2024年 #大学入試 #共通テスト #生物基礎、第1問B(6点)、問題・解答・解説

[解説]
問4

 

体細胞分裂の光学顕微鏡像とその際の、細胞1個当たりのDNA量の変化のグラフや染色体の動きを重ね合わせると以下のようになる。

まず、1つの細胞が2つの細胞に分裂するのに要する時間を細胞周期という。細胞は1つの細胞の中に核がはっきり存在する時期(間期)と、核膜が消失し、染色体というヒモが動いた上で細胞が2つに分かれる時期(分裂期)を交互に繰り返す。
間期は、細胞は少しずつ成長し大きくなるが、核には変化がないように見えるが3つの時期に分けられる。
・G1期(DNA合成準備期) DNAの合成のための酵素などの準備をする時期
・S期(DNA合成期) DNAを複製し2倍にする時期
・G2期(分裂準備期)細胞分裂のための準備をする時期。

分裂期には、遺伝子をのせたDNAは(ヒストンという折り畳みのためのタンパク質と結合し)、染色体というヒモの形になる。

しかし、分裂が終了し、間期になるとその染色体(ヒモ)は見えない。いしかし特殊な薬剤で処理すると間期の状態でも染色体を出現させることができる。
そこで、G1期、S期、G2期に仮に染色体を出現させたらどうなるかを図に示した。G1期にあった染色体は、S期に少しずつ複製され(図では上から順に複製されるようにその途中を描いたが、わかりやすくするためのモデルであって本当の複製の方法は異なる)、S期を終え、G2期にあると、G1期にあった染色体がそれぞれ複製され、原本と複製(コピー)が束ねられたような「X字型」の染色体になる。(原本と複製(コピー)という表現も正確ではないが「生物基礎」の方はその理解で乗り切れる。「生物」まで勉強する方は「反保存的複製」の項目を確認してください。)
そしてこの「X字型」の染色体が分裂期に出現し、それを中期で赤道面(真ん中)に並べ、「X児型」の真ん中でほどき、1本ずつを分裂する2つの細胞(娘細胞という)側に引きつけ、再び核に収納し分裂が終了する。S期でコピーし束ね、分裂期(中期→後期→終期)で2つの細胞に分配するので、もとの細胞と同じDNAを持った細胞が2個になる。

問4は、紫外線照射によって細胞周期が一時停止する実験である。しかし、自然状態でも、細胞はある頻度でDNAに損傷を受けたり、分裂中期・後期での染色体の分配が異常になることがある。それを放置すると、生命活動を維持できなかったり、正常細胞ががん細胞化することがある。そこで、細胞は、G1期にDNAの損傷状態をチェックし修復させる時間をとる「G1チェックポイント」、分裂中期に染色体の分配の前提となる中期の並びや紡錘糸の張りをチェックする「分裂中期チェックポイント」がある。

問4では、「紫外線によって損傷を受けたDNAが修復された」とあるので、G1チェックポイントでG1期のまま一時停止し、その状態でDNAの損傷を回復させた後、S期に入ったと考えられる。
よって

問5

15時間後は核があり(染色体としては見えず)、細胞も小さいのでG1期である。

26時間後はDNA量(相対値)が2となり、「X字型」の染色体が見られる分裂期である。通常の細胞周期ならば次のG1期やS期に入ってもよい40時間後は、分裂期の26時間後と同様、細胞あたりのDNA量は減らず、染色体も「X字型」のままである。つまり、分裂期の中期→後期→終期の、染色体分配が進んでいないことを示している。よって、