斑」は谷のほうが黒く、初期メラノーマは山のほうが黒く、鑑別が可能です。2004年に発表された、信州大、埼玉医大、東大の臨床データでその鑑別の有用性が確認され、ダーモスコピーは最近保険適用になりました。医療センター皮膚科のホームページにはダーモスコピーのことも簡単に掲載されていますが、保険適用後、何件に使用されましたでしょうか。また、不安で診療に来た人はともかく、なかなか気づかない場所ですので、市民への早期発見や診断の広報をどのようにしていくか、お聞かせください。
 そして、医療センターでの医療内容は、このダーモスコピーのように書いてくれていれば市民が検索できますが、今のところ、それほど充実しているように感じません。医療センターでどのような治療法が行われているのか、ホームページでの広報をしっかりしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、遺伝子情報での抗がん剤など、薬剤選択について質問いたします。
 現在、日本全国で約60万人の方ががんを発症し、30万人の方が毎年亡くなられています。そして、60万人のご家族まで含めれば、100万人以上の患者家族ががんに悩んでおります。そして今、そのがんの化学療法における薬剤選択については、残念ながら分子生物学で解明された成果が十分生かされているとは言えません。
 例えば、大腸がんの治療薬にセツキシマブ、商品名アービタックスというのがありますが、これはがん細胞の表面にくっついてがんの進行をとめるものです。しかし、がんの細胞内でがん化に働いているEASという遺伝子が過剰発現していると、いくら表面をとめても効果がありません。日本人の大腸がんでは、3~4割がKRAS遺伝子を発現しており、6~7割は発現していません。KEAS遺伝子変異を調べて、変異があればセツキシマブは使用せず、変異がなければ有効なので使用するのが遺伝子的には適切な使い方です。

図版(議事録には載っていないが追加掲載)

左図、細胞内のKRASが過剰活性化されていない場合。      
細胞外の増殖因子(赤●)の増加などが原因となっているので
それが細胞に受け止められるアンテナ(②受容体)を
セツキマシブ(青)で塞げば、増殖を阻害できる(有効)

