2022年大学入試共通テスト「生物」第5問、問題、解答、解説(計16点)


【解説】

問1

表皮がクチクラ(クチクラ層)で覆われる。
陸上植物(コケ、シダ、裸子、被子)に共通した特徴で、表皮系を保護し水の過剰な蒸発を防いでいる。(コケは維管束は未発達だが、クチクラ層はある。)

シャジクモ類と同じ光合成色素を持つ。
ミドリムシ植物、緑藻、シャジクモは陸上化したコケ、シダ、裸子、被子と同じ系統で、クロロフィルa・bを持つ共通の特徴を持つ。

果実の中に種子がつくられる。
胚珠(将来、種子になる)が子房(将来、果実になる)に覆われた被子植物のみの特徴で、同じ書士植物でも胚珠が裸出している裸子植物や、種子を作らないコケ・シダ植物にはない性質である。

よってほかの植物と共通して持つ特徴は、

問2

遺伝子A,B,Cが連鎖して、a,b,cが連鎖した染色体がヘテロ接合体になっている個体で考えると
乗り換えが起こらない場合の配偶子の遺伝子型(遺伝子の組合せ)はABCかabcの2種類
乗り換えが頻繁に起きった場合の配偶子の遺伝子型(遺伝子の組合せ)は、ABC、abc、ABc、abC、Abc、aBC、AbC、aBcの8種類、となる。

問3

「遺伝子Xが働かない変異体Xと、遺伝子Yが働かない変異体Yでは、R1~R6とR8は正常に分化するが、R7は分化しなくなる。」とあるので、R7の分化には、遺伝子Xと遺伝子Yの両方の働きが必要とわかる。

「将来R7になる細胞において遺伝子Xからつくられるタンパク質Xが、R8において遺伝子Yからつくられるタンパク質Yの受容体として働き、R7の分化が誘導される。」という記述から、以下の流れが推定できる。


なお、変異体Yでも、R8は分化するので、タンパク質Yは(それを転写・翻訳している)R8細胞自体の分化には不必要であることも確認しておいてほしい。

 

次に問題の選択肢が、上記に図示した遺伝子Xと遺伝子Yに関する考察を導く実験として適当かどうか考えてみる。

タンパク質Xが細胞のどこに存在するかを調べる。
→文章からYが細胞外に分泌されるタンパク質で、細胞膜を通過できないので、R7前駆細胞の表面に発現する、つまり膜に埋めこまれた膜タンパク質となることを確かめることで、考察を裏付けることができる。考察を導く実験として適当。
遺伝子XのmRNAがどの細胞で転写されているかを調べる。→遺伝子XのmRNAがR7前駆細胞で転写されていることを確かめるることで、考察を裏付けることができる。考察を導く実験として適当。

遺伝子Xの発現をどの細胞で阻害したら、R7が分化しなくなるかを調べる。→とくにR7前駆細胞で阻害すると、R7細胞への分化が阻害されること(それ以外の細胞での阻害では影響が少ないこと)を確かめることで考察を裏付けることができる。考察を導く実験として適当。
遺伝子Yの発現をどの細胞で阻害したら、R7が分化しなくなるか調べる。→とくにR8細胞で阻害すると、R7への分化が阻害されること(それ以外の細胞での阻害では影響が少ないこと)を確かめることで考察を裏付けることができる。考察を導く実験として適当。
タンパク質Xが遺伝子Yの転写調節領域に結合するかを調べる。
タンパク質Xは受容体としてタンパク質Yに結合する。タンパク質Xが調節タンパク質として遺伝子Yの転写調節領域に結合するという流れは考察と矛盾する。考察を導く実験として「不適当」。
よって不適当なものは、

 

問4

選択肢を考察すると

紫外線に対する正の光走性には、R7が紫外線に反応することが必要である。
→R7がない変異体Yでは正の光走性が消失する。よって正しい。
R7が分化しないと、紫外線に対して負の光走性を示す。
→「負の光走性」とは光から逃げることである。R7が分化しない変異体Yは、紫外線に対する「正の光走性」が失われ無反応となっただけであり。紫外線から逃げる「負の光走性」となったわけではない。
よって、誤り。
可視光に対する正の光走性には、R1~R8の全てが分化する必要がある。
→可視光に対する正の光走性は、R7がない変異体Yでも持っているので、R1~R6、R8があれば十分である。R1~R8全てが分化する必要はない。よって、誤り。
よって、