2020年大学入試センター「生物」第3問B(9点分)(植物ホルモン)問題・解答・解説

2020年10月 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴

同じ第3問でもA(動物)とB(植物)は、「刺激に対する応答」という意味では共通してはいますが、実質内容としては異なる部分が多いので、独立に解答・解説をします。

2020年大学入試センター「生物」第3問B(植物ホルモン・配点9点分)です。

 植物が水分不足によって乾燥ストレスを受けると、植物体内からの水分損失を防ぐために気孔を閉じるとともに、様々な遺伝子の発現が変化し、乾燥に耐えようとする。この乾燥耐性には植物ホルモンの一つであるアブシシン酸が関わっており、植物体内でアブシシン酸が合成され、アブシシン酸の受容・情報伝達が適切に行われると、乾燥耐性が誘導される。乾燥ストレスとアブシシン酸の関係をさらに調べるため、乾燥耐性が著しく低下したシロイヌナズナの変異体Cお呼び変異体Dを用いて、実験5・実験6を行った。

実験5 シロイヌナズナの野生型植物、変異体C、および変異体Dに対し、土壌中の水分を10日間制限することで乾燥ストレスを与えた。対照実験として、乾燥ストレスを与えない実験も実施した。その後、全ての植物を回収し、それぞれについてアブシシン酸の量を測定したところ、図1の結果が得られた。

実験6 遺伝子Xは、シロイヌナズナにアブシシン酸を処理したときに発現量が増加する代表的な遺伝子であり、アブシシン酸が作用していることを直接的に示す指標として用いられる。野生型植物、変異体C、および変異体Dを用意し、適当な濃度のアブシシン酸を噴霧した。対照実験として、アブシシン酸を噴霧しない実験も実施した。10時間後、それぞれの植物における遺伝子Xの発現量を測定したところ、図2の結果が得られた。

問4 実験5の結果から導かれる。乾燥ストレスを受けたときの変異体Cおよび変異体Dにおけるアブシシン酸の合成に関する考察として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。(配点3点)
変異体Cおよび変異体Dでは、ともに正常である。
変異体Cでは正常で、変異体Dでは異常である。
変異体Cおよび変異体Dでは、ともに異常である。
変異体Cでは異常で、変異体Dでは正常である。

問5 実験5・実験6の結果をふまえて、アブシシン酸を噴霧したときに予想される変異体Cおよび変異体Dの乾燥耐性の記述として最も適当なものを次ののうちから一つ選べ。(配点3点)
変異体Cおよび変異体Dの乾燥耐性は、ともに回復する。

変異体Cの乾燥耐性は回復するが、変異体Dの乾燥耐性は回復しない。
変異体Cの乾燥耐性は回復しないが、変異体Dの乾燥耐性は回復する。
変異体Cおよび変異体Dの乾燥耐性は、ともに回復しない。

問6 下線部dに関連して、種子の発芽に関する次の文章中のア~ウに入る語の組合せとして最も適当なものを、下ののうちから選べ。                     (配点3点)

アブシシン酸は種子の発芽を抑制するのに対し、ジベレリンは種子の発芽を促進する。例えば、オオムギ種子が吸水すると、で合成されたジベレリンはにはたらきかけてアミラーゼの合成を誘導し、に貯蔵されているデンプンを分解する。