右図 細胞内のKRASが過剰活性化してしまっている場合、
セツキシマブで受容体を塞いでも無効。

 医療センターで、そしてもう1つ代表例は乳がんの分子標的治療薬トラスツズマブです。ハーセプチンとも言いますが、これは乳がんのあるタイプに特異的に発現しているHER2という分子に特異的に結合してとめるものです。よって、HER2が発現している乳がんでは有効ですが、発現が低い乳がんでは無効です。
 このように、人によってがんのタイプは違いますので、それをきちんと遺伝子検査をした上で抗がん剤を選択していくという治療が一部で進められていますが、医療センターでは、この2つの例、実際に行っていますでしょうか。また、ほかに遺伝子情報や患者個別の情報に基づいたがん治療を行っていますでしょうか。今後の方向はどのように考えていますでしょうか、お聞かせください。
 今、がん患者は、確立された治療方法だけではなくて、いざとなったら、たとえ未確立でも、少しでも可能性があれば命をつないでいきたいということで治療法を選択されております。例えば、小説「命」の中で,
 作家柳美里は、師匠である東由多加の肺がん治療に関して、アメリカの情報検索も含めてさまざまな治験を調べております。医療センターでも治験の準備がなされていると思いますが、ぜひ治験を進めていっていただきたいと思いますが、一般の確立された治療法と異なる治験の特徴や意味を正確に伝えながら行っていくこと、その準備状況や基本方針をお示しください。
 次に、早期発見の1つの方法としてのがん遺伝子検査の可能性を質問いたします。
 近年、がん遺伝子情報の検査の流れの中で、ようやく発症前からがん関連遺伝子の挙動を把握する試みが進められてきました。その1つが東京の療心舎クリニックが進められているがん遺伝子検査です。私は、各市民がみずからの体内のがん関連遺伝子の挙動を早く把握し、みずからの予防や早期発見に役立てていく時代を一刻も早く進めたいと願っております。
 その願いに合わせて、本質問に合わせて、私自身のがん関連遺伝子の検査を行いました。一方で人間ドックの生化学検査も行ったところ、人間ドックの生化学検査においては、BMI23正常値、血液、尿検査すべて正常、代謝系正常ということで、至って健康なわけです。ところが、がん関連遺伝子について70の箇所を調べさせていただいたうち、私のがん関連遺伝子のうち6つが異常を示しております。61は正常です。私のように非常に健康体に見える人間でも、実は6つ変異が起こっております。
 実は、この議場の中の方でも、ほとんどの人ががんの何らかの遺伝子変異が初期の段階起こり始めております。ただ、私の場合は、たまたまがん促進遺伝子の代表例のラスというのと、がん抑制遺伝子の代表例のp53という一番かなめの遺伝子に異常がなかったので、まだ初期段階ということで、そんなに悲観はしておりませんが、これを早くから患者、市民が自分の検査の1つとして使い、予防に使っていけるようなことが必要ではないかと思います。
 具体的に、今の人間ドックの生化学検査との違いを説明いたします。大腸がんに関連しては、今行われている一般検査は便潜血検査です。大腸にがんができていれば便に潜血があらわれてくるだろうということを検査する。そして、腫瘍マーカー、血液の中の大腸がんに由来するCEAやCA19-9などが発現しているかどうかを調べるという方法です。私はこの2つは全く異常がありませんでしたが、先ほど言ったようにAPCという大腸がん関連遺伝子の1つがメチル化して不活性化しております。これががん抑制遺伝子なんですけど、不活性化しております。そういう情報が今の生化学検査と違う形で遺伝子検査によってわかり、早目に予防策をとることができます。まだ値段的に人間ドックよりも高い状態ですので、一般検診への応用は現時点では提案しません。ぜひ、この方法がもっと一般化し、一般検診に採用できるような段階になったときに改めて質問したいと思いますが、少なくとも医療センターの中で、がんの治療を求めている患者、市民、家族に対しては、選択肢の1つとして早期のがん遺伝子診断というやり方があることを伝え、準備すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、学校教育と遺伝子に関連して質問いたします。
 現在、改訂されつつある学習指導要領の中で、中学校でDNAを扱えるようになりました。現時点での船橋市での学校教育での遺伝子やDNAの取り扱い状態をお示しください。そして、これから、今の中学生、高校生たちが患者家族として病院の世話になる時代まで、10年、20年たつと──私がきょう言った話は多分まだ日本に一般化していない話ですが、10年後、20年後には一般化している話になっているはずです。ぜひ、そういう世代の生徒、学生たちには、遺伝子の基礎知識をきちんと伝えていっていただきたいと思います。遺伝子の基礎実験ができる部屋の確保を、プラネタリウムだけじゃなく、総合教育センターにすべきだと質問いたしましたが、改めてもう一度質問いたしますが、いかがでしょうか。
 また、近隣大学の遺伝子実験施設の講座に、船橋の中学生、高校生が参加するような機会もつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で第1問とさせていただきます。

  [副病院局長登壇]

