2020年、大学入試センター生物第1問問題・解答・解説(配点18点)

目次

2020年、大学入試センター生物第1問(計18点)

 

生命現象と物質に関する次の文章(A・B)を読み、下の問い(問1~5)に答えよ。

A タンパク質の遺伝情報は、遺伝子としてDNAに書き込まれている。発現する遺伝子の種類とその発現量は、環境の変化に応じて調節されている。遺伝子発現の調節されている。遺伝子発現の調節においては、転写の段階での調節が重要である。(a原核生物における遺伝子発現の調節と(b真核生物における遺伝子発現の調節には、それぞれ特徴的なしくみがある。

問1(1) 下線部(a)に関して、次の文章中のア~ウに入る語の組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。(3点)

大腸菌では、機能的に関連のある遺伝子が隣接して存在し、まとめて転写の調節を受けることがある。例えば、ラクトースを栄養源として利用するために必要な複数の遺伝子が、まとめて転写の調節を受ける。このような遺伝子群のまとまりをアという。において、転写に関わる塩基配列のうち、RNAポリメラーゼが結合する領域をプロモーターといい、リプレッサーが結合する領域をという。リプレッサーがに結合すると、転写がされる。

問2(2) 下線部(a)に関して、大腸菌がラクトースを栄養源として利用するために、ラクトースを分解する酵素の遺伝子の転写を調節するしくみの記述として最も適当なものを、次の

のうちから一つ選べ。(4点)

RNAポリメラーゼは、ラクトースに由来する物質と結合することによって、プロモーターに結合できるようになる。
RNAポリメラーゼは、ラクトースに由来する物質と結合することによって、プロモーターに結合できなくなる。
リプレッサーは、ラクトースに由来する物質と結合することによって、プロモーターに結合できるようになる。
リプレッサーは、ラクトースに由来する物質と結合することによって、プロモーターに結合できなくなる。
ラクトースが存在するときは、リプレッサーがつくられない。
ラクトースが存在しないときは、リプレッサーがつくられない。

 

問3(3) 下線部(b)に関して、次の文章中のエ~カに入る語の組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。(3点)

真核生物の染色体では、DNAがに巻きついて、ヌクレオソームとよばれる構造となり、これが密に折りたたまれている。この折りたたみがゆるめられ、プロモーターにとRNAポリメラーゼとが結合して、転写が開始される。多くの場合、転写によって合成されたRNAの塩基配列の一部がにおいて取り除かれ、mRNAとなる。この過程をスプライシングという。

 


B 動物のからだを構成する細胞(体細胞)は成長し、二つの娘細胞へと分裂する。この一連の過程で、複製された染色体は等しく分配される。細胞は、「DNAの複製を行う時間」、「DNAの複製完了から分裂開始までの時間」、「分裂期」、および「分裂完了からDNAの複製開始までの時期」の4つの時期を繰り返す。これを細胞周期という。細胞周期に関する実験1を行った。

実験1 ある動物細胞を培養し、10時間ごとに細胞密度(培養液1mLあたりの細胞数)を調べたところ、図1の結果が得られた。培養開始から50時間後に細胞を一部採取し、DNAを染色して観察したところ、凝集した染色体をもつ細胞が10%見られた。

 

問4(4) 実験1で観察された細胞の細胞周期の中で、「分裂期」に要する時間として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(4点)

1  2  5  10  20  50  100

問5(5) 実験1に関して、図1の培養開始から50時間後の細胞の集団における細胞あたりのDNA量を調べたところ、図2の結果が得られた。下の文章中のキ~ケに入る記号の組合せとして最も適当なものを、下ののうちから一つ選べ。(4点)

 

細胞あたりのDNA量が、A、B、およびCの範囲において、の範囲にある細胞は、「DNAの複製を行う時間」の細胞である。の範囲になる細胞は、「DNAの複製完了から分裂開始までの時期」または「分裂期」の細胞である。の範囲にある細胞は、「分裂完了からDNAの複製開始までの時期」の細胞である。(3点)

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