共通テスト「生物」第2回試行調査第4問(個体群)(配点18点)問題・解答・解説
2020年12月 予備校講師・船橋市議 朝倉幹晴
2018年11月に実施された第2回共通テスト試行調査の第4問(個体群)の問題(18点配点)です。あと約1か月後のはじめての共通テストの問題傾向を把握してください。
試験問題は白黒印刷ですが、せっかくの画面上なので、一部をカラーにしました。
第4問 次の文章を読み、下の問い(問1~5)に答えよ。
ある市郊外の広大な草原に生息しているリス科の小動物(以下、リス)は、この地方の象徴として愛されている。先頃、草原の近くに商業施設を誘致し、生息地を分断して道路を建設する計画が持ち上がった。「豊かな財政と高い生物多様性を市にもたらす」が公約の市長は難しい判断を迫られることになった。「分断しても全体の面積はほとんど変わらないが、分断によって、a生息地が細分化されたり、b個体群が小さな集団に分けられたりするだろう。このまま計画を進めても大丈夫だろうか」と懸念した市民は、調査官としてあなたを招き、リスの個体群の状態と生息地の分断の影響について、調査を依頼した。次の表1は、あなたが調査した結果をもとに作成したリスの生命表である。ただし、6歳以上の個体はいなかった。なお、表1ではオスとメスを区別せずに示している。
問1 表1のℓxmxから推定される、リスの個体群の大きさの変化に関する記述として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
(配点3点、正答率16.6%)
年ごとに増加と減少を繰り返し、その振れ幅は年々増加している。
年ごとに増加と減少を繰り返し、その振れ幅は年々減少している。
問2 表1のデータをもとに描いたリスの生存曲線として最も適当なものを、次ののうちから一つ選べ。
(配点3点、正答率30.8%)
問3 下線部aに関連して、次の生態学的な指標a~cのうち、リスの生息地が分断されて小さくなるほど減少すると考えられる指標はどれか。それらを過不足なく含むものを、下ののうちから一つ選べ。(配点4点、正答率16.6%)
a、各生息地のリスの個体群の環境収容力(ある環境が維持できる個体数の上限)
b、各生息地のリスの捕食者の個体数
c、各生息地の生息環境の多様性
問4 下線部bに関連して、生息地が分断されて個体群が小さくなることで、絶滅のリスクが上昇する理由として適当なものを、次のうちから二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。(配点4点、両方正答の場合のみ正答、正答率26.3%)
問5 下線部bに関連して、世代の経過とともに各小集団の遺伝子型の構成が変化することで、遺伝的多様性に影響する場合を考える。次の図1は、ある集団から無作為に抽出した20個体について、ある遺伝子座の遺伝子型の構成を塩基配列で表している。この集団が多くの小集団に分断され、それ以降多くの世代が経過したとする。その時点で無作為に複数の小集団について調べたときに、各小集団の遺伝子型の構成として現れる可能性が最も低いものを、下ののうちから一つ選べ。ただし、これらの遺伝子型は、自然選択に対して中立であるものとする。(配点4点、正答率23.4%)
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