◎副病院局長(工藤芳雄)
 医療センターにかかわるご質問に順次お答えをいたします。
 まず、緩和ケア内科外来の受診状況でございますけれども、外来は週1回、毎週月曜日に行っており、4月20日のオープンから現在まで受診者は2名8件でございました。
 次に、患者図書館等に関するご質問でございますが、既存病棟の改修もようやく終わり、新館4階を緩和ケア病棟とする改修を現在進めているところでございますが、限られたスペースの中で、施設に必要な新たな診療スペースや患者さんの待合室、リカバリー室の確保に加え、医療機器の更新に伴うスペースの増大など、各診療科から新たな要望が多数寄せられているのが実情です。
 現在は、患者さんやそのご家族の図書室の利用については、申し出により、院内図書室を利用できるようにしているところです。診療に必要なスペースの確保を第一と考えておりますことから、その中で患者図書室や図書の情報検索コーナーを設置するスペースが確保できるか、管理の面で問題がないか、医師が必要なときに閲覧できるか、院内に数カ所設置しているひまわり文庫を活用できないかなど、引き続き検討を加えているところでございます。また、新館5階の談話室は、がん患者さんやそのご家族が悩みや体験等を互いに語り合う場としてご利用いただくこととしております。
 次に、足裏のほくろはがんか、ダーモスコピーの使用状況ということでございますけれども、ダーモスコピーは、平成18年度の診療報酬改定の際に保険適用となりました。当センターの実施状況は、18年度は186件、19年度は159件、20年度は119件、21年度は10月末までで146件となっております。
 足底にできる悪性黒色腫については、まれな疾病であることから、この疾病だけについてのみ広報を行うことは現在のところ考えておりませんが、今後、当センターが開催する公開医療講座の中で取り上げていければと考えております。
 次、がん治療に関するホームページに関するご質問でございますけれども、医療センターのホームページは本年10月1日にリニューアルし、従来にも増して各診療科の紹介に力を入れ、専門的になり過ぎず、できるだけわかりやすい表現、見やすい情報量での情報発信に努めております。がん治療の当センターの取り組みにつきましても、診療科において個別に掲載しておりますので、引き続き最新の情報の発信に努めてまいります。
 次に、遺伝子検査についてのご質問にお答えをいたします。
 セツキシマブ使用前のKラス遺伝子変異検査は、財団法人パブリックヘルスリサーチセンターにおいて研究が進められており、当センターもその研究協力医療機関として登録し、Kラス遺伝子変異検査を行っております。また、ハーセプチン使用前のHER2発現検査は、当センターにおいて行っております。
 ほかに、遺伝子情報、患者個別のたんぱく質発現情報などに基づいたがん治療を行っているかとのご質問ですが、先ほどの2種類の検査以外はがん治療の分野において有効性が明確となっていないことから、現在のところ行っておりません。今後につきましては、臨床研究が進展し、有効性が明確となり、診断・治療方法が確立された時点で対応していく必要があると考えております。
 次に、治験に関するご質問がございました。
 当センターの治験実施に向けた現在の準備状況ですが、22年4月からの実施に向けて、本年10月1日に臨床研修部(後刻「臨床研究部」と訂正許可)の下に治験管理室を設け、準備を開始したところです。具体的には、治験管理室において、治験実施に必要な手続として、当センターの治験にかかわる方向性や審査委員会の設置などを定めた受託研究取扱要綱や治験にかかわる標準業務手順書、治験審査委員会標準手順書の作成を開始しております。今後、院内での周知のための勉強会の開催やオーダーリングシステムの修正、外部委員を含んだ治験審査委員会の設置などを進めていく予定です。
 基本方針としましては、当センターの臨床試験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則や薬事法に規定する医薬品の臨床試験の実施の基準、医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施に関する基準、医療機器の臨床試験の実施に関する基準に基づき実施してまいります。したがって、治験につきましては、第2相及び第3相臨床試験を医薬品の臨床試験の実施の基準に沿って実施することとしており、現段階では研究段階で可能性が示されている方法で実施することは考えておりません。しかし、今後取り組むべき課題の1つであるとは考えております。
 次に、がん遺伝子検査を研究・準備すべきとのご質問にお答えをいたします。
 当センターは独自の研究施設を持っておりませんので、ご質問の検査を研究することは考えておりません。
 以上でございます。
      [学校教育部長登壇]

◎学校教育部長(阿部裕)
 学校教育と遺伝子についてのご質問に順次お答えいたします。
 初めに、現時点での船橋市の中学校における遺伝子・DNAの学習についてでございますが、平成24年度から全面実施される中学校理科学習指導要領では、高等学校との接続に配慮し、内容の系統性を確保するため、これまでの遺伝に関する学習に加え、「遺伝の規則性と遺伝子」の内容が追加されました。そのねらいは、遺伝現象に目を向けさせ、親から子へ形質が伝わることによって生命の連続性について認識を深めることです。ここでは、生物が親から遺伝子を受け継ぎ、遺伝子は世代を超えて伝えられることを扱い、またDNAについては、遺伝子の本体がDNAであることにも触れることとされています。
 この移行措置として、今年度から中学校理科学習指導要領の一部が先行実施され、船橋市においても、各学校で新学習指導要領に準拠した平成21年度版移行教材を補助教材として使用し、中学校3学年で遺伝の規則性や遺伝子とDNAなどについて10時間程度の遺伝学習を行っております。
 次に、市総合教育センター内に遺伝子の基礎実験ができる部屋の設置を考えるべきとのご質問でございますが、中学校理科新学習指導要領では、DNAを含む遺伝子の学習につきましては、分離の法則を扱うこと、遺伝子に変化が起きて形質が変化することや遺伝子の本体がDNAという物質であることにも触れるとなっており、実験や観察を通して生徒の理解を深める扱いとはなっておりません。このため、現在のところ、総合教育センターに遺伝子の基礎実験ができる部屋の設置は考えておりません。
 また、近隣大学の遺伝子実験講座への参加につきましては、今後、情報を収集するなどして、船橋市立中学校・高等学校に紹介してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
      [朝倉幹晴議員登壇]

