2019年大学入試センター試験「生物」第2問(生殖と発生)解説

入試問題は白黒ですが、本サイトでは、イメージ強化のため一部カラーにしています。

第2問

生殖と発生に関する次の文章(A・B)を読み、下の問い(問1~5)に答えよ。(計18点)

A ネコやヒトなど多くの哺乳類は、雄XY型、雌XX型の性決定様式をもつ。これらの動物では、性染色体も常染色体と同じように子孫に伝わり、XおよびY染色体の組合わせによって個体の性が決まる。また、性染色体には性を決める遺伝子のほかにも、多数の遺伝子が存在する。

三毛ネコは、茶、黒、および白の三色のまだらの毛色をもち、ほとんどが雌である。白毛のまだら部分は、常染色体上の優性遺伝子によって決まる。白毛以外の部分は、X染色体上の遺伝子Zによって、茶または黒のどちらかの毛色になるかが決まる。aとZの対立遺伝子を両方もつ雌は、茶と黒の毛色をもつ

茶と黒の毛色は、図1に示すように制御される。哺乳類の雌の胚(はい)では、発生が少し進んだ段階で、個々の細胞内のX染色体のうち片方の遺伝子の転写が起こらない状態(不活性化)になり、もう片方の染色体上の対立遺伝子だけがはたらく。細胞内の二つのX染色体のうちどちらが不活性化されるかは、細胞ごとにランダムに決まり、bX染色体の不活性化が一度起こると、細胞分裂を経ても不活性化した状態が分裂後の細胞でも維持される。この結果、ZとZを対立遺伝子にもつ雌ネコは、個体ごとに異なった茶と黒のまだらの毛色をもつ。一方、雄はX染色体を一つだけもち、X染色体は不活性化されない。

 

問1

下線部aに関連して、性染色体上の遺伝子も、常染色体上の遺伝子と同じように遺伝する。雌の三毛ネコ(Z、Zをそれぞれ1遺伝子もつ)を、黒の雄(Zを1遺伝子だけもつ)と交雑した場合、生まれる子ネコのうち、茶と黒の両方の毛色をもつものの割合は何%と期待されるか。最も適当な数値を、次の①~⑥のうちから一つ選べ。ただし、Z以外の遺伝子は、茶、黒の毛色の出現に影響しないものとする。 [1] %(4点)

①0 ②5 ③25 ④50 ⑤75 ⑥100

 

問2

下線部bに関連して、三毛ネコの体細胞から核を採取してクローンネコを作ることができる。このとき、核移植によって体細胞のX染色体不活性化の状態が、完全に初期の状態(どちらのX染色体も不活性化されていない状態)に戻るとすると、クローンネコの予想される毛色と模様として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。 [2](4点)

①三毛ネコになり、細胞を採取したネコと同一の模様になる。
②三毛ネコになり、細胞を採取したネコとは異なるまだらになる。
③三毛ネコにはならず、茶または黒のみの毛色をもつ。
④三毛ネコにはならず、茶、黒どちらの毛色ももたない。

 

B、c植物における組織や器官の形成は、多様なポリペプチドによって制御される。例えば、ある植物の葉では、光合成に使われる二酸化炭素の量を調節するために、表皮組織の単位面積あたりの気孔の数(以降、気孔密度とよぶ)がポリペプチドAおよびポリペプチドBによって制御されている。ポリペプチドAおよびポリペプチドBによって気孔密度が制御されるしくみを調べるため、実験1・実験2を行った。

実験1 野生型植物(以降、野生型とよぶ)の表皮組織の細胞(以降、表皮細胞とよぶ)と、表皮組織に隣接する葉肉組織の細胞(以降、葉肉細胞とよぶ)において、ポリペプチドAをコードする遺伝子AのmRNAの量を比較したところ、図2の結果が得られた。また、実験室で合成したポリペプチドAを含む溶液あるいは含まない溶液に野生型の芽ばえを浸した後、これあの芽ばえを3日間育てた。その後、気孔密度(個/mm2)を調べたところ、図3の結果が得られた。

 

 

実験2 ポリペプチドAを欠く突然変異体(以降、変異体aとよぶ)、ポリペプチドBを欠く突然変異体(以降、変異体bとよぶ)、およびポリペプチドAとポリペプチドBの両方を欠く突然変異体(以降、変異体abとよぶ)の気孔密度を調べたところ、図4の結果が得られた。

 

問3

実験1の結果から導かれる考察として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。[3](3点)

① ポリペプチドAは、表皮細胞でつくられ、表皮組織における気孔密度を上昇させる。
② ポリペプチドAは、表皮細胞でつくられ、表皮組織における気孔密度を低下させる。
③ ポリペプチドAは、葉肉細胞でつくられ、表皮組織における気孔密度を上昇させる。
④ ポリペプチドAは、葉肉細胞でつくられ、表皮組織における気孔密度を低下させる。

 

問4

実験2の結果から導かれる考察として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。[4](4点)

  • ポリペプチドBは、ポリペプチドAのはたらきを促進することによって、気孔密度を上昇させる。
  • ポリペプチドBは、ポリペプチドAのはたらきを促進することによって、気孔密度を低下させる。
  • ポリペプチドBは、ポリペプチドAのはたらきを抑制することによって、気孔密度を上昇させる。
  • ポリペプチドBは、ポリペプチドAのはたらきを抑制することによって、気孔密度を低下させる。

 

 

問5

下線部cに関して、次の文章中のに入る語の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑥のうちから一つ選べ。
[5](3点)

植物における様々な組織や器官の構造は、植物の生存によって重要な役割を果たす。葉や茎では、乾燥を防止するため、その表面はで覆われている。また根では、を保護するため、根冠が根の先端に形成される。