2022年大学入試共通テスト「生物」第5問、問題、解答、解説(計16点)

2022年7月 予備校講師、船橋市議 朝倉幹晴

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2022年大学入試共通テスト「生物」第5問(計16点)

第5問 次の文章を読み、後の問い(問1~4)に答えよ。

 

a)被子植物は、植物の中で最も多様化している。この理由の一つは、動物を利用することで、花粉をほかの個体の柱頭へと付着させ、(b)有性生殖によって子孫を残す効率を高めることができる仕組みを獲得したためである。例えば、被子植物に見られる多様な花の色や模様は、花粉を運ぶ動物(送粉者)に花の存在や、餌となる蜜や花粉のあり方を知らせることで、送粉者を効率よく誘引することに役立つ特徴である。
被子植物の主要な送粉者である昆虫は、ヒトが感知できない花の色や模様を目印に訪花する。これは、ヒトと昆虫とでは(c)視細胞の発生過程が異なるだけでなく、(d)昆虫は紫外線を感知できる視細胞を持つためである。このように、私たちヒトが感知できない情報のやり取りも、生物の多様化に関与している。

問1 下線部(a)に関連して、次の記述のうち、被子植物がほかの植物と共通して持つ特徴などれか。それを過不足なく含むのものを、後ののうちから一つ選べ。(4点)
表皮がクチクラ(クチクラ層)で覆われる。
シャジクモ類と同じ光合成色素を持つ。
果実の中に種子がつくられる。

問2 下線部に関連して、有性生殖が多様な遺伝子型をつくる仕組みに関する次の文章中のア・イに入る数値として最も適当なものを、後ののうちからそれぞれ一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。(2点×2=4点)

ある常染色体に、三つの連鎖した遺伝子座が存在し、それぞれで対立遺伝子がヘテロ接合している個体を想定する。この個体が形成する配偶子における対立遺伝子の組合せの種類は、減数分裂の際に相同染色体の乗換えが全く起こらない場合には種類であり、乗換えが自由に起こった場合には最大種類になる。こうした相同染色体の乗換えによる遺伝子の組換えは、減数分裂の際に全ての染色体で起こるため、有性生殖により多様な遺伝子型を持つ子孫がつくられる。

問3 下線部(c)に関連して、ショウジョウバエの眼は、複数の個眼から構成される複眼であり、各個眼には視細胞としてR1~R8の光受容細胞が1個ずつある。8個の光受容細胞はR1~R6、R7、R8の3種類に大別され、それぞれ異なる波長の光に反応する。遺伝子Xが働かない変異体Xと、遺伝子Yが働かない変異体Yでは、R1~R6とR8は正常に分化するが、R7は分化しなくなる。遺伝子Xと遺伝子Yに関する次の考察を導くための実験として適当でないものを、後ののうちから一つ選べ。(4点)

将来R7になる細胞において遺伝子Xからつくられるタンパク質Xが、R8において遺伝子Yからつくられるタンパク質Yの受容体として働き、R7の分化が誘導される。

タンパク質Xが細胞のどこに存在するかを調べる。
遺伝子XのmRNAがどの細胞で転写されているかを調べる。
遺伝子Xの発現をどの細胞で阻害したら、R7が分化しなくなるかを調べる。
遺伝子Yの発現をどの細胞で阻害したら、R7が分化しなくなるか調べる。
タンパク質Xが遺伝子Yの転写調節領域に結合するかを調べる。

問4 下線部(d)に関連して、野生型のショウジョウバエと問3の変異体Yとを用いて、実験1を行った。後の記述d~fのうち、実験1の結果から導かれる、ショウジョウバエの光走性と光受容細胞に関する考察はどれか。それを過不足なく含むものを、後ののうちから一つ選べ。(4点)

実験1 暗所において、図1のように、透明な容器の中心に野生型または変異体Yを入れ、光を照射せずに1分間放置したところ、どちらも容器全体に一様に広がった。次に、容器に一定の可視光や紫外線を照射して1分間放置したところ、ショウジョウバエの分布は図2のようになった。

紫外線に対する正の光走性には、R7が紫外線に反応することが必要である。
R7が分化しないと、紫外線に対して負の光走性を示す。
可視光に対する正の光走性には、R1~R8の全てが分化する必要がある。

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