◆朝倉幹晴 議員  
 ご答弁ありがとうございました。
 公民館で多くの自然観察講座が行われ、大人や子供の啓発に役立っているというお話をお聞きしました。私も、生物の教師をやってきて、これまで自然観察講座をやったこともありますが、今でも、小学生の保護者に頼まれて三番瀬に行ったりすることがありますが、私の今の役割としては、もう既に公民館でさまざまな方が自然観察講座をやられていますので、私の役割としては、やはり一番わかりにくいと言われている医療と遺伝子の世界を、政治と生物学のはざまにいる者として訴えていきたいというふうに考えております。
 衆議院議員の故山本孝史さんは、全国交通事故遺族の会にも参加した交通事故の遺族でもあります。彼は、みずからががんになったということを議場で告白され、その中でがん対策基本法ができました。私も、がんが発症しているわけじゃありませんが、私自身のがん遺伝子の動きをこの議場で説明することにより、ぜひ、将来においてがん遺伝子の情報に基づく医療が一刻も早く進んでいくことを願いたいと思います。
 先日、千葉県がんセンターのがん研究者の方とお話しさせていただき、ご推薦で日本癌学会にも入会することができました。そのとき聞いた話ですが、千葉県では、前堂本知事の時代に、2009年度予算で、がん遺伝子の県民統計30万人調査、30年調査という基礎予算が認められ、これから千葉県でがん遺伝子情報に基づく治療を行っていく基礎資料となるはずでした。ところが、森田知事になり、この予算が凍結されてしまってショックを受けているとのことです。あきらめずに要求し続けることをアドバイスいたしましたが、森田知事にしろ、今の民主党政権にしろ、科学技術や医療研究の重要性を認識していない動きが近年多く報道され、私の友人や元生徒の生物医療研究者も不安を募らせています。ぜひ、政治の世界でも、医療の基礎研究の重要性を認識し、進めていくことを求めていきたいと思います。
 そして当面、緩和ケア病棟が始まるに当たってぜひ訴えたいことが患者図書館の充実です。「がんで「困った」ときに開く本2010」というのがありましたが、この中で、千葉県がんセンター「にとな文庫」の下原さんの記事が紹介されております。下原さんは、みずからが大学の医学部図書館の司書であった経験、そして、みずからもがん患者となった経験から、今、そこの患者図書館に来るがんの患者家族に対して非常に親身になってアドバイスしています。これは、医療者がやる個室での専門的な、密室の、ある意味での個室のアドバイスとは違って、がん患者同士が自然に図書館の中で調べ物をしながら情報交換をして、励まし合いながら、司書さんのアドバイスも聞きながら、がんに前向きに取り組んでいく積極的な部屋です。単に本が置いてあるだけの部屋ではありません。ぜひ、このような取り組みを医療センターで進めていっていただきたいと思います。これについては要望にいたします。(予定時間終了2分前の合図)
 次に、教育分野の話ですが、徐々に進められているということなんですが、1つご提案したいのは、遺伝子という話は現在のところまだ遠い話のように感じられていると思いますが、一番身近な話がお酒に対する体質です。日本人の5割が酒に強いタイプ、4割がちょっとだけ飲めるタイプ、1割は非常に弱いタイプです。これが今遺伝子検査でわかることができます。
 今、大学受験を終え、夢と希望に満ちあふれて入った新入生が、大学のサークルのコンパで一気飲みをさせられ、命を落とすという事件が続いております。このような事件を防ぐためには、やはり、船橋の高校生あるいは成人した時点で、アルコール体質のALDHの検査を行い、みずからのアルコール体質に対する遺伝子を調べ、その情報を持ってきちんと大学に行く、そして大学のサークルの先輩にもそれをきちんと見せて、お酒に対するつき合いを、特に弱いタイプ、この1割の人が本当に急性アルコール中毒になって死ぬわけです。そういう人は、この遺伝子検査の結果を証明として持っていることで、そういう一気飲みの突然死を防ぐことができますので、そういうところから遺伝子検査の重要性を教育委員会が1つのきっかけとして訴えていくことを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
      [副病院局長登壇]

◎副病院局長(工藤芳雄)
 申しわけございません。先ほどの答弁の中でちょっと間違えましたので、訂正をお願いしたいと思います。
 先ほど、治験に関するお尋ねの中で、その答弁の中で「10月1日に臨床研究部の下に治験管理室を設け」と言うべきところを「臨床研修部」と発言をいたしました。正しくは「臨床研究部」でございます。ご訂正願います。申しわけございませんでした。

この質疑後、2010年4月にKRAS遺伝子検査が保険適応されました。
2010年4月、KRAS遺伝子検査保険適応

更に2015年4月には全てのRASの遺伝子検査が保険適応されました。

2015年4月、全てにRAS遺伝子変異検査に関し保険適応

更に、船橋市立医療センターに導入された最新の遺伝子分析装置(下記)による遺伝子解析が治療に与える影響について2017年2月28日に質疑します。

8年を経て、この問題に関する医療界の状況がどのように変化したか、今後どうなるかについてご注目いただきながら質疑をご覧いただけると幸いです。