2021年大学入試共通テスト「数学IA」第4問「整数論」(配点20点・選択)問題・解答・解説
解説
(1)
Pの番号の数字で考えてみる。その1個先に移動することを距離1とみなし、Pの番号が増える「反時計回り」を+、Pの番号が減る「時計回り」を-とする。偶数の目が出ると数は+5で、奇数の目が出る時は-3である。偶数の目がx回、奇数の目がy回出るとすると移動距離は5x-3yとなる。
ただし+15で反時計回りに1回転するため、+15は0に戻る。
同様に-15で時計回りに1回転するため、-15は0に戻る。
移動数に「出る順番」は関係なく「偶数の目・奇数の目の回数」のみが関係する。
合計で5回ふっているのでx+y=5となる。
だから、次の連立方程式を解けばよい。
5x-3y=1・・・
x+y=5・・・
よりy=5-x。これをに代入。
5x-3(5-x)=1
5x-15+3x=1
8x=16
x=2(ア、1点)、y=3(イ、1点)
(ちなみに5x-3y=-14の可能性を考えてみると
5x-3(5-x)=-14
5x -15+3x=-14
8x=1 でx=1/8となり、回数としては成り立たない。
同様に5x-3y=16の可能性を考えてみると
5x-3(5-x)=16
5x -15+3x=16
8x=31 x=31/8となり、これも「回数」としては成り立たない。
厳密にはここまでの確認も必要であるが、最初の=1で的確な答が出ているので、それで答えてよいだろう。
時間に余裕があれば確認してください。)
なお、連立方程式が思いつかない場合でも、わずか6通りなので実際に入れて確認してもよい。
回数の組としては以下の6通りがありうる。
1、偶数5回、奇数0回
=+5×5=+25=+15+10=10
2、偶数4回、奇数1回
+5×4-3=+20-3=+17=+15+2=0+2=2
3、偶数3回、奇数2回
+5×3-3×2=+15-6=9
4、偶数2回、奇数3回
+5×2-3×3=10-9=1
5、偶数1回、奇数4回
+5−3×4=5-12=-7=-15+8=8
6、偶数0回、奇数5回
-3×5=-15=0
(2)
整数論、不定方程式の一般的考え方は以下のようになる。
この設問においては、問題文の流れにそって、以下のように解く。
問題文の中に「x=ア×8+ウk、y=イ×8+エk」
と×8があることから(1)で解を求めた=1の式を8倍して、(2)で求める=8の式と、連結する発想につなげていく。
前問より5×2(ア)−3×3(イ)=1なので、8倍すると
5×2(ア)×8ー3×3(イ)×8=8・・・
-より
5x-5×2(ア)×8ー(3y-3×3(イ)×8)=0
5(x-2(ア)×8)=3(y-3(イ)×8)=5・3kと置く。
5(x-2(ア)×8)=5・3kで、両辺を5で割ると
x-2(ア)×8=3k
x=2(ア)×8+3k(ウ)
同様に、3(y-3(イ)×8)=5・3kで、両辺を3で割ると
y-3(イ)×8=5k
y=3(イ)×8+5k(エ)(ウ、エ両方できて3点)
x=3k+16、y=5k+24で、
0≦y<5(エ)を満たすkは-4で
y=5×(-4)+24=-20+24=4(オ、3点)
このとき
x=3k+16=3×(-4)+16=-12+16=4(オ、3点)
偶数の目4回、奇数の目4回なので合計8回投げたことになる。(キ、1点)
(3)
最初に述べたように-15は0、+15は0となるので、
8-15=-7、あるいは8+15=+23のPの位置は8となる。
また8-15×2=8-30=-23
8-15×3=8ー45=-37
8+15×2=8+30=38
8+15×3=8+45=53
などの場合もPの位置は8となる。
たださいころをふる回数が少ないと移動距離も少ないと考えられるので-7と+23でまず考えてみる。
5x-3y=-7
試行錯誤していくとx=1(ク、2点)、y=4(ケ、2点)で成り立つとわかる。
5×1-3×4=5-12=-7
そしてサイコロを振った回数は1+4=5回(コ、2点)となりコ(5)<キ(8)を満たす。
一方、+23の時は
5x-3y=23
試行錯誤していくとx=7、y=4で成り立つとわかる。
5×7-3×4=35ー12=23
この時、サイコロを振った回数は7+4=11回で、8回(キ)より多いので条件を満たさない。
(4)
前問までより、1回転程度以内で最小のふる回数となると予測する(矛盾が生じた時には2回転程度以上のことも考え直す)。
選択肢にあるP10となるのは、10か-5
P11となるのは11か-4
p12となるのは12か-3
P13となるのは13か-2
P14となるのは14か-1
P10について
5x-3y=25、10、-5、-20で、どちらかのふる回数(x+y)が最小となる組合せを考えてみる。
x=2、y=0で 5x-3y=5×2ー3×0=10-0=0で成り立つので 2+0=2回
p11について
5x-3y=26、11、-4、-19
x=1、y=3で5×1ー3×3=5ー9=-4で成り立つので
1+3=4回
p12について
5x-3y=27、12、-3、-18
x=0、y=1で、5×0-3×1=0-3=-3で成り立つので
0+1=1回
P13について(サ、2点)
5x-3y=13、-2
x=2、y=4のとき
5×2−3×4=10-12=-2
2+4=6回(シ、3点)
P14について
5x-3y=14、-1
x=1、y=2のとき
5×1ー3×2=5-6=-1
1+2=3回
なお、p13について2回転目まで考えると
5x-3y=28、-18
するとx=0、y=6のとき
5×0-3×6=0-18=-18でなり立つ。
この場合も答0+6=6回であり、答えが6である点は同じ。