2019年大学入試センター試験「生物」第6問(遺伝子)問題・解答・解説(配点10点・選択)
入試問題は白黒ですが、せっかくの画面上ですので一部カラーにしました。
第6問 DNAの複製と遺伝情報の転写・発現に関する次の文章を読み、下の問い(問1~3)に答えよ。(選択・10点)
細胞の増殖に伴って、aDNAは複製され、子孫の細胞へ受け継がれる。遺伝情報(遺伝子)は、bRNAへと転写され、さらにタンパク質に翻訳される。c遺伝子の転写は、多くの場合、決まった細胞や組織で起こるように制御されている。
問1 下線部aに関連して、次の文章中のア・イに入る数値と語の組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。1(3点)
DNAの複製に関して次の実験を行った。ある物質で標識したヌクレオチド(標識ヌクレオチド)を含む培地で大腸菌を37℃で一晩培養し、DNA中のヌクレオチドをほぼすべて標識ヌクレオチドに置き換えた。その後、標識ヌクレオチドを含まない培地に移して培養し、大腸菌を1回だけ分裂させた。1回の分裂直後、標識ヌクレオチドを含むゲノムDNAをもつ大腸菌の割合は、ア%である。
DNAの複製において、DNA鎖を合成する酵素は、DNA鎖の5´末端から3´末端の方向へ一方向にしかDNAを合成できない。複製されるDNA鎖のうちイ鎖とよばれるDNA鎖は連続的に合成が行われるが、もう一方の鎖は、岡崎フラグメントとよばれる短いDNA鎖が断続的に合成された後に、それらが連結されることによって複製される。
問2 下線部bに関連して、次の文章中のウ・エに入る記号と数値の組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。2(3点)
図1は、ある短いタンパク質の全長をコードするDNA領域(開始コドンと終止コドンを含む)を示している。図1の二本鎖DNAのa鎖、b鎖のうち、記号の鋳型となるのはウ鎖である。このタンパク質を構成するアミノ酸の数は、エ個である。なお、鋳型となるDNA鎖は3´末端から5´末端方向へ読み取られ、RNAは5´末端から3´末端方向へ合成される。スプライシングは起こらず、どのアミノ酸も翻訳後に除かれることはないものとする。開始コドンはAUG、終止コドンはUAA、UGAおよびUAGである。
問3 下線部cに関連して、次の文章中のオ・カに入る語の組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。3(4点)
哺乳類や魚類をはじめおおくの動物で、外来の遺伝子をゲノム中に組み込んだ生物(トランスジェニック生物)が作られている。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発言するようなトランスジェニックマウスもその一例である。マウスの神経細胞で発現する遺伝子Zを例にとると、神経細胞でGFPを発現するトランスジェニックマウスを作製するには、GFPをコードする遺伝子と、遺伝子Zの転写の調節配列を連結したDNAを作製し、このDNAをマウスの受精卵へ注入する。転写の調節配列のうち、RNAポリメラ―ゼが認識して結合する領域をオという。
注入されたDNAは、何回か細胞分裂を経たのちにゲノムへ組み込まれる。そのため、DNAを注入した受精卵から育ったマウス(F0世代)は、からだの一部の細胞にしか外来のDNAをもたない。外来DNAがカ細胞のゲノムに組み込まれていた場合にのみ、F0マウスの産む子に、注入されたDNAをもつ子孫が出現する。
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